Chaos;Child

 

カオスチャイルド

 

一言レビュー

発想の逆転と崩壊

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 7点
快適さ 6点
満足度 8点
総プレイ時間 32時間
総合評価 80点

 

 

 

渋谷で起こった局地的大地震から6年後、2015年。

渋谷では再び「ニュージェネレーションの狂気」の

再来とも言える猟奇的事件が起こっていた。

渋谷復興を掲げて設立された私立碧朋学園、新聞部部長の宮代拓留は、

その不可思議な事件を追っていた。

そんなある日、彼は幼馴染で同じく新聞部の部員の尾上世莉架と、

ニュージェネの再来の第三の事件の目撃者となる。

そこから雪玉が転げ落ちるかのように、

ニュージェネレーションの狂気の再来の事件に

巻き込まれていくことになります。

 

 

主人公は渋谷地震で両親を失った孤児であり、

小さな数人制の施設に入所していましたが、

とある事情からその施設から出て公園に廃棄された

キャンピングカーで暮らしています。

対人恐怖症であり、よく知らない人と話すのが苦手、

ネットで情報を調べて情報強者を気取っている、かなり痛い人物であり、

この化学アドベンチャーシリーズならではの癖の強い設定の持ち主です。

シリーズの中ではましな部類に入るとはいえ、

そのあたりも要注意です。

 

 

ヒロインルートも存在するのですが、

ハッピーエンドとは程遠く、これはBADエンドではないか

というエンディングがほとんどです。

エキセントリックで、衝撃的なエンディング続出であり、

プレイヤーの心を折ってくる気満々のエンディングで、

主人公が妄想し続けるという濃いシステムもあり、

シナリオ面も非常に癖が強いです。

そして全ヒロインクリア後に解放されるTUREエンドも

ヒロインエンドに負けないか、それを凌ぐぐらい衝撃的であり、

伏線を一気に回収しつつも、

切なく哀しいエンディングへと至ります。

全シナリオ非常に癖があるために、

絶対にハッピーエンドでなければいけないという人や、

シナリオ中随所に差し挟まれるグロイ表現やCGがあるので、

そういうのが苦手な方はこのゲームを避けた方が無難でしょう。

最後のシナリオのカタルシスと解放感、

そして何とも言えない優しい悲しみは、特筆すべき点とはいえ、

完成度は高いが納得いかないエンディングを迎えるため、

そこも要注意ポイントです。

 

 

システムはアドベンチャーをずっと作ってきている

老舗の会社だけあって、かなり高ランクです。

ただ、問題が2つあり、Vitaの画面ではフォントサイズが小さすぎます。

テキストフィールドの背景が真っ黒で、

白文字なためそれでも比較的見やすいのですが、

その小さすぎるフォントに振り仮名を振っている場合が最悪で、

ほとんど何を書いているのかわかりません。

 

また、バックログも非常に見にくく、

通常時よりもさらにフォントが小さくなっており、

白っぽい背景も相まって非常に見にくい。

バックログの振り仮名は全滅であり、

潰れすぎていて何を書いているのか全く分かりません。

もともとTVでプレイするゲームとして造られたものであり、

それを携帯ゲーム機に無理やりねじ込んだ弊害でしょうが、

せめてそのぐらいのフォント調整はしてほしかった。

テキストフィールドの下部が結構空いているので、

そこもテキストフィールドとして利用し、

フォントをもう少し大きくしてほしかったですね。

 

そしてもう一つの難点ですが、時折音声が出力されないセリフがあります。

履歴から聞くときちんと吹き込まれてはいるのですが、

オート時、音声出力が正しく出力されないポイントでは

バグでオートモードがストップしてしまいす。

ページを送るにはこちらでテキストを手動で送ってやらなければなりません。

そのポイントを過ぎればまた自動的にページ送りされるのですが、

一つだけならばともかく、結構あったので、

この辺のチェックもしっかりしていただきたい点でした。

 

 

 

グラフィックは可愛らしいながらも

あまり好き嫌いのない絵柄です。

グロい絵も綺麗な絵も無難に描き分けていますね。

背景の美麗さも問題なく、やや薄暗いながらも美しく塗られています。

光の入れ方、ディソードの表現が美しい。

前述のシナリオの都合上かなり凄惨なCGも数多くあり、

血もそのまんま赤黒く塗られているので、

その辺の耐性は必要です。

 

CGの枚数は差分抜きで115枚。

差分枚数は少なめです。

異常に差分が多い枚数のものもありますが。

結構大きなCGも多用されており、目を引くものがあります。

全体的に暗く、凄惨なイメージのあるCGです。

作風上仕方がないですが。

 

 

プレイ時間は約32時間程度。

時間が表示されないタイプなので約の時間です。

プラチナトロフィーを取得してクリアしています。

クリア後になんとも言えない切ない脱力感を感じます。

喪失感満載の優しい悲しさを感じるエンディングです。

ハッピーエンドが好きな方はとてもお勧めできませんが、

ストーリーのクオリティが高ければ

どんなエンディングでもという方ならお勧めです。

 

念のため言っておくと、ストーリーの質自体は決して悪くなく、

反対にかなり完成度が高いと思います。

完成度が高いがゆえに、あの結末は覆せないものを感じます。



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