Clover Heart's

looking for happiness

 

一言レビュー

最後まで進めれば幸せになれるストーリー

 

グラフィック 8点
シナリオ 10点
ボリューム 8点
快適さ 9点
満足度 9点
総プレイ時間 42時間
総合評価 90点

 

 

家族愛、友情、恋愛感情を細やかな手法で描いた

アドベンチャーです。

 

昔あったとある事件が元で、

冷戦状態にあり、口も利くことの無い双子の兄弟夷月と白兎。

中三の冬、殆ど帰ってこない外交官の父親の計らいにより、

ロシアに住んでいた双子の姉妹莉織と玲亜と暮らすこととなって…

というストーリーです。

 

パッケージや公式サイトを見ると、

心温まるハートフルコメディーかと思いきや、とんでもありません。

 

確かに上であげたようなテーマが描かれていますが、

そこに至るまでの展開が凄まじいです。

弟の夷月は全てを拒絶していて、

かなり殺伐としたストーリーが展開されますし、

かといってほのぼのと可愛らしい白兎は

優しい恋愛模様が描かれているのかと言えば、

こちらはこちらで夷月とは又違った、

凄まじい修羅場が繰り広げられます。

 

恋愛アドベンチャーは楽しく、

と思う方にはちょっとお薦めできません。

 

ただ、はっきりとしたメリハリのある展開ですので、

殆ど飽きが来ず、中弛みが少なくって楽しくプレイできました。

中弛みする要因である、

毎日の繰り返しをバッサリと切り捨てたのが良かったと思います。

 

夷月編では莉織と玲亜の姉妹の過去が、

白兎編では夷月と白兎の兄弟の過去が語られる

趣向も良かったかな。

 

 

サブキャラクターの性格付けもきっちりとされており、

良くストーリーに絡んでいます。

 

難点と言えば、主人公達の強烈な個性なのですが…。

ゲームの主人公=自分と考えている方は、

この二人の主人公の性格が受け入れられなければ、

かなりきつい拒否反応が出ると思います。

 

特に難しいのが白兎ですね。

とにかく女々しく、おとなしい。

優しいのはいいけれど、優しすぎて女の子みたいですので、

ちょっと辛いかと。

 

そのくせ考えていることはしっかり男の子。

容姿とのギャップがあって面食らいました。

私の場合、第3者的立場で恋愛アドベンチャーを進めますので、

全く問題なかったのですが、万人受けでないのは確かです。

 

ただ、終盤において、白兎の意外な精神的な強さに

驚かされることになると思いますので、

ちょっと苦手、と思った方でも我慢して続けることをお勧めします。

全編をプレイして思ったのですが、

本当に精神的に脆いのは夷月でしょう。

 

 

ストーリーは満点をつけているとおり、とても良いのですが、

ただちょっと問題があります。

確かにメインヒロイン二人は抜群に良いのですが、

サブヒロインとなる3人のストーリー、

テキストが少なすぎると思います。

 

又分岐もメインヒロインルートから、

たった一つの選択肢で枝分かれし、

サブヒロインルートに突入すると

選択肢皆無で最後まで行ってしまうのがちょっと不満でした。

 

ただし、シナリオのレベルに格段に差があるのではなく、

サブヒロインと言えど手を抜かずに丁寧に書かれているので、

満点にしてあります。

サブヒロインまでメインヒロイン並みのボリュームがあると、

全体的にとんでもない量になるので、

このぐらいでよかったのかもしれません。

 

 

 

グラフィックは透明感のある絵で、とても綺麗だと思います。

背景グラフィックやグラデーションも美しく、

青空や夕暮れを描いたCGは見惚れるほどでした。

 

立ち絵も豊富で、メインヒロインは20種類以上の

立ち絵グラフィックがあります。

くるくると表情が変わるので、見ていて楽しかったですね。

 

絵のレベルはかなり高いと思うのですが、それでも満点でないのは

まずCGがとても少ないことです。

差分を除けば、65枚前後しかないのです。

 

この場面にぜひCGが欲しかった、というのが

随所に見受けられましたね。

100〜120枚は欲しいところ。

あと、ちょっとCGの人物にばらつきが見られるところでしょうか。

違和感のある絵がちらほらあります。

 

 

システムはさすがInterchannelほぼ完璧でしょう。

アドベンチャーに必要なものは全部揃っていると思います。

エクストラストーリーもあるのが良いですね。

 

特に秀逸なのがスタート画面。

セピア色の絵がパズルのピースとして切り込み線が入っているのですが、

エンディングを一つ終えるごとに、

そのパズルのピースがカラーになっていきます。

 

そしてメインヒロイン二人の最終エンディングを迎えるとフルカラーに、

全ヒロインのエンディング、アイテムを全て集めると、

スタート画面の絵がぱっと変わります。

また、ストーリーを進めていくたびに

賑々しくなっていくスタート画面用の曲も良い趣向だと思います。

 

 

今回は音楽がとても良かったです。

主題歌のキャプチャーごとに挿入されているメッセージといい、

「looking  for  Clover  Heart's

「a  memories  for  us.

の詩が聞こえてくるような音楽といい、珍しく気に入りました。

上記の2つがゲーム中で使われていたとき、

手を止めて聴き入っていたぐらいですね。

 

 

とにかく癖の強いゲームなのですが、

シナリオの完成度は素晴らしく良いです。

家族の絆とは?

友情とは?

恋愛とは?

と言うようなことを考えさせられるようなストーリーでした。

これらの事は、どうしても嫌味でくどく、

うっとうしいような雰囲気が付きまとうものですが、

そのような負の感情がかけらも無く、

素直に彼らの思いを受け止められたのが意外でした。

 

 

また、お話を進めていくたびに

精神的に成長していく様が丁寧に描かれており、

二人の主人公、二人のメインヒロインが

どんどんと大人になっていく様子は、見ていて感動しました。



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