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〜彩虹の花束〜

 

一言レビュー

猛毒を宿した少女のファンタジー

 

グラフィック 10点
シナリオ 8点
ボリューム 8点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 38時間
総合評価 87点

 

 

 

猛毒を宿し、記憶を失っていた少女は、父親の残した手紙の内容通り、

孤独を友に廃屋同然の屋敷で父が迎えに来るのを待っていた。

 

ある日、少女の屋敷を取り囲む兵がいる。

触れればその身に宿す猛毒で溶かす少女に襲い掛かり、

死んだ猟犬に恐れおののく兵たちの中から、

進み出たのは近衛兵長ランパール・レオンハルト。

紳士的に非礼を詫びられつつも、

強制的に連れ出されようとしていた少女を救うものがあった。

 

怪盗紳士と名乗るアルセーヌ・ルパン。

彼女からその胸の宝石を盗む代わりに、

何でも願いを叶えてみせると豪語する。

その言葉に、心が揺れた。

少女の唇から、ずっと願い続けていた思いが零れる。

「…あなたに、触れてみたい」

誰にも直に触れることを許されない少女の願いに、

彼はひざまずき、彼女の手袋の嵌められた手を取って笑う。

必ず、その願いを叶えてみせると。

 

少女が胸に宿す、永遠に膨大なエネルギーを作り出す宝石

「ホロロギウム」を巡って、霧の街ロンドンの騒乱を描きます。

 

 

ロンドン、怪盗、霧の街というフレーズで、

登場する人物はどこかで聞いた名前ばかりですが、

実際は彼らの人物像とイギリスをモチーフにしたファンタジーです。

1800年代であるという時代設定ですが、

一部異常に科学力が発達しており、現在でも到達できない部分もあるという、

近未来感も思わせる不思議な作風です。

 

主人公の父であり、世界を変えたとまで称される天才的な科学者

アイザック・ベックフォードを追いつつ、

彼女を保護した人物達の謎をからめたストーリーです。

彼らの設定を巧みに使い、少女の謎を追っていき、

最後に攻略できるルパンで一気に謎を解き明かすというスタイル。

終盤はどのキャラクターも疾走感があり、

プレイヤーをぐいぐいとひきつけていくのは素晴らしかった。

 

同時収録されたファンディスクは各個別ストーリーのその後と、

本編では攻略できなかった人物の個別ストーリーとなっており、

彼らの性格や設定を巧みに使ってその後の決着と未来を彩るのは上手いですね。

やや設定に整合性のない部分も見られましたが、

その辺りには目をつぶりました。

 

 

 

システムはかなり良いですね。

アドベンチャーに必須のシステムは一通り揃っており、

殆どが使い勝手がいい。

キーコンフィグでボタンの役割を

好きなように変えられるのは素晴らしいです。

履歴からの巻き戻しが出来るのも良かった。

 

ただし二点ほど問題があり、

セーブは人物アイコンと話名とセーブした日付ぐらいで、

どのシーンのセーブか非常にわかりづらいです。

また、オートやスキップは話数が切り替わると

強制解除されるのが最大の難点です。

各キャラクター13話まであるのですが、

各自最低でも13回設定し直さなければならないのが辛い。

オートとスキップは併用できません。

クイックセーブは一つしかないのも残念です。

 

 

 

グラフィックは綺麗で繊細な絵柄。

少女漫画よりですが、あまり好き嫌いの無い作風だと思います。

立ち絵も非常に安定感があり、皆魅力的に描かれています。

CGではややルパンとサン、主人公が不安定な部分がありますが、

この作品で最も特筆すべきはその彩色の素晴らしさです。

テレビにもよりますが、ここまで繊細な着彩をしているのには驚かされました。

非常に華があり、目を見張るほど美しい。

その着彩の優雅な見事さは立ち絵や背景にも及びます。

 

どのCGの構図も非常に凝っており、

そのずば抜けた完成度には思わずため息が出ます。

大きなサイズで収録されているCGもあり、アップにしても大変美しい。

女性向けのアドベンチャーの着彩の繊細な美しさには

いつも感心させられますね。

 

CGの枚数は差分抜きで

創世の姫君は70枚+おまけが一枚。

祝福の未来は73枚+おまけが一枚。

差分はどちらも少なめです。

ボリュームに対してどちらも十分な枚数ですし、ファンディスクの方が

ストーリーボリュームがないにもかかわらず、

枚数が多いのは少し驚きです。

 

 

 

プレイ時間は約38時間。

時間が表示されないタイプですので、約の時間です。

本シナリオが25時間程度、

ファンディスク部分が13時間程度かと思われます。

プラチナトロフィーを取得しています。

 

どのシナリオもとても興味深く、

各攻略キャラクターの設定もとてもうまく使って話を膨らませていると思います。

事態が動き始めてからの躍動感はどのルートも素晴らしかった。

設定自身には甘いものを感じた物の、

余り細かな部分を拘らなければ楽しめると思います。

そしてストーリーを彩るグラフィックの

完成度の素晴らしさにはため息が漏れるほどです。

乙女ゲーをほとんどプレイしないのですが、

ギャルゲーも着彩や構図を

もうちょっと頑張って欲しいと思わせた作品でした。



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