DUNAMIS15

 

 

一言レビュー

5主人公制のループ世界

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 7点
快適さ 8点
満足度 9点
総プレイ時間 28時間
総合評価 86点

 

 

 

世界各国が核を打ち合った戦争、核箒星(ニュークメテオ)以降、

世界の人口は35%まで減少し、

人々のDNAは損傷、ほとんどの女性が自然出産は不可能となり、

出生率低下は止まる兆しはなかった。

そんな中、危機感を覚えた日本政府は海洋上にデュナミス・ベースを建設し、

遺伝子異常のない子供たちの育成をその島で行っており、

幼い頃からその島で育てられている両親のいない子供たちは、

その島から出られないこと以外、何不自由のない生活を行っていた。

彼らは、高校を卒業後、その恩恵の代わりとして

日本へ渡って社会貢献をすることが義務付けられている。

 

ある日、皆に先立って勉学途中で日本へ行くことになる代表者、

生徒たちからはエリートと目される、ノモスが言い渡された。

一人は高校2年生の櫟井夏來、

今一人は高槻東吾の腐れ縁の親友、白大輔だった。

それとほぼ同時に相互理解を得るという目的で、

日本本土から2週間ほどの滞在期間で来る留学生、

通称ペリフェリウスの世津茅早が来て以来、

平穏であるかに見えたデュナミス・ベースに異変が現れる。

不審者の噂、突然昏倒する者達。

孤島の楽園に見えた世界は、崩壊へと雪崩れていく。

皆が死ぬことは免れないのか?

なぜ、凄惨な終焉を迎えることになるのか?

 

皆が死亡後、気が付けば再び戻ってくる日付は9月1日。

幾度もループする世界に、いつしか皆気づき始めていきます。

 

 

というのが大まかなストーリーなのですが、

ここで注意すべきなのが、公式HP・パッケージの裏側が

盛大にネタバレしているということです。

本当にここまで漏らしてしまっていいのだろうかと思うほど、

核心に迫る言葉が書かれているので、

出来ればその二つ、とりわけパッケージの裏側は

見ないことを推奨いたします。

 

ループ物、ということで、同じ時間を

繰り返しプレイすることになるのですが、

このゲームが変わっているのは、

再びループすると主人公が交代するということです。

一人の主人公が選択肢を変えることによって

世界を変えるというわけではありません。

そして面白いのが、主要人物達がループする以前の世界での記憶を

ある程度所持しているため、

今後どのような事が起きるか知っており、

それを避けるために一致団結して世界を変えるために動き出すという部分です。

 

ある程度1週目と同じイベントが起こるのですが、

それでも周回するごとに少しずつ違っていきます。

3章目からはできるだけ日常イベントを排除し、

変化のあるイベントを見せていくという手法を取っていますが、

日常のイベントが長めなのでちょっとたるみます。

ですが、プレイヤーを飽きさせないように、

ある程度で日常イベントを切り上げて、

余りプレイ時間を延ばさせずにコンパクトに収めており、

それに反比例してぎっしりと内容が詰まっているため、

あまり短さを感じないうちに綺麗に終わっているのは良い部分ですね。

 

ゲームは基本一本道で、BADENDか、

少しテキストの変化があるぐらいであり、

テンポの良い作品で、続きが気になって一気にプレイしてしまいました。

 

 

インストールはありませんが、システムはだいたい快適です。

気になるのがTIPSという、

言葉の解説機能の閲覧時のオートセーブの時間です。

新しい単語を閲覧するたびにまめまめしくオートセーブが入ります。

連続して言葉が解放されていくことがあって、

一回TIPSを見る度に数秒間のローディングがあり、

その間キー操作が無効になるのが地味にイラつきます。

また、TIPSが新たに解放されたテキストが表示されたときのみ、

L1ボタンでTIPS画面に移動できるのですが、

それ以外の場合はL1で画面に移動できず、

システムからTIPSを選択して言葉を探さなければいけないのがちょっと面倒です。

また、オート時にはTIPSへ移動できません。

 

このゲームで最も良いシステムが

フローチャートシステムです。

一目で章、ゲーム内での日付、イベントタイトルがわかり、

分岐があるか否まで表示されているという優れものです。

選択肢やストーリーでのある程度の区切りでポイントが設けられており、

そのポイントを選択すれば今まで通ってきたルートならば

好きなところへ移動できるという点が素晴らしい。

後ろ(未来)から順に手前(過去)へ手繰っていけば、

セーブはほぼいらないようになっています。

ただ、過去に戻ってしまうと未来の点へ移動はできません。

一応セーブを保持していれば、そのセーブをロードすることにより

元に戻ることも可能ですが。

 

それ以外のシステムは概ね快適です。

さすがは5pb.のシステムというべきでしょうか。

アドベンチャーに必須のシステムはソツなく入れられています。

 

 

 

グラフィックは綺麗目のあまり好き嫌いの無いタイプの絵柄。

シリアスや凄惨な場面、大人の男性も的確に描き分ける技量の絵師さんですね。

絵の塗はやや独特で、大理石のように

地模様が入っているような揺らぎがあります。

Steins;Gateよりは癖が少なめで、万人向けの塗です。

独特の風合いが最初驚きますが、世界観にあっていて良いですね。

背景や人肌は普通の塗をしており、

人の髪や服が地模様のある塗となっております。

 

 

CGの枚数は差分抜きで83枚、おまけの版権絵が3枚です。

ボリュームから見るに多くもなく少なくもない枚数で、

差分もそれなりにあるのですが、

重要な場面で幾つか、テキストに合っておらず、

ここは絶対に差分が必要であろうという

CGがあったのがいささか残念です。

また、動きのあるストーリーなのですが、

立ち絵のみで展開していくこともあり、

贅沢をいえばあと10枚ぐらい

終盤の重要シーンでCGが欲しかったですね。

 

 

 

プレイ時間は28時間。

TIPSコンプ、CG100%、テキスト100%、

プラチナトロフィーを取得しています。

基本的に一本道なため、BADENDやテキストの回収を行わない方は、

20〜25時間程度でしょう。

コンプすると25時間以上ぐらいになると思います。

コンパクトながら良く纏まっており、短さを感じさせない作品でした。

章ごとの終盤の疾走感が良く、一気にまとめて読め、

先が気になってどんどんプレイしてしまうタイプです。

 

楽しくプレイできたのですが、是非ともパッケージ裏や、

公式HPのストーリーは4章終了以前に見ないことをお勧めします。

盛大にネタバレしていますので。




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