ファイアーエムブレム 暁の女神

 

一言感想

二作に渡るドラマチックなストーリー

 

グラフィック 9点
シナリオ 9点
ボリューム 8点
快適さ 10点
満足度 9点
総プレイ時間 103時間
総合評価 94点

 

 

今回非常にストーリーが良かったです。

二作に渡る、ドラマチックなストーリーは秀逸。

成長したキャラクター達が更なる苦悩を乗り越え、

壮大なドラマを繰り広げていく様はとにかく素晴らしい。

綿密に描かれたタペストリーが次々と広げられていくかのような、目の覚める展開、

苦難を乗り越えてきたからこそ、口に出来る台詞と覚悟。

各国間の鬩ぎ合いが大陸全土へ広がっていく、

雪山を転げ落ちる石の如きストーリーと、ほぼ問題はありません。

 

ゲームの中のストーリーや生き様は所詮絵空事。

どこか上滑りして空虚に感じることが多々あるものなのですが、

このゲームでの各人物の言動に凄く重みを感じるのはとても感心させられました。

また、前作で残されていた伏線が綺麗に回収されており、

きちんと丸く収まっているのも良いですね。

 

ただし、最後の第四部で話が急展開し、いきなり纏め上げていくのは

今までたっぷりと時間をかけて描いてきたストーリーとは

ちょっとかけ離れてしまっています。

マップ数はそれほど少なくないものの、どうしてもいきなり感が付きまといます。

また、前作から数多くのキャラクターが登場するのですが、

説明もなくいきなり登場するので、

この作品から始めた方達にはちょっと付いていけないと思います。

ストーリーを絶賛していますが、それは前作をプレイしているからこその話です。

前作からプレイしていることが前提条件の重厚なストーリーですので、

前作をプレイしてからこちらを始めるのをお勧めします。

 

また、2週目の要素が存在し、

ノーマルとハードで台詞が違う等、

周回プレイを楽しく進める試みがあるのは評価できますね。

特に会話が違うのは楽しかったです。

 

数多くのユニットを出来るだけ活躍できるように、

第四部でユニットを三つの部隊に分ける試みも良かったと思います。

 

 

グラフィックは大変綺麗です。

Wiiのグラフィック能力をかなり使って

作られているムービーはとても美しい。

今回は立ち絵やイラストレーターの原作の絵に限りなく近く、

表情も自然で違和感が殆どありません。

2Dを3Dにしてもキャラクターの魅力を損なうことなく、

忠実に原画の絵を立体に再現しているのは見事です。

そして自然の造形美は見事の一言。

背景グラフィックが非常に美しかったです。

 

戦闘アニメーションもよく出来ています。

なめらかで自然な動き、やわらかくたなびく衣装、華麗なエフェクトと

きちんと進化していますね。

またマップもとてもよく出来ており、

マップ上の道に小鳥が遊んでいて、

キャラクターがそのマスに止まったりすると小鳥が飛んで逃げたり、

砂を跳ね飛ばして動いたり、雲が変化したりと、とても芸の細かいつくりです。

フィールド上の小さなユニットの出来も素晴らしく、

あれほど小さいのにユニットを見間違うことなく、

一目で誰か分かるのも非常に上手いです。

キャラクターの特色を上手に掴み、

バリエーション豊かにミニキャラを3D化しているのは素晴らしい。

シリーズ史上、グラフィックは最高レベルだと思います。

 

 

このゲームの魅力である戦闘ですが、

前作である蒼炎の軌跡とほぼ同じシステムを使っていますので、

変化のない部分は割愛します。

戦闘システム自体が完成されていると思うので、

これはこれで良いかと思います。

 

今回変更になったシステムですが、

まず拠点でのレベルアップが3つしかパラメーターが上がらなくなったこと、ですね。

これを聞くとデメリットのような気もしますが、決してそうではありません。

実は今作では全キャラクターのパラメーターが簡単にカンストします。

普通にプレイしていても、ユニットの良く伸びるパラメーター三つぐらいが

どのキャラクターでもカンストします。

そうすると、拠点でユニットのレベルを上げる方が良く育ちます。

3つしかパラメーターが上がらない、と書いていますが、

裏を返すと3つは確実に上がる、ということです。

カンストしているパラメーターは上がらなくなっていますので、

これによりほぼ全てのパラメーターがカンストすることに。

そういう意味では、育てがいがあまりなく、

皆それなりに使える、というのはちょっと面白みがないですね。

この辺でちょっと横道にそれるのですが、

今作ではお助けキャラが多すぎ、かつ強すぎるのもかなり問題だと思います。

 

今回はスキルの着脱が非常に容易になっています。

前作ではスキルを外してしまうと消えていましたが、

外すと書に戻り、他のユニットに付ける事が可能になっているため、

各ユニットのカスタマイズがしやすくなっています。

こういう変化に富むシステムはなかなか面白いです。

 

クラスは3パターンに分かれており、

下級、上級、最上級の三つになっています。

下級から上級へはレベル21(正確にはこのレベルは存在しない)になると

上級へ自然とクラスチェンジしますが、

最上級になるにはマスタークラウンというアイテムが必要になります。

これが十幾つかしか手に入れられませんので、

どのキャラクターに使うのか非常に悩ましいところ。

 

後は3すくみの中で竜騎士だけが除外されて弓に特攻が付かなくなった、

武器の練成は無制限に出来なくなった、

資金がちょっときつめ(アイクの部隊が特に)、

支援関係が誰とでも結べるようになった、ぐらいでしょうか。

 

特に最後の支援関係ですが、支援を結ぶのが誰とでも出来るようになっており、

また解除も可能と幅が広がっていますね。

支援が結べるのはひとりだけとなっていて、

シンプルで分かりやすくなっています。

ただし誰とでも、という弊害は存在しており、

支援を強化する時の会話が皆さん一律同じなのが非常に寂しいです。

違うキャラクターとでも同じ台詞を喋るのはちょっと興ざめですね。

会話が薄く無難になっているのは残念です。

今作では後日談が復活しており、

ある特定のキャラクターと支援関係をAにすると

後日談が変化するのはいいと思います。

見ていて面白かったですね。

 

 

快適さは初心者にもやさしい作りだということで、

満点を付けています。

一週目をクリアした後の戦闘アニメオフは爆速でとても快適なシステム。

欲を言えば一週目からでも選択できるようにして欲しかったのですが、

二週目をするプレイヤー限定の特典だったのでしょう。

チュートリニアルも丁寧に入り(スキップすることも可能)、

初心者でも分かりやすく作られています。

流石シリーズものだけあり、この辺は完成されていますね。

 

またロードも殆ど感じられないほど短く、超快適。

基本システムは非常によくできていると思います。

 

 

とてもストーリーを練りこんだ壮大なゲームだと思います。

大河ドラマを見ているようでした。

プレイ時間は、二週して103時間。

二週目で蒼炎の軌跡のデーターを読み込んでいないことに気付き、

途中で20時間以上やり直したので私のプレイ時間はかなり長いです。

一週目で45時間ほど、2週目で35時間ぐらいでした。

その為に私のプレイ時間はかなり長い目です。

2週目の要素もあり、ハード(マニアック含む)とノーマルでは

ただし、前作をプレイしたからこその点数ですので、

今作からの方はもっと評価が下がります。

前作をプレイしているからこその醍醐味が

ふんだんにちりばめられておりますので、

是非とも蒼炎の軌跡からプレイすることをお勧めしますね。

 

ですが、従来のエンブレマーにはちょっと難易度が低すぎたかと思います。

上記で述べていますが、どのユニットでも全パラメーターが

簡単にカンストしてしまいますので、あまり歯ごたえはありません。

マニアックはやっていないのでなんとも言えませんが、

ノーマルとハードの差も余りありませんし…。

難易度が高い方が良い、という人にはちょっと物足りないかもしれませんね。



HOME    BACK

inserted by FC2 system