ファイアーエムブレム 紋章の謎

 

一言感想

SRPGの雛形と言うべき良作

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 9点
快適さ 6点
満足度 9点
総プレイ時間 80時間
総合評価 86点

 

 

ファミコン版でファイアーエムブレム処女作として発売した

「 暗黒竜と光の剣 」を第一部にリメイクし、

続編を第二部に新たに入れたスーパーファミコン版です。

 

ストーリーの大筋は非常にオーソドックスなタイプで、

この後作られたファイアーエムブレムシリーズと共通するものがあり、

特に目新しい点はありません。

この辺は古い作品ということもあり、仕方がないですね。

ですが新たに付け加えられた第二部の

この世界の謎に迫る部分はいささか驚くものがあり、

意外な設定が次々と明かされていく様は面白く、

とても楽しくプレイできました。

 

ストーリーに関してはあまり言う事はありません。

ただ初期頃の作品ですので、点数はいささか甘めにつけてあります。

 

 

グラフィックははっきりとした色使いで綺麗です。

SFCは色数もあまり多くありませんので、こういう色合いになったのでしょうが。

イラストはアニメチックなものの、万人向けする可愛らしい絵柄で、

殆どの人物がきちんと区別して描かれています。

今では当然のことなのですが、

FCの頃は同じ顔グラフィックの人物が結構いたので、

これはかなりの進歩だと思います。

一からキャラクターイラストを描き下ろしたみたいですね。

少ない容量にギリギリ詰め込んだみたいですが、

よく頑張ったと思います。

容量の問題で数人がFC版より削られているのですが、

全体数の人数がかなり多いということもあり、特に問題ありません。

 

戦闘時のモーションですが、既にこの時にほぼ確立しているのはすごいですね。

昨今のGBA版のモーションと比べてもさほど見劣りすることもなく、

この後に続く作品が、この作品の動きをかなり踏襲しており、

この時点でほぼ完成されているのがよくわかります。

そういう意味でもすごい作品。

まさにこの後の作品の雛形になっています。

 

 

このゲームの魅力である戦闘ですが、

システム自身はこの後の作品に共通しています。

基本的なシステムはこの頃に既にしっかりと確立されており、

遊んでいても非常に安定しているのが分かります。

この作品で無いのは騎馬ユニットの再移動、救助の有無、突き飛ばし、

盗む、武器のカスタム、スキルの有無によるユニットの差別化ぐらいですね。

全部少しずつ追加されていったもので、

この作品から進化して行ったのが良く分かります。

ユニットの種類もこの頃に大体が出揃っており、

今まで発売されている従来の作品とさほど変わりはありません。

ので、戦闘システムは割愛します。

 

さて、基本的なシステムですが、SFC版で初期頃の作品である、

といことを差っぴいても少々悪めです。

まず全体にもっさり感がありますね。

マップの始めに全体マップを見せるのですが、

これがキャンセルできず、マップをやり直すたびに何度も見せられたり、

ユニットの並び替えが非常に煩雑だったりします。

従来の作品では2番目と10番目のユニットの入れ替えが簡単に出来るのですが、

この作品では更に面倒な手続きをしなければいけません。

2番目と10番目のユニットを交換する場合、

10番目以外のユニットの出撃をキャンセルしてもとの画面に戻り、

再度他のユニットの出撃をチェックする…という、非常に面倒なシステムです。

初期位置がこのゲームでは大変重要であり、

位置如何では勝敗を分けると言っても過言ではないので、

これはとても煩わしいです。

戦闘準備の時点でセーブは出来るのですが、

次回ロード時には出撃ユニットがキャンセルされており、

再度出撃手順を踏まなければいけないのも一々面倒でした。

 

戦闘アニメーションですが、アニメーションをオフにしてしまうと

レベルアップしても、どのパラメーターがアップしたか

分からないのは非常に厳しかったです。

初期頃を除いてオフにしていたのですが、

それではアップしたパラメーターが全く分からないため、

結局はアニメをオンにしてプレイしましたので、その辺があまり活きていませんね。

 

攻撃時も敵のパラメーターとこちらのパラメーターが表示されるのみで

何回攻撃が出来るのか、どのくらいのダメージを与えられるのか

こちらが計算しなければならず、

敵の行動範囲は表示されるものの、

敵の攻撃範囲は表示されないと、システムは最適化されていません。

 

村への訪問も主人公であるマルスのみしかできず、

結局マルスは村訪問&宝箱開け&制圧要因

となってしまったのはちょっと残念です。

室内マップでは騎馬ユニットは降りてナイトになるのですが、

そうするとパラメーターがいくつか下がってしまうため(抜け道はあり)、

最初から徒歩のユニットに見劣りしてしまうので些か使い辛く、

第一部、二部ともに最後あたりのマップは室内マップですので

騎馬ユニットが活躍しにくかったのももったいないです。

また、クラスチェンジできないユニットは活躍できず、

結局二軍落ちになってしまったのも惜しいですね。

40レベルアップできるのと、20しかレベルアップできないのとでは

パラメーターにかなりの差が出てきてしまいますので。

 

後はクラスアップ用アイテムが入手しにくく、出てくるのはかなり後とか、

第二部では道具屋が出てくるのがかなり後で杖不足に悩まされるとか、

拠点で武器、道具の類が売買できない、とかですね。

 

今後の作品でこれらのことが進化して行った訳ですが、

従来のシステムに慣れた身には実に不自由でやり辛く感じました。

これらの基本的なシステムは悪い、

ということを踏まえてプレイしなければなりません。

 

 

まさにシミュレーションの雛形というべき作品だと思います。

プレイ時間は、一通りプレイして約80時間。

プレイ時間が表示されませんので、正確な時間は不明です。

私の場合闘技場にダダはまりしておりますので、かなり長めです。

闘技場にはまらなければ、50〜60時間ぐらいでしょうか。

二部に分かれている分、かなりボリュームがあります。

 

クリアしての感想ですが。

「 面白かった! 」

ズバリこの一言です。

今の製作人数とは比べ物にならないぐらいの少人数で作っているのですが、

それでも現在の作品とあまり見劣りしないのは驚きです。

 

ストーリーは王道ど真ん中で目新しさはあまりなく、

女性陣の台詞は「男性が考えた女性の台詞だな」

と強烈に思わせる、わざとらしいものがありましたが、

基本的なシステムはこの頃にしっかり確立しているので、

遊んでいても非常に安定しているのが分かります。

 

システムは現在よりずっと不自由で、

グラフィックもGCやWiiのように

3Dや動画を多用したものには見劣りしますが、

この頃にしては実に綺麗に完成させた作品だと思います。

ただ、第二部のかなり最初のマップで上位クラスが一杯出てきたのは驚きました。

二部の最初の難易度はやや高いものの、

丁寧に戦術を考えてやり、闘技場でそれなりに鍛えていれば

無理なくクリアできるレベル。

Wiiで安価にダウンロードできるようですし、

初期頃のファイアーエムブレムを遊んでみたいという方にはお勧めな作品です。

ですがシステムの不自由さは覚悟しておきましょう。



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