FINAL FANTASY XV

 

一言感想

ストーリーの置いてけぼり感が凄まじい

 

グラフィック 10点
シナリオ 2点
ボリューム 7点
システム 9点
快適さ 8点
満足度 5点
総プレイ時間 63時間
総合評価 66点

 

 

今回は非常にストーリーが悪く、目を覆わんばかりでした。

まず、ストーリーの大半がただ逃げているだけであり、

ストーリーはまさにあって無きが如し。

また、特殊な世界観であるにもかかわらず、

説明もほとんどなくどんどん進むため、

頭に?をくっつけたまま、わけもわからずついていくために、

プレイヤー側の置いてけぼりっぷりが凄まじいです。

そして、造語が大量にばらまかれるため、

プレイヤーの混乱を招いて、ストーリーやキャラクターに入り込めません。

 

まず、時系列を日付順不同で遡るように、事件の過去をストーリーの合間に

ちらちらと見せてゆく手法ですが、このように説明もなく

どんどん進むタイプのストーリーでは逆効果であり、

わけのわからなさに拍車をかけてしまいます。

下手に時系列をいじらずに、素直に最初から見せた方が

プレイヤー側がすんなりと入りこめたと思います。

 

そして一番悪いのが、シナリオライターがこの世界観を

プレイヤーにわかりやすく伝えようという気がほとんどないこと。

オートクリップなり公式サイトなりで予習復習してこいと言わんばかりで、

とにかくいろんな場面で突如として切り替わり、

何故こういうことをしたのか、なぜこの人はこういう行動をとったのか、

どうしてこういう結果になったのかという理由を

ゲームのシナリオで大部分を語ろうとしないため、

ゲームの冒頭からエンディングにおいてまで、ストーリーの空気感が半端ないです。

エンディングにおいても、都合よく、かつ強引に奇跡を起こし、

ハッピーエンドとした感が拭えず、

ストーリーの酷さにはただため息が漏れるばかりです。

全てのストーリーが上滑りして浮いている印象が最後まで続きました。

 

 

 

戦闘はシンボルエンカウントで、リスタートをすれば逃げることも可能です。

コマンドを指示できるのはリーダーキャラクターだけであり、

他キャラはAIとロールに従って行動しますが、

このAIがかなり優秀なため、そのまま任せておいても問題ありません。

リアルタイムバトルで戦闘中は目まぐるしく戦況が変わっていくので、

むしろリーダーキャラにのみ専念できて良かったと思います。

 

さて、ロールとは、それぞれが演じる「 役割 」のことなのですが、

アタッカー、ブラスター、ディフェンダー、ジャマー、エンハンサー、ヒーラー

の6つのタイプに分かれます。

実行できるコマンドはロールごとに違い、大まかにいうと

 

アタッカー = 物理攻撃役 兼 チェーンゲージ維持役

ブラスター = 魔法攻撃役 兼 チェーンゲージ上昇役

ディフェンダー = 防御役

ジャマー = 敵弱体役

エンハンサー = 味方強化役

ヒーラー = 回復役

 

と、なっており、ロールごとにバッサリとできることがわかれています。

アタッカー・ブラスターでは攻撃のみで回復・支援魔法はできず、

反対にヒーラーは回復しかできず、

ジャマーとエンハンサーは支援魔法しか使えません。

 

この、役割であるロールを切り替えていくことにより、

それぞれがどのような行動をとるか、ということを制御していくことになります。

一人一人を戦闘中に切り替えるのではなく、三人同時に

あらかじめどのような役割を各自が演じるのか

システム画面のオプティマで設定します。

登録できるタイプは最大で6種。

三人の役割の割り振りによって作戦名が自動で付けられます。

 

以上を踏まえて戦闘についてなのですが、

これがなかなかシンプルながら面白く、歯ごたえがあります。

まず、どの敵キャラクターも硬く、HPが多くて、

通常の攻撃ではあまりダメージを与えられません。

ブラスターがチェーンゲージを上昇させてゆき、

アタッカーがチェーンゲージを維持し、

敵ごとに設定されているブレイク値までチェーンゲージが上昇すると、

敵がブレイクします。

ブレイクすると敵が弱体化し、ダメージが大幅に与えられるようになります。

また、ブレイク中には空中に打ち上げることが可能であり、

空中に打ち上げられている間中敵は無防備で、

続けて攻撃を与えていくと空中に固定されたまま、

大量のコンボをたたきこめます。

一方的に攻撃を立て続けに与えていけるため、

この空中コンボがかなり爽快です。

 

リアルタイムバトルのため、コマンドを選んでいる間でも

どんどん時間が過ぎてゆき、戦況は速いスピードで推移していきます。

自分たちのHPや敵の状態を瞬時に判断し、

ロールをくるくると切り替えてゆく戦闘はせわしないのですが、

躍動的で非常に面白く、一瞬たりとも目が離せないため、

戦闘中は常に緊張感があり、飽くことなく楽しくプレイできました。

リーダーキャラクターがHP0になるとゲームオーバーなのですが、

どの戦闘もリスタート可能であり、

戦闘前に戻ることが可能なため、

手詰まりになることがないのは良かったですね。

 

 

 

次はシステムです。

ローディング関係は特に問題ありませんね。

メニュー画面もなめらかに動きますし、快適です。

文字が32未満のテレビ画面でプレイしていると小さすぎるのと、

セーブポイントがかなり多いのがちょっと気になりましたが、

基本的なシステムはあまり指摘する部分はありません。

 

他のシステムなのですが、まずオーソドックスRPGとは

かけ離れた仕様になっています。

まず、街がない。

一応あるにはあるのですが、ダンジョンマップとしての街であり、

NPCにはめったにお目にかかれないばかりか基本的に話しかけられず、

NPCがただしゃべっていることを盗み聞きするぐらいなのがさみしい限りです。

そして、セーブポイントが複数のネット通販ショップを兼ねているため、

店員までもおらず、とにかく人がいません。

 

ストーリーはもちろんのこと、ダンジョンマップまで一本道です。

ちょっと枝分かれしていてもごくわずかな距離だったり、

少し行った先で合流したりするため、

終盤近くまで基本的には見事なまでに一本道で、

右上のマップには、行く先の方向まで表示されるために、迷う要素は皆無です。

 

レベルの概念がないのはちょっと驚きました。

正確に言うとないわけではないのですが、

戦闘後にもらえるCPHPや攻撃力を上昇させ、

魔法やコマンド、オートアビリティを覚えていくという、

キャラクターの強化をするタイプ。

ただ、各章で上限が決まってしまっています。

それと、クリスタリウムが簡易迷路のようになっているため、

まだ習得していないポイントを探すのが大変です。

ボタン一つでまだ未収得のポイントへ移ってくれると良かったですね。

 

このゲームはありとあらゆるところで非常に縛りがきつく、

自由度はありません。

前行ったところは最終章まで戻れず、先へ先へ進むのみ。

なんと戦闘メンバーまでがっちり固定されています。

戦闘は3人までしか参加できないのですが、

たとえパーティーメンバーが4人以上いても、

戦闘メンバーはもちろんのこと、

リーダーまでも9章終盤(70%近く)まで変更できません。

とにかくこの徹底した縛りは非常に息苦しく、

プレイ中にかなりのストレスを覚えます。

オーソドックスなRPGが好きな方、

ゲームはとにかく自由度を重視する方は絶対に避けたほうが良いでしょう。

 

 

 

グラフィックですが、これは非常に美しい。

光の表現、空の色、色鮮やかな世界、

人の微妙な動きや躍動感あふれるムービー、

そして戦闘中や通常の会話部分のキャラクター造形まで、

ありとあらゆるところでモデリングが良く、綺麗ですね。

キャラクター造形はもちろんムービー中の方が美しいのですが、

通常時でもムービーよりはやや見劣りするぐらいで、

注意してみていなければわからないこともあるほどであり、

グラフィックに関してはとても注力していることが良く分かります。

風景や自然もため息が出るほど美しく、

自然の造形美を余すことなく表現していると思います。

グラフィックに関しては全く注文を付ける所がありません。

キャラクターデザイナーの描く2Dから、3Dへの変換に関しても、

2Dにとても近い感じで変換されており、

キャラクターの3Dの表現・デザインに関しても素晴らしいと思います。

さすがPS3だと感心しました。

 

 

 

プレイ時間は、ミッションを28までクリア、

一通りエンディングまでプレイして、63時間です。

途中や終盤でCP稼ぎをしているため、私のプレイ時間は長めです。

サブイベントはないので、だいたいの方が50時間前後ぐらいでしょう。

ただし、ミッションをすべてクリアしようとすると膨大な時間が必要だと思われます。

 

とにかくありとあらゆるところがオーソドックスなRPGとはかけ離れています。

自由度は皆無、レベルの概念はなく、街も、人のいるショップもない。

世界や街を自由に旅することはできないし、

縛りは非常にきつく、戦闘メンバーまで

三分の二ほどがっちり決められている。

ストーリーは置いてけぼり感が強烈かつ空疎であり、あって無きが如しで、

伏線は投げっぱなし、奇跡の安売りの、レベルの著しく低いシナリオです。

褒められるところはグラフィックと戦闘だけですが、

特に戦闘は、シンプルながら躍動感があり、非常に面白いと感じました。

 

こういう風変わりなシステムのRPGもたまにはいいと思うのですが、

ナンバリングタイトルではやめて頂きたかったな、と思います。

せめて、外伝や新規タイトルでやってほしかったシステムですね。

 

ストーリーや自由度重視、オーソドックスなRPGを楽しみたい方は

絶対に手を出すべきではないでしょう。

歯ごたえのある戦闘や美しいグラフィックを見たいという方ならば、

といった具合で、あまり万人には進められません。

とにかくあちこちがアンバランスなゲームでした。




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