ファイナルファンタジー9

 

一言レビュー

PSの性能を極限まで使い切った映像美

 

グラフィック 10点
シナリオ 8点
ボリューム 7点
快適さ 4点
満足度 7点
総プレイ時間 54時間
総合評価 79点

 

 

まずファイナルファンタジーといえば

映像の美しさが上げられると思います。

今回はリアルテイストではなく、

デフォルメされた可愛らしい感じでしたが、

リアルな方が良いと思っていた私ですら

唸らずにはおられない美しさでした。

 

滑らかな動きといい、

繊細な表情といい、素晴らしかったです。

PS2で開発された他社作品でさえ、

このレベルに達しているものは少ないでしょう。

 

最近のファイナルファンタジーは

映像が綺麗過ぎてゲームじゃないという批判をお聞きしますが、

いかなゲームとはいえ、映像の美しさは

私は重要であると考えています。

 

ちまちました表情のわからないキャラクターが、

自分の思いをただ文字で告げるよりも、

ああいう風にダイレクトに思いの伝わってくる

表情のあるムービーを出された方が、

感情移入や感動の度合いが全く違ってきます。

 

ムービーがあるから、ちびキャラが演技している時でも

表情が簡単に想像できました。

声が入っているともっと良いですね。

(といってもキャラにあって無い声優さんでは邪魔なだけですが)

というのに気がついたのは、とある有名RPG

(ムービーはしょぼく、声無しでシステムは古いものを踏襲で、

イベントではちびキャラのみ)

をやった時でした。

 

ある村がとんでもないことになって村人が何人も死んでいるのに、

「ああ、お話をすすめるためには、

何とかというアイテムが必要だから取ってくればいいのだな」

という風に、何にも心が動かされなかったのですね。

その時、感動がないことに気づき、

改めて映像の美しさの重要さを再認識させられました。

 

ただ、戦闘後、決めポーズをするガーネットは怖かったです。

ものすごーく、ぶさいくでしたね…。

 

 

ストーリーは山あり谷あり、飽きさせず、

また先の見通せないもので、大変楽しかったです。

生きることとは、存在する価値とは、

というものをキャラクター達が考えるというストーリーで、

幾度も感動する場面がありました。

 

特にエンディングのガーネット姫が走るシーンは

(このぐらいならネタバレにならないかな?)

とてもよかったですね。

ただ、山谷といってもどちらかといえば緩やかなもので、

ちょっと起伏が緩やかだったのが残念ですね。

 

ATEという、主人公とは離れた位置にいるキャラクター達が、

今何をしているのか見る、というイベントシステムがあるのですが、

これは楽しかったです。

今あの人は何を思って、何をしてるのかが垣間見られて、

良いシステムだったと思います。

キャラクター達の性格付けもしっかりしていて、

見ていて飽きさせませんでした。

 

パーティイン、パーティアウトが頻繁で、

また主人公とは別の位置にいる人物達を

操作して、色々な場所で物事が動いているのを見られたのも

良い点だったと思います。

多いキャラクターを全員使って欲しいという、

製作者側の意図だったのでしょう。

 

ですが、戦闘に参加するキャラクターが多すぎたと思います。

全キャラクターが出揃うのは本当に終盤だけだったのですが、

そうなると戦闘に参加する人は固定になってしまい、

あとは全然使わなくなってしまったのですね。

 

キャラがかぶってしまっていて、

ストーリー上あまり触れられない人物とかもいましたし。

物語に深くかかわってこないサラマンダーと、

ガーネットとほぼ同じ役割をする

エーコは要らなかったと思います。

エーコはストーリー上必要な人物ですが、

サブキャラで十分だったと思います。

 

終盤では、キャラクターが別れ別れになって、

ある地点で合流するとか、

ひとつのダンジョンを攻略するのにパーティが二つに分かれて

協力して仕掛けを解いていくとかが頻繁にあれば、

もう少し違ってきたと思うのですが。

(パーティが別れ別れになるというのもありましたが、少しだけでしたので)

 

 

システムですが、正直悪かったです。

装備品を買うお店では、

パラメーターの上がるただ一つの値だけしか見ることが出来ないのです。

つまり、防御力だけしか上がり下がりがわからなかったりするのですね。

その装備を付けると、防御力は上がっても、

スピードや攻撃力、魔法回避率が下がってしまい、

総合的にはパラメーターが下がってしまうので、

結局装備しなかったということが多々ありました。

 

あんなにひとつの装備で色んなパラメーターが上下するのに、

お店ではただひとつだけしかわからないというのはとても残念でした。

しかも、今よりどのくらい上がるのかもよくわからない。

その装備品についているアビリティも買って見てからしかわからない。

この辺の必要最低限なところはきっちりフォローして欲しかったですね。

 

それと戦闘システムです。

ひとつの戦闘で最低30秒〜40秒はかかってしまうのはいけません。

まずエンカウントした途端、画面が中央に収縮していき、

次いで戦闘マップが映り、

カメラワークが敵とキャラクターをぐるりと

舐めるように回って、そしてやっとコマンド入力が出来るようになります。

この間10秒から20秒ぐらいですね。

これ、長すぎると思います。

 

細部まで作られた敵キャラクターも見て欲しいというのはわかりますが、

ボス戦ならともかく、雑魚戦では非常に鬱陶しかったです。

通常戦闘ではカメラは回らなくていい、とずっと思っていましたから。

ただでさえ雑魚戦は大して楽しいものではなく、

さっさと終わらせたいのに、時間の無駄だっただけです。

 

アクティブタイムバトルも、正直失敗だったと思います。

ATBゲージというものがあり、それが満タンになった者から、

敵味方関係なく行動できるというシステムですが、

コマンドを入力しても、すぐにキャラクターが動いてくれないのですね。

誰も動かない時間というのが往々にあったりしました。

 

敵味方の攻撃魔法の発動もくどくて長すぎます。

誰かが瀕死になっているので、回復するためにアイテムを使っても、

すぐに行動しないために戦闘不能になって、

戦闘不能を回復しても、また回復アイテムが使われる前に

攻撃されてしまって〜という繰り返しがあって、

イライラしました。

 

アビリティでオートポーションというのがあるのですが、

4人がこのアビリティを付けていると、

一人一人がポケットから何かを取り出す仕草をし、

それを自分にふりかけ、きらきらきら〜と光が飛び散って、

やっと回復する、という行動を

一人ずつ、順番にするわけですよ。

この間、他のキャラクターは動きません。

物凄く時間の無駄ですね、これは。

 

アクティブタイムバトルという、

目の付け所は悪くは無いと思うのですが、

こういうのはテンポよくしないと戦闘がただだるくなるだけで、

ちっとも楽しいものにはなりません。

 

たとえば、あるキャラクターが回復している間に、

他の行動コマンドが入力されているキャラが

敵キャラに攻撃しに行ってるとか、

敵Aと敵Bに2人のキャラが攻撃するようになっていると、

同時かほぼ同時に2人のキャラが攻撃しに行ってるとか、

いくらでも時間の短縮は考えられたと思います。

 

召還魔法が短縮されていたのは、

戦闘で唯一評価できる点でした。

毎回長すぎて、短縮するか映像をキャンセルできれば、と思っていましたから。

 

アビリティは良い点だったと思います。

キャラクターごとに習得できるアビリティが違って、

この敵は毒攻撃をしてくるから、

毒無効のアビリティをつけて、とか

戦闘の幅が広がりましたし、

各キャラクターに装備品を付け替えてアビリティを習得させていくという

試みは面白かったです。

上記のように戦闘がすごく長くかかるので、

いつでもリジュネというアビリティは、

戦闘短縮にとても役立ちました。

 

 

また、FFでは毎回のことですが、

サブイベント、ミニゲームが豊富で、

やりこみ要素がたっぷりとあり、

長時間遊べました。

 

ただ、あまりにもやりこみ要素がありすぎて、

手を出しあぐねたイベントが幾つかありましたが、

この辺のさじ加減は難しいのでしょう。

特にチョコボ関連のミニゲームは、

楽しいというより忍耐と我慢の連続でした。

もう少し甘くしてくれても良かったかと。

ボリュームは、これらサブイベントの類を考慮しての点数です。

 

プレイ時間は、チョコボ関連をコンプリートし、

色々なイベントを起こして、

なおかつレベルアップに時間を割いていますので、

54時間かかりました。

 

ストーリーを真っ直ぐ追っていけば、

20時間〜30時間ぐらいでクリアできると思います。

私の場合、映像が評価にかなり影響を与えるので、

総合点は甘くなっています。

久々に感動できるRPGでした。



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