ヘラクレスの栄光

〜魂の証明〜

 

一言レビュー

ギリシャ神話をモチーフにしたもっさり戦闘

 

 

グラフィック 7点
シナリオ 8点
ボリューム 8点
快適さ 7点
システム 4点
満足度 7点
総プレイ時間 47時間
総合評価 69点

 

 

ギリシャ神話をモチーフにしたオーソドックスなRPGです。

不死のキャラクターがなぜ自分たちは不死なのか、

自分は何者なのかという答えを求め、

次第に集まってオリンポスを目指す、というストーリー。

全員が自分に対して大きな謎を抱えており、

中盤以降から一人ずつ丁寧に正体が明かされていきます。

中盤以降はあるものを破壊するために各地を巡ることになる

お決まりのパターンに突入するのですが、

順に明らかになるキャラクターの正体がテンポよく開示されるため、

あまり飽きさせない様になっています。

 

辞典という機能がついてあり、ストーリーが進むたびに

文章が増えていく仕様になっています。

ギリシャ神話に登場する人物がゲームに多数出てきますし、

また登場人物がかなり多くいるのですが、

これによって○○って誰だっけ? という事がなくなっています。

ギリシャ神話を知らなくても楽しめるようになっていますが、

さわりだけでも知っていたらもっと楽しめると思います。

神殿は各地に沢山あるものの、神々はあまり出てきません。

 

 

次に戦闘システムですが、非常にもっさりとしており、

最初はものめずらしいものの中盤になると飽きてきます。

戦闘は敵味方入り混じってスピードの速い順からターンが回ってくるタイプです。

もっさりとしている理由ですが、

 

1.魔法のエフェクトが長いのにキャンセル、早送りできない

2.魔法・スキルを使うとほとんどがミニゲームをやらされる

3.敵、味方ともに人数が多すぎる (敵最大10、味方最大5)

4.敵のHPが多すぎ・防御力が高すぎる

5.ダメージ・回復が一キャラクターずつ順々に表示される

6.エンカウントが高め

 

という6つの理由が大まかに上げられます。

1ですが、魔法を発動するたびに20秒ほどかかります。

魔法を発動させず、武器だけで攻撃できればいいのですが、

3と4のように、人数が多すぎかつ敵のHPが多すぎるため、

ちまちまと一人一敵を攻撃していられません。

そのため、約半分以上が魔法を発動することになり、

一戦闘は10〜長いときで15分以上かかることもザラです。

敵も容赦なく全体魔法を多用してくるため、

その分も割り増しされます。

 

また、この魔法やスキル発動に対して、

ほとんどがミニゲームをやることになります。

ミニゲームをしないことも可能ですが、

ミニゲームありだと、しないときの140%〜200%ぐらいは

普通に攻撃力がUPするため、

4のように敵が固すぎるので出来るだけ多く敵にダメージを与えて

敵の数を減らすにはどうしてもミニゲームをする必要があります。

また、敵に攻撃、味方に回復した場合も

5のように一キャラクターずつ動作をし、HPバーが増減して、

数字がいちいち表示されるのでテンポの悪さを助長してしまっています。

 

この3の人数が多すぎるというのが最大の難物であり、

ザコ敵であっても6〜8は普通に戦闘に参加しています。

つまり、全員か、大多数の敵がある特定のキャラクターに攻撃した場合、

HPが多いキャラクターでも簡単にワンターンキルされます。

要するに、出来るだけ早く敵の数を減らす必要性があり、

どうしても魔法連発は免れないわけです。

上記の理由により、難易度は少々高めになっています。

私は普通の戦闘でも逃げることなく、

勝利するまでプレイするタイプなのですが、

ザコ敵に勝てなくって逃走した事が幾度かありました。

ダンジョンやマップはさほど広くは無いのですが、

エンカウントが高めであり、ダンジョンをひとつクリアするのも

結構時間がかかってしまいます。

このもったりと重い戦闘システムはボリュームの多さとあいまって、

序盤で投げてしまう人が結構いると思われます。

 

 

基本的な戦闘システム自体は良く出来ています。

ポーチにアイテムを装備することが出来、

ある一定の条件で自動的にアイテムが消費されます。

ワンターンキルされた場合、自動蘇生してくれるアイテムが非常に便利でした。

フィールドやダンジョンには風火水土闇のエーテル値が設定されていて、

毎ターンある一定の数値が回復するようになっているのですが、

魔法を使う場合は魔法の属性のエーテル値が消費されます。

実はこのエーテル値は敵味方共用となっており、

自分が魔法を発動する場合にエーテル値が足らなかった場合、

魔法を発動した人物が足りなかった分リバースダメージを受けます。

 

ほかにも敵が倒された後にも倒れた敵に攻撃することが可能なのですが、

HPを超えるある一定以上のダメージを与えた場合は

オーバーキルとなり、MPが回復します。

また、前列、後列という概念があり、

後列にいると毎ターンMPが少しずつ回復していくため、

スキルや魔法をケチケチすることなくバンバン使えるので、

派手な戦闘が展開でき、面白くはあります。

ですが、上記のように戦闘がもったりとくどいため

爽快感はほとんどありません。

戦闘のテンポさえ見直されていたならば、

非常に楽しい戦闘システムになっていただけに、

戦闘に関してはとても勿体無い出来だと思います。

ちょっと手直しするだけで抜群に面白くなるのではないでしょうか。

 

 

基本システムはまずまず〜やや悪い目ですね。

DSだけにローディングは軽く、特に問題はありません。

タッチペンでの移動も可能、前記のように辞典完備、

ほとんどの場合でどこでもセーブ可能と

携帯機としてはそれなりにまとめて来ています。

 

ですが、最も気になったのがフィールドマップでの移動の遅さです。

本当に亀の歩みです。

町マップやダンジョンでは問題のないスピードでしたので、

なぜフィールドマップだけあれほど遅くしたのか謎です。

フィールドマップを広く見せるためでしょうか?

それにしても遅すぎてフィールドマップを歩くたびにいらいらさせられました。

あとは、基本的に一度行った場所には戻れない、

というあたりが少々難でしょうか。

その町でしか売っていないアイテムというのが少なからず存在しており、

買い逃すと二度と購入できません。

そしてお店の数はなんと10種類。

機能のダブっているお店もあり、町マップに行くたびに

全お店を巡らなければいけないのが大変でした。

半分ぐらいにまとめてほしかったですね。

 

 

グラフィックですが、メインイラストは癖があるものの、美麗です。

が、そのイラストが活用されることはほとんどありません。

ほぼ常に表情の皆無なミニキャラクターに演技させており、

彼らの感情が伝わりにくくなっているのが少々残念です。

ステータス画面も簡単な表情のあるミニキャラクターで表示されており、

せっかく綺麗なイラストなのにゲーム中ではほとんど使われず、勿体無いですね。

贅沢を言えば立ち絵がほしかったのですが、

せめて会話中は台詞の欄に顔のイラストを表示してほしかったと思います。

ごくまれに顔のイラストが表示されるものの、

表情は一種類しかありません。

もうちょっと絵にも凝ってほしかったです。

戦闘中の魔法のエフェクトはDSにしては頑張っている方だと思うのですが、

いかんせん飽き飽きするほど見せられますので、

素直に良かったと褒められないのが複雑です。

 

 

プレイ時間は47時間。

サブイベントの類は一切ありません。

まっすぐ一本道で進んでのクリア時間ですので、

大体の方が40〜50時間ぐらいでしょう。

DSとしてはたっぷりとしたボリュームなものの、

大半があの泥沼に浸かっている様な

もっさりとした戦闘システムに消費された感が否めません。

あの戦闘システムがもっとすっきりしていたならば

30時間前後ぐらいでしょうか。

 

魅力はあちこちに見受けられます。

ですが、磨かれていない原石に近く、非常に勿体無いゲームですね。

ストーリーも結構良く、楽しめたのも確かですが、

このくどくて長い戦闘システムが我慢できる人でなければ

途中で投げる可能性が大です。

気の短い人や、戦闘への快適さを求める方にはお勧めできません。

気の長い人向けのゲームですね。




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