テイルズ　オブ　イノセンス

一言感想

よくぞここまで詰め込んだ

ストーリーはかなり単純明快でお子様向けです。

夢で見た英雄になりたかった少年がその力を手にした時、

新興宗教や国から犯罪者として追い掛け回されるようになります。

それは前世に深い関わりがあることで、

同じような力を持つ者達と集まり、

何故世界がこのようになっているのか、

何故自分達は捕らえられなければならないのか、

過去を探るというストーリー。

ストーリー自身にあまり捻りはなく、

はっきりとした明確な理由をきちんきちんと紐解いていく様はシンプルで、

かつ分かりやすく仕上げています。

ストーリーの伏線を丁寧に回収し、分かり易い分、

劇的な展開はあまりなく、簡単に先が見えてしまうという弊害もありますが、

全年齢向けでＤＳに多いであろう、

低年齢層にもあっさりと受け入れやすい内容になっていますね。

無難には仕上がっていると思います。

サブイベントはあまりなく、ギルドで仕事を請け負うぐらいしかありませんが、

これが完全にお使いの仕事で、

何処そこに行って何それをしてこい、

という内容ですので、サブイベントに面白みは全くありません。

特に請け負う必要はありませんので、

あまりいらない内容でしたね。

スキットはＤＳにしてはびっくりするほど豊富です。

容量的にあまりないだろうと高を括っていた分、驚きでした。

声の吹き込まれているスキットこそ少ないものの、

容量の小さいカートリッジに

よくぞここまで詰め込んだと感心すらしてしまいました。

見ていてかなり楽しかったですね。

戦闘はフリーランシステムという、

戦闘フィールドを自在に動き回れるシステムを採用しています。

自由にフィールドを駆け回り、

なおかつ空中コンボがこれでもかと叩き込める様はとにかく爽快。

テンションゲージというものがあり、

攻撃したりする毎に溜まるのですが、

これがＭＡＸまで溜まった場合に起こるパラメーターアップ時の

「覚醒」と言われるものは、このゲームの爽快さに拍車をかけていますね。

短い時間なものの次々と繰り出せる技と

フィールドを素早く動き回れる様はなかなか面白いです。

今回ＡＩはこちらが優先行動をきちんと決めてやれば、

びっくりするほど的確に動いてくれます。

そういう意味ではかなり賢い…のですが、

いささか難があり、レベルアップ等では優先行動のコマンドを覚えないのですね。

ごくごく初歩的な優先行動は所持していますが。

ではどうするのかというと、

ギルドでグレードと交換して購入するのです。

ストーリーが進むにつれ、買える優先行動が増えていくのですが、

最初のうちはとにかく味方が思うとおりに動いてくれません。

また、アクション要素が苦手な私は

なかなか優先行動を思い切って購入できず、

その辺はかなり不自由に感じました。

お金やアイテムは敵を倒すごとにフィールドに散らばるのですが、

散らばっただけでは獲得したことにならないので、

フィールドを駆けずり回ってお金・アイテムを拾わなければなりません。

ですが、これを味方が殆ど回収してくれない。

ではどうするのかというと、攻撃を中止して自分で回収するのですね。

これが最初のうちはストレスでした。

「さらにお金を拾え」の優先行動を購入できるまでは忍の一文字です。

上記の優先行動さえ手に入れば、後は自分好みの優先行動を少し買うと

味方は上手く動いてくれますが、

もうちょっと必要最低限の優先行動を

自力で覚えるようにして欲しかったかな、とも思います。

ただ、この優先行動が豊富で、自分好みにカスタムできる、

という試み自体は面白いと感じました。

優先行動の種類が多すぎる、という弊害もありましたが。

スタイルというキャラクターそのものを

カスタマイズできるものがあり、こちらで自由にキャラクターの特性を

攻撃キャラ、壁キャラ、魔法キャラ、等に変えられるのですが、

（マイナスになってしまうパラメータもあり）

どう見ても魔法キャラなのに、通常の攻撃の当たりが多く隙が少ないため、

前線で使えてしまう、便利なキャラクターがいたため、

そっちには役立ちました。

文武両道というか。

それ以外はあんまり、という感じでしたが、

プレイヤーの得意な方に補正できる分、便利ではありました。

スタイルのレベルを上げていくと、

パラメータ補正のアビリティを覚える、

という試みもなかなか良かったですね。

武器のカスタムはあまり使いませんでした。

スパッと捨てれば、あまりいらない機能だったかと。

また、料理も殆ど使いませんでした。

ボス戦前に食べる専用になってしまい、

通常戦闘では滅多に使いません。

とにかく金欠ですので、数戦闘しかパラメータの底上げをしてくれない料理のために

結構高価な食材を買っていられなかった、というのもあります。

今回料理の効果やご利益はかなり薄かったですね。

グレードでギルドにて購入するレシピがかなりあった、

というのもそれに拍車をかけてしまっていました。

グラフィックですが、ＤＳにしては結構綺麗です。

最初のオープニングしかムービーはありませんが、

なめらかで綺麗な動きは美しいです。

ダンジョンやキャラクターも発色がハッキリしていて、

かなり頑張っている方だと思います。

ポリゴンはかなり荒めですが、

きちんとキャラクターの特徴を掴んでいます。

まあ、３Ｄが苦手なＤＳですので

ポリゴンのレベルは決して高くありません。

ただ、無理してＤＳでキャラクターを３Ｄにせずとも、

２Ｄのキャラクターで十分だったのではないかと思います。

その分ムービーをもうちょっと増やして欲しかったと思うのですが、

いろいろなところに容量ギリギリまで詰め込んでいると思いますので、

オープニングで精一杯だったのでしょう。

プレイ時間は、ギルドイベントをひとつしか受けずにクリアした時間です。

２週目以降しか出ないスキットがあるのですが、

それを見ようとして途中で断念してしまいました。

ストーリー自身がシンプルですので、

スキットのみで２週目をするのはちょっときつかったですね。

ですので、一週は約３０時間前後だと思います。

ＤＳで容量も少なかったでしょうが、

それでも目一杯いろいろなことを詰め込んだ作品です。

苦労した様が随所に見受けられます。

とにかく戦闘の爽快さでは他シリーズに引けはとりません。

かなり楽しい作品に仕上がっていると思いますが、

ストーリーは結構シンプル。

複雑な設定や捻りのあるストーリーを

お好みの方にはちょっと拍子抜けになるかもしれませんね。