Princess Frontier Portable

 

一言レビュー

レッツ 田舎暮らし!

 

グラフィック 8点
シナリオ 7点
ボリューム 7点
快適さ 9点
満足度 7点
総プレイ時間 35時間
総合評価 75点

 

 

栄えある騎士任官式典のパーティーで、

任官される予定である若き騎士達のうちの一人、

リュウ・ドナルベインは、叙勲の式典の真っ最中、

蹴躓いて王国の第四王女アルエミーナ姫の

胸を鷲掴むという大失態を犯してしまった。

本来ならば無礼打ちされてもおかしくない不敬だが、

国王の取り成しもあって何とか死刑は免れたものの、

もちろん騎士団への入隊はお流れに。

そして誰もがそんな難ありの人物を預かりたがるはずもなく、

各部署をたらい回しにされた挙句、

左遷されたのは辺境の村、村民80人余りだが、

貧しいために村の男連中は近隣の岩塩鉱山へ出稼ぎに行っているという、

現在は女性と子供と老人ばかりのポルカ村だった。

 

駐在警備兵は隊長として赴任したリュウを除くと、

現地調達された村娘のロコナとエロ爺のホメロの2人きり。

とんでもなく田舎兼辺境のため、代々警備隊長として派遣される人物は

何れも人格に大きな問題がある人物か、大失態を犯した人物ばかり。

胡散臭そうに見られる中、半勘当されている、貴族ステイン家の三男坊ジンに

村人の注目を浴びる中、王女の胸を鷲掴んだという

出来事だけを大々的に公表されてしまい、

村人から冷たい視線を浴びせかけられ、

あからさまに避けられることになった。

 

そんなこんなをしているうちに

自分は男だと信じる王女がもとの性別に戻るための秘薬の原料、

青い花を求めてポルカ村に押しかけてきて、

という、序盤そのものはやや衝撃的なものの、

なんとか村人たちの誤解を解いて仲良くなり、

田舎暮らしをまったりと続けるうちに、

ある一人の女性が気になり始める…という、

非常にオーソドックスなストーリーです。

 

やや派手さに欠けるものの、田舎暮らしを存分に満喫できます。

嫌味を言っているわけではなく、本当に何にもない辺境の村で、

村人たちに暖かく、時にお節介に、そして生暖かく見守られながら

気になるあの子と良い仲になるという、

どこかしら朴歌的な雰囲気が漂うストーリーです。

のんびりと進む共通ストーリーは雰囲気が良く、

辺境の村の情報伝達のあまりの速さと

何でも自分たちで作って過ごしたり、

警備隊長とは名ばかりで、野良仕事を手伝ったり

各家の傷んだところを修復したりと、田舎暮らしをしに来た

都会の青年を思う存分堪能できます。

そういうふんわりとしたところはとても雰囲気の良い作品で、

どこか癒されるところがあります。

 

共通ルートが十分の七ぐらいあるのが長いと感じるものの、

共通ルートは文句なく楽しいドタバタ劇です。

この会社のストーリーはとにかく脇を盛り上げる男性陣との会話が楽しく、

ただの田舎暮らしを楽しく賑やか兼喜劇テイストで彩ってくれます。

とにかく遊びの会話がとてもいいですね。

 

やや問題があるのがヒロインの個別ルート。

ヒロインたちの設定を上手に使っていえるものの、

終盤の都合の良すぎる展開がどのヒロインとでも目につきます。

あっさりと片付きすぎているきらいがあり、

その辺を許せるかどうかで評価が分かれるかと思われます。

 

 

 

システムは大変良く、細かに設定も出来、相当快適です。

データインストールもあり、履歴からのジャンプ、

クイックロード&セーブも完備。

ターニングポイントへ一気にさかのぼることも可能なのと、

恋する乙女から続投のスキップの優秀さも良いですね。

通常通りの文章スキップももちろんあるのですが、

とにかく快適なのがシーンスキップです。

シーンを丸ごとスキップできるのですが、

大まかなあらすじを表示してくれる事。

シーンスキップは大変便利なのですが、

スキップしてしまうとどういうストーリーだったのか

全く分からなくなってしまうという最大の難点が、

これで綺麗に解消されています。

再スタート時に前回プレイした部分を

遡ってテキストが表示されているのも良かったと思います。

 

 

グラフィックですが、目に癖があるものの、

透明感のある綺麗な絵柄です。

恋する乙女よりも目の個性はきつくなっているでしょうか。

立ち絵とCGの差異がややあるものも存在しますが、

CGの顔立ちも概ねばらつきがなく、上手に描かれています。

PSP版で新たに付け加えられたCGも全体的に統一感があり、綺麗です。

色の塗りも丁寧に塗られており、華のある色彩です。

横顔が特に癖の強い描き方をされているのがやや気になるでしょうか。

 

 

CGの枚数は差分抜きで158枚ほど。

クリア時間から見ると、やや多い目の枚数です。

ただし、その内デフォルメ絵の類が50枚ほどと、

ややデフォルメ絵が多いのが気になりますが、

通常のCGは概ね問題のない枚数で、十分ありますね。

全体的にまず問題ないと思います。

 

 

プレイ時間は約35時間。

クリア時間が表示されないタイプのため、正確な時間が分かりません。

全ヒロインクリア、全エンディング、全CGを回収しています。

ヒロインルートの終盤の都合の良すぎる展開がやや気になるものの、

田舎暮らしを雰囲気良く、コメディタッチに仕上げている作品です。

田舎でのまったりとした朴歌的な暮らしに憧れているというのなら

ハマれるのではないでしょうか。

のんびりとしたストーリーの要所に緊迫的な雰囲気をスパイスに、

楽しく仕上げていると思うのですが、過剰な期待は禁物です。




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