SNOW

 

一言レビュー

本来の完成度の高さに対し評価が芳しくない惜しい作品

 

グラフィック 8点
シナリオ 7点
ボリューム 9点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 54時間
総合評価 80点

 

 

雪が降る様が幻想的で、

またストーリーがファンタジックなアドベンチャーです。

 

昔、竜神と人間が許されない恋に落ち、引き裂かれて以来、

常冬の地になったという伝説を持つ神秘的な村に、

主人公が従妹に招かれてアルバイトをしに来た、

というところからストーリーが始まります。

 

どのヒロインとでも終盤に向かって、

だんだん悲しい結末を迎えていくのですが、

悲しいだけに留まらない何かがあるストーリーです。

とても細やかにお話が作られており、

胸に迫るものがあります。

 

また、すべてが悲劇的な最期を遂げる、

というわけではないので、そのあたりは安心してください。

全体的に見て、ヒロイン達が全員幸せになれるような

ストーリーにはなっています。

お話は絶対ハッピーエンドでないと嫌、

と言う方にはオススメできませんが。

 

人物設定も脇役まで丁寧に作られており、

どの人物もしっかりと人格が立っています。

 

では、どうしてシナリオの点が辛目なのかというと、

このゲームは中弛みを必ずするからです。

どのヒロインとでも、絶対中弛みするようになっているのです。

 

それは、主人公の基本的な一日の行動が、

どのヒロインとでも、どの日でも、ほぼ同じだからです。

毎日ほぼ同じ日常が続き、ヒロインごとに、また日ごとに

アレンジが少し効いている程度なので、

途中で日常を送ることに飽きてしまいます。

またこれをやるのか…と言う風に。

 

それが永遠と続くので、

ゲームを続けるのに忍耐が必要になってしまう為、

点数が辛目になっています。

 

それと個性の強すぎるヒロインキャラクターですね。

好き嫌いが激しく分かれるキャラクターがいるため、

こういう全員を攻略するタイプのゲームには辛いものがあります。

私は、メインヒロインの澄乃の

「えう〜」の連発と「だよー」と言う

リアルではまずありえない口調、

おっとりを通り越して間延びして聞こえる声が苦手でした。

 

この2つさえなければ10点をつけるのですが、

最初から最後まで、同じような毎日を送る、

というのは大減点ポイントですね。

 

 

グラフィックはアドベンチャーとしては、

最高峰の出来だと思います。

背景グラフィックやCGもグラデーション・効果が美しく、

またCGや立ち絵によって絵のばらつきも違和感も非常に少ない。

特に、背景グラフィックに淡雪がふわふわと

降る様はとても美しいです。

窓の外も天気によって雪がちらちらと降っていたりと、

とても細やかな気遣いをして描かれていると思います。

 

それでも満点にならないのは、まずCGがとても少ないことです。

色違いやちょっとした仕草の違い、背景の違い等を除けば、

85枚前後しかないのです。

 

ので、この場面にぜひCGが欲しかった、というのが

とても沢山ありました。

120〜150枚は欲しいところ。

差分を入れて、200枚弱ぐらいはあって欲しいですね。

 

もう一つ贅沢を言えば、立ち絵のグラフィックが、

脇役は3人分しかないところ。

Legendでは主要キャラクターしかありません。

そもそも脇役キャラクターそのものが少ないので、

もう少し脇役の立ち絵人数を増やして欲しかったですね。

 

 

システムはほぼ完璧でしょう。

スキップモード(概読ストップ、概読ストップなしの選択あり)

があり、スピードも3段階に選択できます。

画面が切り替わるときにちょっと停止するのが気にかかりましたが、

妥協できる範囲内だと思います。

 

手放しでもストーリーを進めるオートモードもスピード調整があり、

概読メッセージも画面全体に広がり、またページごとに改行があるので

とても見やすく出来ています。

 

選択肢を間違えても、L1や

スティックで巻き戻し可能なのがとても便利でした。

 

驚くべきことに、人物毎に台詞の色分けがされており、

システムに物凄く気の配られているゲームだと思います。

 

セーブがやや重いのですが、

セーブをしたときのグラフィックがサムネイルとして

表示されるタイプなので、それは仕方ないと思います。

サムネイルをロード中でもセーブ、ロードが出来るので、

我慢できないほどでもありません。

 

このサムネイルがとても良く、

ゲーム中の日付、そのときの台詞まで表示されるので、

ひと目でどの日のどの状態にセーブしたものかがわかり、

分岐点が分かりやすいものでした。

ただ、総プレイ時間が表示されないのが残念でした。

 

 

最後に。

KanonやAirのシステム、キャラクターのパクリとして

その作品の完成度の高さに対し評価が芳しくありませんが、

とても優秀なゲームだと思います。

ストーリー自体はオリジナルのものです。

(私はAirはプレイ済みです)

 

それに、どうしてシステムやキャラクター設定の

ダブリが悪いのか、私には正直わかりません。

 

そもそも、概読スキップやオートモード、

全員のヒロインを攻略して始めて

全体像が明らかになるストーリー等、

既に色々なアドベンチャーで真似されているシステムがありますよね?

それは良いから皆真似をしてきているのです。

では他作品は、どうしてこれらのシステムのパクリを

指摘されないのでしょうか?

 

確かにAirを思わせる、スタート時のグラフィックの変化、

選択肢の無い、ストーリーの根幹にかかわってくる

過去編がありましたが、

それはAirで高く評価されたシステムだったからだと思います。

また、製作者側も、かなりAir等を意識したと言っています。

 

ですが、ストーリーはオリジナルのものなのです。

それに真似は無いと思います。

パクリとは、とても良く似たストーリー

を指すのではないでしょうか。

 

キャラクターも、ギャルゲーは概ね幾種かに大別されると思います。

清楚系、妹系、お姉さま系、冷たい系、ボーイッシュ系など。

他作品に全く出てこない系統の女性は

ほぼ存在しないのではないでしょうか?

 

本来の高度な完成度にかかわらず評価の低い、

実に惜しい作品だと思います。



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