テイルズオブヴェスペリア

 

一言感想

RPGには珍しいダークな主人公

 

グラフィック 7点
シナリオ 9点
ボリューム 9点
システム 9点
快適さ 8点
満足度 10点
総プレイ時間 130時間
総合評価 88点

 

 

RPGの主人公といえば爽やか好青年や、

正義感あふれる熱血な主人公が多い中、

一風変わったのがこのゲームの主人公です。

伝統的に熱血爽やか系好青年を多く主人公に据えてきた

テイルズにしては珍しくダークな主人公で、

衣装もそれをイメージして黒をメインにしています。

 

他の人が出来ない汚れ仕事を一手に引き受け、

それがたとえ犯罪だとしても、それを自覚しつつも実行に移すという、

非常に胆の据わった人物です。

しかも、誰かに褒められたい、認められたいという思いが全くないという、

実に欲のない人物像はある意味異色。

言動には自分がやるのは良くても

相手がやるのは良くないといった矛盾も見て取れますが、

いくら世界のためとはいえ、限度を超えるものはダメだという線引きがしてあり、

ある程度の信念に基づいて行動していると思います。

この異色な主人公の魅力というのが

このゲームの魅力と置き換えてもよく、

ユーリの信念やキャラクター性が許せるのならば

良くできたストーリーだと感じられるのではないでしょうか。

RPGにこの主人公を据えた度胸に素直に感心します。

 

ストーリーは今までの決められた道順を予定調和的に進めるのではなく、

波乱万丈でなかなか面白かったですね。

意外な大どんでん返しや離脱、

そしてそれを超えて集まる仲間たちというのは

甘すぎると感じる部分もありますが、概ね上手にまとめています。

もちろんあれを集めるために世界を巡る、という恒例のイベントもありますが、

比較的そういうのは少なかったと思います。

テンポよく進み、プレイヤーの注意をくぎ付けにするものの、

サブイベントが多すぎ、複雑すぎ、かつ時間限定イベントが多すぎで

全部遊びつくそうとするとそのテンポを一気に崩してしまうのが少々残念でした。

サブイベントをあれもこれもと欲張るのはいいのですが、

ここのところちょっと数を多く入れすぎている気がします。

ではサブイベントをプレイしなければいいのですが、

キャラクターの意外な一面や過去が垣間見られ、

スキルや武器が手に入ることもあるため、

まったくやらないわけにはいきません。

このへん、もう少し何とかならなかったのでしょうか。

 

 

戦闘はアビスのフリーランシステムという、

戦闘フィールドを自在に動き回れるシステムや

戦闘能力が高くなるオーバーリミッツ、

オーバーリミッツ中に繰り出せる秘奥義等を引き継いでおり、

それを正当に進化させています。

 

アクションが得意な人はかなり派手に、

下手な人でもそれなりに戦闘が楽しめるように、きちんと配慮がしてあります。

ある特定の攻撃を続けると印が表れ、

R2を押すと特殊な攻撃を行うフェイタルストライク、

オーバーリミッツ中に上位の技を出している途中に

×ボタンを押し続けると派手な攻撃を行うバーストアーツ、

上記の条件の時に○と×を同時に押すと行う秘奥義と、

派手な特殊攻撃は複雑な操作ではなく、

下手な人でも覚えれば比較的簡単に出せるようになっているため、

アクション系が苦手な私でも楽しくプレイできました。

 

今回はキャパシティ・コアではなく、スキルになっています。

武器を装備することにより、武器に備わっているスキルを覚えていき、

決められたスキルポイントの中でスキルをセットしていきます。

戦闘で役立つスキルから、パラメーターアップと、スキルは様々です。

キャラクターメイキングの一種であり、

スキルをいくつか付け替えるだけで

ぐんとキャラクターの性能が変化します。

スキルを複数付け加えると、主人公より魔術師系の人物のほうが

HPが高くなったりという逆転劇があったりするのが面白かったですね。

 

エンカウントは敵シンボルに触れてエンカウントする、

シンボルエンカウントを採用しています。

上記ですと、エンカウント数がこちらで調整できますので、

こちらのシステムのほうが好きですね。

空を飛べるようになると、地図から一気に目的地へ移動できるシステムも快適ですし、

基本的なシステムはよりストレスなく洗練されています。

ただ、セーブ時にネットに接続している場合レコードをUPしているようで、

セーブが二倍の時間がかかってしまうのが気になりました。

セーブ時に×ボタンでキャンセルできるのですが、

一回ずつ押さなければいけないので

システムでオフにできたらよかったと思います。

 

 

グラフィックは前作より大分綺麗になっていますね。

デフォルトされたアニメ調なのですが、よりイラストに近い3Dになっています。

このぐらいならば合格点ですが、

昨今のリアルテイストの本格派を期待してはいけません。

重要なシーンはアニメーションで展開されるのですが、

このムービーの出来もかなり良いです。

発色も綺麗でよく動きます。

 

 

プレイ時間は、一週目はサブイベントを8割がた

コンプリートして90時間です。

二週目は武器とスキルの引継ぎを行ってサブイベントをほとんど飛ばし、

かわりに一週目ではできなかった

温泉イベントをクリアして40時間です。

すべての要素をクリアせず、

ストーリーを最短で追ったとしたら

一週目は50時間ぐらいかかると思います。

サブイベントをちょっと進めるだけで軽く70時間ぐらいかかるでしょう。

RPGとしてはかなりのボリュームですね。

 

丁寧に作られた作品だと思います。

ストーリーも今までの形式にあまりとらわれず、

珍しくダークな主人公を採用し、今までのシリーズにないものが見て取れます。

RPGでは二週目を一度も遊んだことがなかったのですが、

二週目でも集中を切らさず、最後まで楽しくプレイできた初のテイルズであり、

このあたりから鑑みてもかなり気に入った作品です。

とても楽しくストーリーを追っていけました。

その分サブイベントがボリュームありすぎて、サブイベントをやると

ストーリーがかなりぶつ切りになってテンポが殺がれてしまうのが少々残念です。

ですが全体的に非常にうまくまとめあげられた作品で、

RPG好きでユーリのようなタイプの主人公でもいい人ならば

ぜひともお勧めしたいですね。



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