ワイルドアームズ

ザフォースデトネイター

WILD ARMS the 4th Detonator

 

一言レビュー

シナリオがもう少し長ければ…

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 5点
快適さ 9点
満足度 7点
総プレイ時間 33時間
総合評価 75点

 

 

発売されてすぐ値段が暴落したのですが、

個人的にとても良い作品だと思います。

ワイルドアームズらしさ、というものも

残っていますし、グラフィックの進化には

正直目を見張るものがありました。

 

ではどうして値段が暴落したのかというと。

 

1.マルチオープニングの廃止

ワイルドアームズの中でも、これはとっても好きなシステムでした。

ほとんどのRPGは主人公は一人きり、あとは脇役ですよね?

それが、それぞれのキャラクターが一人から

冒険を始め、仲間が皆一つのところに集って冒険を進めるという過程は、

キャラクター全員が主人公である、という趣旨がありました。

 

また、彼らがどうして冒険しているか、という目的がはじめからはっきりしていて

その人物を捉え易かった、というのもあります。

最も、メインキャラクターはどうしても決まってしまうのですけど

 

 

2.アクション要素の強化、パズル要素の減退

今回はアクション要素がかなり強く出ています。

反対にパズル要素はかなり控えめ。

と言っても、アクションが物凄く苦手の私でも

クリアできるレベルには調整されています。

 

今までは各キャラクターが使えるグッズが決まっており、

キャラクターを切り替えることによりグッズを使用していたのに、

ジュード一人きりがダンジョンをクリアする趣旨になっています。

また、グッズはほとんどが各ダンジョンに置かれており、

使用するグッズがすぐにわかってしまうことが

パズル要素の減退理由のひとつです。

 

そのグッズを運ぶのに知恵を働かせなければいけないので、

別のパズル要素もあるのですが、それでも従来のものより低くなっています。

 

それと、これではダンジョンクリアにはジュードしかいらなくなっているので、

皆で力を合わせてダンジョンクリアするという従来のシステムからは

かなりかけ離れてしまっています。

 

これがちょっと残念。

いちいちキャラクターを切り替えなくていいので、

楽、というのも確かにあるのですが

 

 

3.ストーリーが短い

昨今のRPGとしては、かなり短い部類に入ると思います。

私は30時間以上かかっていますが、

それはのんびりやっていただけで、

ストーリーを追いかけて、先へ先へ行けば、

20数時間で十分クリアできると思います。

 

サクサク進む感覚はよいのですが、あっという間で、

敵キャラもきちんと人物背景を練ってあるはずなのに、

一回のバトルであっけなく倒してそれでさよならです。

 

シナリオは十分魅力的なので、非常に残念ですが、

どうやらこれは上の(多分SCE)指示らしいです。

本来05年の秋頃に出るはずだったのに、

半年近く縮めさせて無理に急がせたようで、

どうしてもこの短さにならざるを得なかったとのこと。

 

本来はこの倍はシナリオがあったそうなので、

今作の中で、一番残念な部分です。

発売日は長引いてもよかったので、

もっとストーリを長く、よく練りこんで欲しかった。

次回作からは、是非こんな強引な手法をやめてほしいです。

 

また、11月にベスト版が出るそうです。

発売されて、半年ぐらいでベスト版を出すとは、最低ですね。

ここまで値崩れするとは思っていなかったようで、

慌ててベスト版を出すようにした様が目に浮かぶようです。

この教訓を、今後の作品に(SCEが)活かして欲しいものです。

 

 

4.フィールドの廃止

従来のフィールドが廃止され、シミュレーションのような、

町やダンジョンが点で各マップ間を線で結ぶような形になっています

RPGは、冒険をしたいのです。

世界を歩いてるな〜という実感が重要ですので、

これはまったく賛成できない変更点でした。

 

フィールドがなくなっているので、マップに落ちているアイテムを

サーチして歩くという楽しみも今回は無しです。

とても残念です…。

 

 

5.自由度がない!

RPGにおいて、これは非常に重要な要素の一つだと思います。

前の街マップには当分帰れないと思って良いでしょう。

とにかく前に、前に進むのみ。

 

本当の最後辺りでようやく各マップを自由に回る事が出来るようになりますが、

あのマップにとり忘れ、買い忘れのアイテムが〜となっても

だいたいが後の祭りです。

マップも小さく、街マップも3つしかありませんので、

(厳密には4つかも)

とても世界が小さくなっています…。

もっと世界を色々巡りたかったですね。

 

 

いろいろ悪い点を書いてしまいましたが、

概ねこれはシリーズのファンの難点です。

新規ユーザーは4.5以外はあまり関係がないでしょう。

 

今回も良い点は沢山あります。

ストーリーは短いのですけれど、

良いシナリオに出来上がっていると思います。

短いので、スピード感も出来て、

あっという間に通り過ぎてゆく感覚と、

追われているものが力の限り逃げている事が

上手く表現できていると思います。

 

感動も、本人達が言いたいことも押し付けがましくなく、

自然に納得できますし、

後半の感動要素も素晴らしい出来だと思います。

昨今の感動の薄いRPGにしては秀逸でしょう。

 

ただ、大人と子供の対比が前面に押し出されていますので、

その辺りがちょっとしつこく感じるかもしれません。

子供だから〜出来ない、大人だから〜だと言うことが

とても出てくるのです。

 

ですが、子供だから出来ること、大人だから出来ること、

子供だからある無限の可能性、

大人だからあるしがらみと、失われた可能性、

そういうものを凄く感じさせるストーリーでした。

殆どの人が、子供の未来を信じてくれていて、

とても素敵な大人のキャラクターが沢山いました。

 

キャラクターの性格付けと背景も丁寧に作られており、

ストーリーのためにキャラクターがあるのではなく、

キャラがぐいぐいとストーリーを引っ張っていく、

力強さがあり、楽しかったです。

 

 

今回の一番良い点は戦闘の変更です。

戦闘が終了するごとにHPが回復するので、

難易度は低いのかと思えば、そんなことはありません。

 

HEXと言われる六角形のマスを移動して攻撃します。

中央にHEXがひとつ、それを取り囲むように花びら状に

6つのHEXが配置されており、中央は全部の位置に攻撃できますが、

その他のHEXにいる場合は、基本的に

中央と左右にしか攻撃できません。

 

一つのHEXには複数の人数が入ることが出来ますが、

味方のいるHEXには味方だけ、敵のHEXには敵だけ、

誰もいないHEXには敵、味方、

どちらも入れるようになっています。

 

また、攻撃するときは指定したHEX内にいる敵全員を攻撃します。

また、敵も同じHEX内にいる味方を全員攻撃することになります。

要するに、味方はある程度HEX

ばらして配置したほうがいいのですが、

あまりばらしすぎると、HPが減りすぎてピンチになります。

 

敵の攻撃が物凄く高く、

HPの三分の一ぐらいの攻撃が平気で飛んできますので、

よくキャラクターが戦闘不能に陥ります。

しかもアイテムは同じHEXか、

隣接したHEXしか使用できないため、難易度は高め。

 

ただ、全員戦闘不能になっても、

その戦闘からコンテニューが可能ですので、

きちんと難易度は調整されています。

 

HEXには属性のあるものが3つ配置され、

それによって魔法の種類が変わります。

 

また、ターンも敵味方共に、素早い順から攻撃を開始します。

下のほうに、敵味方の行動順が

わかるようにアイコンが配置されています。

 

これにより、物凄く戦略性というものが重視されることになります。

スリルがあって、機知に富んでいて、

戦闘が楽しく、飽きさせませんでした。

 

FP(攻撃したり、されたりすると溜まるもの)

というものを消費して使用する、

同じHEX内にいる者の合体攻撃

コンビネーションアーツというものがあるのですが

これも楽しかったです。

 

キャラクターごとに戦闘での役割も違っており、

各自に得意な敵があるので、

この辺もキャラクターの特性を良く活かしていると思います。

 

これほど戦闘の楽しかったRPGは久しぶりです。

これは、次回作も受け継いで欲しい点です。

 

 

システムも懇切丁寧。

説明書が無くてもHELPの解説があるので、

複雑ながら、わかり易く、細やかに作られていると思います。

 

グラフィックも、今までの三流レベルを払拭し、

かなり上位レベルに食い込んでいる、

美しいものに仕上がっていると思います。

 

そして凄いのが、街のキャラクター一人ひとりに

立ち絵が用意されていることです。

どの町の、どの人に話しかけても、全員立ち絵が違っているのです。

 

しかもキャラクターの性格付けもしっかりつけられている点は、

物凄い執念を感じます。

ここまでやっている作品は初めて見ました。

 

ボイスは有名声優さんを起用しているだけあって、

上手く、またキャラクターに良くあっている配役だと思います。

ただ、ごく一部にしか声が入っていないのが残念。

せめてイベントでキャラクター達が喋っている時は、

全部入れるべきだと思います。

 

 

沢山問題点も上げてしまったのですが、

良い作品に仕上がっていると思います。

今回は試験的にアクション要素を強くし、

従来にあった色々な物をなくしてみたそうで、

次回作に今までの作品と今回の作品が

綺麗に融合されたシステムを作るとの事です。

 

いつまでも同じシステムばかりだと、

プレイヤーに飽きられてしまいますので、

今回のようにガラリとシステムを変えてみるという試みも、

やってみるべきだったと思います。

 

ある意味意欲作だった今作ですが、

寄せられたユーザーの感想(苦情が多かったかと)も

作成された会社の方がきちんと読んでおられるようで、

次回作に絶対活かしてくれると信じています。



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