ゼノサーガ T・U

 

一言レビュー

ストーリーによる、ストーリーのためのRPG

 

グラフィック 10点
シナリオ 8点
ボリューム 8点
快適さ 7点
満足度 7点
総プレイ時間 25時間
総合評価 81点

 

 

PS2で発売されている、ゼノサーガエピソードT、エピソードU

をひとつにまとめたゲームです。

PS2版のものより、手軽に遊べるようになっていますね。

SF好きな人なら満足できるレベルだと思います。

 

謎が謎を呼ぶ展開、テンポよく進むストーリー、

SFらしい難解な特殊用語と、

ストーリー自体はとても良いです。

ただやはり、専門的過ぎる台詞や用語が山のように降ってくるため、

敷居が高い作品になっています。

間違っても小学生向けではないでしょう。

中学生でも難しいと思います。

 

また、ジャンル的にはRPGであるものの、

ストーリーの為に移動・ダンジョンを踏破する、

という要素が強いため、

RPGらしさを求める人には向きません。

章毎にストーリーが分けられていますが、

実質アドベンチャーパートのみで進む章も少なくありませんので。

そういう意味では、アドベンチャーRPGというジャンルに

近い作品だと思います。

 

PS2からの移植ということですが、

Tの部分は実に忠実に移植されています。

調べてみたら、台詞がそのまま使われたりしているので、

かなり原作を大事にしていますね。

Uの部分ですが、いささか「あれ?」と思うような

変更部分、統合部分があるものの、

T・Uがくっついてひとつの作品として成り立つのに、

破綻なく上手にまとめられていると思います。

 

今回移植にあたり、新たなストーリーが追加されていますが、

簡単なエピソードがほとんどな物の、

ストーリーを深く知る上で重要なサブエピソードや、

思わず、くすりとくるエピソードで、とても良かったですね。

 

 

戦闘はPS2版のシステムを踏襲しつつも、

かなり簡略化されたものになっています。

手軽に、簡単に進めるようになっていますね。

ダンジョンも簡略化され、それがストーリーを進めるために

ダンジョンをクリアするという要素に拍車をかけてしまっていますが、

まあ、ゼノサーガはまずストーリーありき、なところが

多分にあるゲームですので、PS2版の冗長なダンジョンよりも、

携帯機であるDS版ではむしろこちらのほうが良かったかもしれません。

 

攻撃は遠距離と正面の敵にしか使えないものと二つに分けられ、

アタックポイントを溜めると必殺技が、

二人連続でブーストをかけると協力技が使えます。

上記の攻撃方法を取ると

台詞とカットインが表示されることがあるのですが、

このカットインはなかなか良かったですね。

 

ただ、画面右端など隅に敵がいる場合、

攻撃を当てても敵がほとんど表示されていないため、

どのぐらいの攻撃を与えられたかの数値が見えないことがありました。

また、ブーストですが、そもそもあまり溜まりませんので、

ボス戦以外ではほとんど使いませんでした。

その辺はちょっと残念ですね。

 

陣形という、ある位置にキャラクター達が配置された場合、

防御力や、EP使用値の減少等の効果が現れる

システムが採用されているのですが、

ある特定の陣形が便利すぎるため、

それ以外の陣形をほとんど使いませんでしたので、

バリエーションの多さが生かされていませんでした。

その辺ももう少し考えて欲しかったところですね。

 

 

次に基本的なシステムです。

カートリッジタイプのゲームだけあって、

ロード等のシステムは優秀ですね。

用語解説集もちゃんと装備されており、

サブエピソードも何度でも、いつでも見られて良かったと思います。

まず問題ないですね。

 

グラフィックですが、DSとしては非常に素晴らしい。

最高水準だと思います。

やや荒いものの、DSでまさかムービーが

見られるとは思いもしませんでした。

しかもひとつではないところが凄いですね。

 

一枚絵のCGも綺麗かつ魅力的で、

しかもアドベンチャーかと思うほどあります。

立ち絵も綺麗で絵崩れもなく、また一枚絵との差もありません。

原作の絵を大事にしてか、元の絵とも

違和感のないレベルに仕上げてきていますね。

実に綺麗だと思います。

ミニキャラの動きも豊富で、表情豊かな立ち絵とあいまって、

実に高水準なレベルでした。

 

 

プレイ時間は、サブイベントをほぼコンプリートしての時間です。

ジンケイの挑戦だけはクリアしていません。

ストーリーを最短で追ったら15時間ぐらいだと思います。

DSとして、ボリュームはなかなかなものでしょう。

しかしこうしてみると、原作がよっぽどボリュームが少なく、

その分サブイベントと長大なダンジョンで

水増ししていたのが良くわかります。

 

このシリーズは三作で完結になりますので、

このゲームだけでは終わっていません。

伏線の類はほとんど回収されていませんので、

続きは是非PS2のVで、という感じですね。

Vもレベルの高い仕上がりになっているので、

今作で楽しめたのならば、PS2版のVでも十分満足できるかと思います。

 

お世辞にも万人向けとは言いがたく、また子供向けのゲーム機体ながらも、

完全に大人向けのRPGですので、小中学生には全くお勧めできません。

また、RPGらしいRPG、自由度を求めている人にも向きません。

ただ、ストーリー重視で難しい展開にも付いていける人にはお勧めですね。

万人向けとは言い難く、癖が強くてプレイする人を極端に選ぶものの、

レベルは高いものに仕上がっていると思います。




HOME    BACK

inserted by FC2 system