ゼノサーガ エピソードV

ツァラストゥラはかく語りき

 

一言レビュー

シリーズ完結編の名に恥じない完成度

 

グラフィック 10点
シナリオ 8点
ボリューム 6点
快適さ 6点
満足度 8点
総プレイ時間 45時間
総合評価 78点

 

 

シオンが主人公のゼノサーガ完結編にあたるゲームです。

今まで伏線を張りまくり、

謎が謎のままばら撒かれていたものが、

一気に紐解かれていきます。

 

明らかになる真実、加速するストーリー、

それを見事に彩る美しいポリゴンで作られた長大なムービーと、

惜しげもなく最新の技術を駆使して

物語を完結してゆく手腕は素晴らしいです。

 

ただ、SFだけあって専門用語が多く、

エピソードT〜Uをプレイしていないと

全くわからない設定がこれでもかといわんばかりに出てきますので、

是非順番にプレイされることをお勧めします。

まあ、3作を丁寧にプレイしていても、

専門的過ぎる台詞や言動が、かなりわからなかったりするのですが。

解説の解説が欲しかったりしますね。

そういう意味からすると、かなり敷居の高い作品になっています。

 

また、RPGという形式を取っているものの、

ストーリーを進めるためにダンジョンを踏破するという趣が強いため、

そういうのが嫌いな人、

RPGらしいRPGを求めている人には向きません。

特に自由度は皆無に等しいです。

1作目でいけると思った人は問題ないと思うのですが、

ゲームの作りが全作を通して、ストーリーとグラフィックが

7〜8割を占めるタイプのゲームですので、

人をかなり選ぶものだと思います。

 

後今作ですが、他のメディアで展開されている

ストーリーがかなり密接に関わってきているのが気になります。

少しは解説されていますが、この人誰?的な人が2人ほど、

当たり前のような顔をして出てきているのが辛いですね。

ストーリーの中で、回想なり、ムービーなりの視界に入るタイプの

ものできっちり解説するべきだったと思います。

 

それと気になったのが、主人公シオンの性格ですね

シリーズ3作目で激変。

鈍いがおっとりしていて、それでいて芯の強い、

優しい女性に描かれていたのが、

かなりきつく性格の悪い人に変わっています。

 

特に如実なのがミユキとのやり取り。

物凄く性格が悪く見えて、びっくりしました。

Jr達がそのやり取りを見て笑い出したところを見ると、

どうも製作者側は師弟のどつき漫才のつもりで描いているらしいのですが、

どこをどうみても妹分を苛める意地の悪い人にしか見えませんでした。

 

シオンを心配して、仲間が声をかけているのに、

痛烈な皮肉で返したりして、かなり人格に問題ありの人に描かれています。

今回のシオンを言い表すのならば、

我侭で、自己中心的。自分が不幸なあまり全く周りが見えていない。

という感じですね。

辛い思いをしてきたのは彼女だけではありません。

パーティにいる人物たちは皆、多かれ少なかれそういう思いを

体験しているのに…という感想を持ちました。

今作でかなり嫌われたのではないでしょうか?

主人公ですので、もっと気を使って欲しかったですね。

 

 

戦闘は今までのシステムを踏襲しつつも、

かなり簡略化されたものになっています。

残ったのはブーストとブレイクぐらいでしょうか。

 

今回、ブーストは全員でメーターを溜めるものになっており、

攻撃を当てることにより溜まっていきます。

溜めたブーストを使用することにより、

従来どおり順番に割り込むことも出来ますが、

溜まったブースト回数により、各人が必殺技を使えるようになっています。

 

ブレイクは攻撃されることにより溜まっていき、

目一杯まで溜まると数ターン行動できなくなるものです。

ブースト回数を溜めて必殺技を使い、

相手のブレイクメーターにもダメージを与えつつ、

ブレイクとHPを回復する、

というのが基本スタイルでしょうか。

シンプルになっただけあって、さくさく進めるようになっていますね。

 

E.S.のバトルも今回はかなりきっちり作られており、

動きやエフェクトも派手で綺麗ですね。

戦闘もごくシンプルで、

攻撃しつつ、溜めたアニマゲージを使って

アニマを覚醒させ、必殺技を使っていくタイプのものなのですが、

これが結構簡単ながらやっていて楽しいです。

複雑にしすぎてわけがわからなくなるよりも、

こういうシンプルながら魅せる戦闘スタイルはなかなか良いと思います。

 

キャラクターのカスタマイズですが、

スタイルラインというものを使用しており、

Lvアップすることにより覚えるものもあるのですが、

大体のスキルやアーツ、エーテル(魔法のようなもの)は

このスタイルラインを使って覚えていきます。

また、基礎パラメータをあげるものも含まれています。

キャラクターごとに特性があり、

キャラクターメイキングにおいては良く出来ていると思います。

ただ、単純すぎて、もうちょっと捻りが欲しかったかもしれません。

 

 

次に基本的なシステムです。

戦闘に入るときのロードは軽く、ムービーもあのレベルのものだと、

ロードがかなり短く出来ていると思います。

その辺はストレス無く出来ていますね。素晴らしいです。

データベースという、シナリオで使われた専門用語から、

人物、ロケーション、政府等々、事細かに解説してあるものがあり、

ただでさえこんがらがる人間関係や専門用語を見直すのに

とても便利なものがあって、眺めているだけでも楽しかったですね。

ただ設定上、膨大なボリュームになっていて、

見るのは大変でしたが。

 

プレイ中、物凄く気になったのが効果音と音楽のレベルでした。

移動するごとに足音がするのですが、

癇に障るほどかなりでかいボリュームになっています。

特に、足音が反響する場所の場合、

それに見合うように足音がエコーのように反響し、

耳障りなほど大きくなるのが非常に煩かったです。

それに対し、音楽のボリュームがかなり小さいため、

音楽は無いも同然でした。

 

音楽自体は大人っぽい、ジャズ風味の音楽から、

ピアノ曲、ボーカル曲となかなか良い音楽が揃っていたと思うのですが、

ボリュームが小さいため、とにかく耳に残りません。

あんまり聞こえないので、大事なバトルの時でも盛り上がりに欠けます。

雑魚戦での戦闘曲も思い出せないようでは、

ちょっと駄目だと思います。

戦闘曲もおとなし目の曲だったせいもあるのですが…。

 

移動中に壊せるものがある場合、

キャラクターごとにモーションをして物を壊すのですが、

それを壊した時の腕に来るコントローラーの

バイブレーションがかなりきつかったです。

腕にすごい反動があり、立て続けに壊す場合は

手が痛くなったので、始め頃にデュアルショック機能は

無効にしてしまいました。

この辺の加減をもうちょっと考えて欲しかったですね。

 

 

グラフィックですが、非常に素晴らしい。

PS2においては、ゲーム史上、トップクラスだと思います。

人としてのリアリティを追求したスクウェア・エニックスと違い、

アニメ的な絵を3Dポリゴンで出来るだけ違和感無く再現するという、

別の角度でのリアリティを表現しています。

人の表情も実に自然で、大変美しかったですね。

E.S.のグラフィックもとても美麗で、

文句の無いレベルだと思います。

 

ただし。人がしゃべっている時、バストアップのモデルが

表示される事があるのですが、左右非対称の人物の

服の模様や顔の傷が左になったり右になったりしていたのが

かなりまずかったですね。

ただひっくり返すのは、左右対称の人物だと問題ないので

そのまま使ってもいいのですが、

左右非対称の人物ぐらい書き分けて欲しかったものです。

まあ、不満はそのぐらいでしょうか。

 

 

プレイ時間は、サブイベントをほぼコンプリートしての時間です。

ジギーの最強武器だけはクリアしていません。

すべての要素をクリアせず、

ストーリーを最短で追ったら20〜30時間ぐらいだと思います。

ムービーが無ければ更に短くなると思います。

ボリュームが足りないですね。

ただ、ダンジョン踏破 → 長大なムービーの繰り返しでしたので、

あまり短さは感じませんでした。

 

 

全体的な要素を見るとシリーズ完結編として、

うまく纏められていると思います。

しかし、続編を睨んでか、謎が結構残ったままになっています。

普通のRPGのカテゴライズからはかなり逸脱しており、

自由度は無いに等しく、とにかく決められた道を

前に前に進むのみの、ストーリー・CG重視のゲームです。

 

万人向けとはちょっと言いがたいものがあり、

ボリュームも短く、あの長大なムービーと

異常にでかいダンジョンさえなければ

三作を一作に出来たぐらいのものです。

ストーリーに関わる特殊言語や密接な人間関係、

複雑な設定を詰め込みすぎた感が否めませんが、

RPGでもストーリーとグラフィック重視、

SF大好きという方には向く作品だと思います。

複雑な設定がなかなか良い味を出していますね。

 

今回のゼノサーガT〜VはゼノギアスエピソードTに当たるのですが、

この調子ではゼノギアスエピソードX(PS版ゼノギアス)に辿り着くまで

10作以上かかりそうですね(笑)

ゼノギアスエピソードYがプレイできることなど、

夢物語かもしれません。

ゼノギアスエピソードU〜Wは省くか

簡略化してくるかもしれませんが、

次回作はもう少し長大なボリュームを期待します。

決して長大なムービー、サブイベントではありません。



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