英雄伝説W 「朱紅い雫」

 

一言感想

重厚なストーリー

 

グラフィック 7点
シナリオ 9点
ボリューム 7点
システム 7点
快適さ 7点
満足度 9点
総プレイ時間 40時間
総合評価 82点

 

 

ガガーブ三部作のうちの二作目にあたるお話であり、

三作の中で一番年代が古いストーリーになります。

一応同じ世界なものの、地理的に隔てられていて、

白き魔女の舞台とは基本的に行き来できないようになっています。

白き魔女より50年近く前のストーリーです。

 

まず、始まりがカテドラール陥落から、妹アイメルと

離ればなれになるところから始まります。

これがストーリーの全体を大まかに表現しており、

始終きな臭い匂いが付きまといます。

人の生き死を丁寧に描いているのですが、

簡単に切り捨てるのではなく、その死にはそれぞれ意味があります。

死を気軽に弄ばないというところに好感が持てました。

 

妹アイメルを探しに旅立つというところから本編が始まるのですが、

途中で差し挟まれる再会と別離、絶望の果てに壊れそうになるも、諦めない不屈の心、

歯を食いしばってでも前へ進むというストーリーは素晴らしかった。

運命に抗い、足掻いた末に掴んだものは、主人公だけではなく、

彼に手を差し伸べた人たちの尽力もありました。

主人公を取り囲む各キャラクターの暖かい思い、

それに背を押されて一歩一歩進んでいく主人公。

丁寧に積み上げられた重厚なストーリーは良く描けています。

今でも遜色ないどころか、このレベルに達しているゲームの方が少ないと思います。

この時代にこれだけのストーリーが描けているのに驚愕しました。

 

 

サブシナリオはこれも一切ありません。

完璧な一本道で、とにかく前へ、前へ進むだけのストーリーであり、

世界を基本的に徒歩で旅します。

そこに自由度はほぼなく、いける所はとても限られていますので、

そういうところを重視する方は要注意です。

伝統としてある本のシリーズですが、

今回もショートストーリーとしてはなかなか良い出来です。

このあたりから入手方法が非常に意地の悪いものとなっており、

ある特定のタイミング以外は手に入れられない仕様になっています。

しかも本を手に入れるには下準備が必要なこともあり、

とても難易度が高いようになっています。

この辺の難易度はなにか違う気がしますね。

 

 

戦闘システムですが、ようやく普通レベルになりました。

いわゆるアクティブタイムバトルですね。

それぞれの行動には待機時間が存在しており、

一度行動すると待機時間が0になるまで行動できません。

魔法は詠唱に時間がかかる仕様です。

敵味方乱れて待機時間が0になったものからどんどん攻撃していきます。

ですが今回は使用する魔法が指定でき、

オートバトルも可能になっています。

ただし、AIが非常にバカであり、

よっぽど数が少なかったり弱かったりしないと

てんでバラバラに攻撃しますので、

自分で攻撃を指定した方が早くなっています。

 

回数制限のある必殺技というものもあるのですが、

取り立てて目新しいものもないシステムです。

戦闘に関しては可もなく不可もなくでしょうか。

文句があるとすればAIの思考回路を

もうちょっと何とかしてほしかったぐらいです。

 

 

 

グラフィックはPS〜PSPレベル。

発色が大分綺麗になりました。

街マップも無駄にでかいということもなくなり、

なんとか耐えうるラインまで来ましたね。

ですが始終ちびキャラの人形劇が展開されるのは少々さびしい限り。

もうちょっと立ち絵や1枚絵を多用してほしかったと思います。

何分古いゲームですので、グラフィックに関しては大分甘めに点数をつけてあります。

とにかくこの方面に関して、期待は禁物です。

 

 

 

基本的なローディング等のシステムは機種に依存するかもしれませんが、

マップ切り替え等特に問題ありません。

その他のシステムですが、前作に引き続き下記が非常に悪いです。

まずキーカスタマイズがない。

キーカスタム機能のあるコントローラーを使っていたので何とかなりましたが、

それも一々キーカスタムをしなければいけなかったのでとても面倒でした。

 

マップのつながりは大分ましになりましたが、それでもまだ見づらく、

建物の中にどこから入れるのかわかりにくいです。

椅子率が大分低くなり、操作キャラクターが小刻みに

ぴょこぴょこ動くのもましになりましたが、

それでもまだキャラクターの動きが気になります。

そして移動スピードが非常に速い。

あまりに早くって目が回りました。

もう一つスピードを落とすともっさりし過ぎですし、

中間が欲しかったですね。

 

 

戦闘キャラクターですが、今回も常にがっちり決められています。

そしてパーティイン、パーティアウトが頻繁にあります。

皆入れ代わり立ち代わりしており、長期にパーティにとどまっているのは

マイルとルティスぐらいです。

上記二人にしても、マイルは後編、ルティスは前編にはほぼおりませんので、

ずっと居続けるのは本当に主人公ただ一人です。

ストーリーを主にしているゲームなので仕方がないと言えばそうなのですが、

パーティーキャラクターは最後においてまで、まったく自由がありません。

短期パーティインするキャラクターは愛着が持てませんでした。

この辺はもうちょっとどうにかしてほしかったですね。

 

 

 

プレイ時間が表示されないのではっきりとはわかりませんが、約40時間。

グラフィック、戦闘システムがなんとか耐えうるレベルになっています。

 

ストーリーは総じて良く、どこか暗い雰囲気があるものの、

それでもどっぷり暗いわけではなく、

どこかしら一筋の希望が差し込んでくるストーリーで

重厚な仕上がりになっています。

各キャラクターの活かし方、

プレイヤーをぐいぐいとひきつける展開はさすがの一言です。

やや古臭いところがあるのですが、

十分今でも通用するレベル。

白き魔女が色々と駄目な点が

目に付いたのであまり期待していなかったのですが、

想像以上の出来でした。

ただし、自由度は全くありませんので、

その辺を重視する方は要注意でしょうか。

ストーリーメインの人のためのゲームです。




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