蒼の彼方のフォーリズム


一言レビュー

蒼く、眩い架空の世界での空のスポーツと恋



グラフィック  10点
シナリオ     9点
ボリューム    7点
快適さ     10点
満足度      9点
総プレイ時間 31時間
総合評価    95点


 ストーリー


現代日本のように見えて、実際は良く似た架空世界のお話です。
数十年前、地球の重力を無効化する不思議な粒子を発見し、
反重力装置が組み込まれた靴が開発された。
アンチグラビトンシューズ、略してグラシュと呼ばれる靴を履くことにより、
人は単体で空を飛ぶことが可能となった世界。
本島では人が多くてあまり自由化されていなかったが、
離島では爆発的に広まっていた。

日本で最もグラシュが広まっており、
四つの島と30の小さな島々を一塊にした四島列島では、
それを使った新興スポーツ「フライングサーカス」が盛んだった。
ジュニア時代、フライングサーカスの日本代表選手にまで
上り詰めた日向晶也は、12歳を境に
とある理由でフライングサーカスそのものをやめ、
グラシュを履いて飛ぶことすら嫌っていた。
そんな晶也が、本島から引っ越してきた
非凡な才能を持つ倉科明日香と出会い、
嫌っていたフライングサーカスの部活の
コーチをすることによりお話が展開していきます。

 シナリオ感想

とにかくフライングサーカスのスポーツ自体が非常に良くできています。
架空の世界観と競技なのですが、
よくこのルールや技能を考えたと感心しました。
ルールや特性、空を飛ぶ楽しさ、
スポーツに夢中になる青少年たちの爽やかな青春が
晶也の葛藤を織り交ぜて、どこまでも蒼く、鮮やかに描かれています。
その眩いばかりのキラキラとした輝きに、吸い込まれるようなストーリーです。

これぞスポーツ&青春!といった感じで、
恋愛をからませてフライングサーカスの選手の少女たちの思いと
悩みを丁寧に紐解いていくストーリーが素晴らしい。
通常会話も楽しく、会話の妙を感じられます。
何気ない会話が非常に楽しく、くすっと笑ってしまう朗らかさがあり、
シナリオライターの力量が見て取れます。
こういうなんでもない会話をテンポ良く、
楽しく上手く書けるのは良いですね。
個別ルートに入ってからはどのヒロインも各4時間程度と
やや個別ルートは短いものの、飽きさせず、
テンポ良く走り抜けた感があり、物足りなさをあまり感じさせません。

 快適さ

システムは最高峰です。
文句のつけようもないぐらい完成されていますね。
履歴からの再開も完備。
オートクイックセーブもあり、
ボイスも各個人のボリュームを設定可能です。

システムは細かく設定でき、
アドベンチャーに必須のシステムは
全てと言っていいぐらい揃っています。
オートモード中も他のボタンを触ることが可能です。
チャプタージャンプも搭載。
そしてどのシステムも非常に使い勝手が良い。
セーブを上書きできなくするシステムが地味に良かった。
試合のリプレイもあるのは凄いですね。

 グラフィック

グラフィックはふんわりとしており、
やわらかで可愛らしさを残しつつ、綺麗目な絵柄。
昨今の萌とはちょっと違い、万人向けの可愛らしさがあります。
作画は非常に安定しており、
立ち絵、CG、追加CG共に違和感は全くありません。
塗はふわりとしたやわらかな着彩で、絵柄に非常に合っていると思います。
構図も華があり、美しい。
絵に関しては非常にクオリティが高いです。

CGの枚数は差分抜きで恐らく173枚。
同じCGでも他ヒロインのページに沢山掲載されており、
非常に数え辛いので、約の枚数です。
そのうちデフォルメのミニキャライラストが三分の一ぐらい。
そしてCG欄には掲載されていませんが、
試合中のCGが大量にある為、
実際のCG枚数は300枚近いのではないかと思われます。
作品ボリュームに対して唸るぐらい多い枚数です。
安定したクオリティでこれほどの枚数があるのは素晴らしいですね。
試合中のCGボリュームが凄まじいため、
架空の競技フライングサーカスが非常にわかりやすく、
臨場感あふれるシナリオ展開になっているのは凄いの一言です。

差分も大変多く、差分の無いCG自体が珍しい。
最も多い差分のCG枚数は40枚と、とにかく差分枚数は圧巻です。
ここまでふんだんにCGを使ったアドベンチャーはそうそうないと思います。
CGに関しては他の追随をなかなか許さないほど、
贅沢に出来ていますね。

 プレイ時間&総評

プレイ時間は約31時間。
時間が表示されないタイプですので、約の時間です。
プラチナトロフィーを取得しています。

架空の世界・架空の競技フライングサーカスを
見事に描き切った作品です。
色々なところが高クオリティで、正に圧巻。
蒼く、眩く、華のあるテンポの良いストーリーで、
見る者を惹きつけてぐいぐいと引っ張っていく
何とも言えない魅力があります。
やや短めのアドベンチャーをお探しの方に強く推したい作品です。




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