アストラエアの白き永遠

−White Eternity−

一言レビュー
優しい雪の降る街で今、贈り物を還す

グラフィック   8点
シナリオ     8点
ボリューム    9点
快適さ      9点
満足度      8点
総プレイ時間 50時間
総合評価    86点

 ストーリー


この二年というものの、冬がずっと続く月ヶ咲。
決して積もる事のない優しい雪が、晴れた空の日でも降り注ぎ、
住民たちはそれを当たり前のように受け入れていた。

榛名陸は能力「ルーン」と呼ばれる不思議な力を持つ、
能力者「エルフィン」と呼ばれる存在だった。
この月ヶ咲では、不思議と多くの人が頻繁にルーンを暴走させる。
一般人には異常気象と説明されている暴走を止めるために、
陸の所属している組織クロノスに命じられて、
幼い頃に住んでいたこの地へ
同じ能力者の蛍りんねと今崎ひなたと共に派遣されてきた。

もう一つの、局長の二人の娘の護衛という任務のために、
局長の実家に住むことになった陸は、
幼い頃に一緒に遊んでいた頃と
全く姿かたちの変わらない雪々(ゆうき)と再会した。

夏でも降る雪、積もらない雪、永遠に続くかの白い冬。
冬の妖精のような少女、雪々と陸が再び出会ったことで、
この街は春を迎えることになります。

 シナリオ感想

実にファンタジックな設定ですが、
主人公たちの持つ設定は重く、暗く、
その能力を持つがゆえに家族たちに捨てられ、
離別することとなる彼らの思いを丁寧に描いていく、
家族愛をモチーフにした物語です。
ふわふわと甘く白いのかと思えば大間違いであり、
家族との軋轢を押し潰されそうな思いで語っていきます。
その果てにはまぎれもない愛情が潜んでいるのですが、
淡々と進んでいくようでいて、
花びらが一枚一枚開いて行くかのような緩やかさがあり、
一つ一つのシナリオにボリュームがあります。

ヒロインや主人公たちの葛藤をとても丁寧に描いており、
それがいささか冗長になっている所もありますが、
全体的に家族をモチーフにした
クオリティの高いシナリオだと思います。
ただ、重いシナリオのために
先を急ぎたくなくなる不思議さがありますね。
やや癖の強い設定ながらも、
様々な家族愛をとても丁寧に描けています。

 快適さ

システムはとても快適です。
さすがはdramatic create。
アドベンチャーで必要なシステムはほぼすべて搭載されています。
次の選択肢かチャプター、未読テキストまで一気に飛べるモード、
バックログからのシーンジャンプも完備で非常に快適。

オートモードの速度もとても細かに設定可能です。
セーブデータがその時の場面のCGと何月のどのルートかのみ
表示なのがやや難ですが、
総じて使いやすいシステムだと思います。

 グラフィック

グラフィックは目の大きな非常に可愛らしい絵柄。
特にその目の描き方が特徴的で、好き嫌いが分かれると思われます。
最初はう〜んと思っていても、そのうち慣れるレベルですが。
ややハンコ絵な所があります。

立ち絵のクオリティも良く、
雪が降っている演出がとても素晴らしいですね。
背景の塗はやや差があり、雑に感じる物もあります。
人物の塗はややシンプルよりですが、特に問題ありません。

CGの枚数は差分抜きで120枚。
ちびキャラがそのうち22枚です。
差分もたっぷりとあり、差分の無いCGのほうが珍しいので、
実際の枚数よりもかなり多めに感じます。
主人公の顔を極力描かないようにしているようですが、
ログで主人公の顔がきっちり表示されますので、
描いたほうが良かったと思います。
塗は立ち絵とさほど変わりありません。

 プレイ時間&総評

プレイ時間は約50時間。
時間が表示されないタイプですので、約の時間です。
プラチナトロフィーを取得しています。

ファンタジックな世界設定で可愛らしい絵柄でありながら、
その真逆を行く非常に重い人物設定と、
家族愛をモチーフに描かれた物語です。
この世界の謎とヒロイン達をとても丁寧綴っています。
物語は長く、いささか冗長なきらいもありますが、
こういうファンタジックな設定がお好きで
ボリュームのある作品を探しているならばお勧めです。




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