救急救命カドゥケウス２

一言レビュー

正当な進化を遂げた外科手術アクション

前超執刀カドゥケウスの続編です。

前作より３年後、月森孝介と利根川アンジュは

アフリカのコスティカ共和国、難民キャンプに

援助という形で派遣されていた。

医者も薬も圧倒的に足りない激務の中、突如として帰還を命じられる。

３年前に全てが終わったと思われていた、ギルスが再び現れた為だった。

代わりの医師を手配してもらい、

たった一人だけ許された、月森が持つカドゥケウスへの医療研修推薦枠を利用して、

コスティカ共和国の青年、アデルを共に連れ帰り、

再びギルス根絶を目指すことになる、というストーリーです。

二転三転し、スピード感溢れるストーリーは相変わらず秀逸。

世界に知らしめられたカドゥケウスですらどん底に追い込まれたり、

思わぬ相手が敵側に回ったりして、

ぐいぐいとプレイヤーの興味をひきつけていくストーリーは実に巧みです。

交互に繰り返される、アドベンチャーパートとアクションパートの

時間のバランスは前作を踏襲しており、

その２パートが大体交互に繰り返されますので、

実際プレイしている時間よりも早く感じられます。

プレイヤーを飽きさせず、続きをどんどんプレイさせる

テンポの良さは本当に素晴らしいですね。

そしてこのゲームの醍醐味であり、

一番の魅力であるアクションパートなのですが。

前作を忠実に踏襲しつつも、正当に進化しています。

前作での失敗や快適でない部分を見直し、

更にプレイしやすい環境へと工夫を凝らしているのはさすがですね。

基本的なアクションパートはほぼ前作と変わっていないので割愛しますが、

タッチペンの感度向上は目覚しいものがあります。

また、カドゥケウスの良い点でもあり、悪い点でもあった難易度の高さなのですが、

一つ一つの手術毎に難易度を選べるようになっており、

アクションの苦手な人でも快適に遊べるように改良されています。

この変更点は賛成ですが、どうしてもクリアできない場合

Ｅａｓｙに変更できますので、

大抵の方がテンポよくクリアできるものの、

難易度の変更で何度も同じ手術を繰り返すことがなくなり、

ボリュームという点が減ってしまったのがいささか残念ではあります。

それならばＮｏｒｍａｌで頑張ればいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、

人間楽な道があるとついついそちらに逃げがちになるものですので。

ですが、Ｎｏｒｍａｌでがんばるという選択肢もありますし、

今回相当腕に覚えがある人用にＨａｒｄもありますので、

通常の難易度では物足りない高レベル者には嬉しい追加機能でしょう。

もちろん、いつでもプレイした手術を再プレイも可能で、

ランクが低かった手術のランクを

塗り替えていけるのも良いシステムだと思います。

前回少々難のあった基本システムは素晴らしく改良されています。

基本的に一プレイセーブは１つのみしか使用できません。

ですがこれが足枷ではなく、

このひとつのデータをロードすると今までプレイした一話一話が

ずらりと上から下まで並んでおり、いつでもプレイした話が最プレイ可能です。

以前の話をプレイする時、ストーリーモードを飛ばすことも、

またそのまま読むことも可能になっていますので、

お気に入りの話を何時でも何度でもプレイ可能になっています。

前作ではカンファレンスからのみのプレイになりましたので、

これは嬉しい変更点ですね。

また、手術中に話しかけられることがあり、

前作では再プレイ時でもそれをスキップすることが出来ず、

幾度も同じ会話を延々と聞かされてうんざりしていたのですが、

今回はワンボタンでスキップすることが可能になっています。

きちんと進化しているのが伺われますね。

ただし、たった一つだけ、携帯機なのにどこでもセーブが出来ない、

という点だけが改良されていなかったのだけが残念です。

それ以外は問題もなく、きちんとユーザーの声を聞き、

慢心することなく見事に改良していっている

企業の姿勢は素晴らしいものがあります。

他企業も見習ってほしい点でもあり、

アトラスの優れた点でもあると思います。

３Ｄグラフィックですが、ＤＳとしては普通のレベル。

前作とあまり変わっていませんが、

今回はきわどい体の部分は布地で覆う等、配慮が見受けられます。

前回でのアニメ調だった、やや子供っぽいイラストは一新。

新たな原画家氏を迎えて、シャープな印象を覚える絵に変化しています。

ただし、シャープを超えて冷たいイメージもあり、

やや好き嫌いの分かれる絵ではあると思いますが、

前作よりはこちらの絵のほうが好みだという方のほうが多いでしょう。

一部イメージががらりと変わったキャラクターもいますが、

体のバランスの描き方も良く、私はこちらの方が良いと思いますね。

基本的に自力でプレイし、どうしてもクリアできない手術のみ

Ｅａｓｙに切り替え、納得のいかなかった手術を

いくつか再プレイしてクリアランクを上げ、１４時間。

アクション系が得意な人はもっと短くなりますが、

今回もあるクリア後に出る超高難易度のエクストラステージをプレイされれば

もっと長くなるかと思います。

オペの再チャレンジがいつでもできるようになっていますので、

Ｓランク以外のオペをやり直してランクを書き直すのも楽しいです。

高難易度のアクションゲーム。

ですが難易度が高すぎるというプレイヤーの声を聞き、

難易度の選択肢をプレイヤーに与えたシステムは良い方に評価したいと思います。

私のように少々アクション系が苦手でも

難易度を下げればクリアできますので、

よっぽどアクション系が駄目な人以外はお勧めできるゲーム。

前作に引き続き、改良されたシステム、

相変わらずテンポが良く、面白いストーリーと、十二分に楽しめました。

前作が気に入った、というのならば絶対にお勧めしたいゲームです。

ただし、前作の続きですので、今作からプレイするのではなく、

前作から引き続きプレイすることが

前提条件なところがストーリーにはありますので、

前作未プレイの方は是非とも前作からプレイされることをお勧めします。