Chaos;HEAd NoAH

 

 

一言レビュー

誰か僕を守ってよという君、もう少し頑張れ

 

グラフィック 7点
シナリオ 7点
ボリューム 8点
快適さ 10点
満足度 7点
総プレイ時間 45時間
総合評価 76点

 

 

親の所持する渋谷のビルの屋上へ、

もろもろの日常道具を無理矢理設置してもらい、

コンテナを部屋代わり、通称ベースにして半ひきこもりをしている、

キモオタを自認する妄想癖のある高校生、

西條拓巳はエロゲーとフィギュアに囲まれて一人暮らしをしている。

ある日、入り浸っているオンラインゲームのチャットで、

ギルドメンバーであるグリムから渋谷で連続して起こっている

猟奇的殺人事件のことを教えられた。

 

コーネリアスタワーで起きた集団飛び降り自殺を発端とした、連続殺人事件。

殺害方法や殺害された者たちの関連性はないながらも、

その残虐性のあまり、同一犯ではないかということで、

ひとくくりに「ニュージェネレーションの狂気」

通称ニュージェネと称されていた。

そのチャット中に突然乱入してきた人物「将軍」は、

グリムがいる間は始終無言を押し通し、

彼がログアウトした途端、拓巳に話しかけてきた。

将軍が連続して貼り付けてくる画像は、

次のニュージェネを予言するかのようなものだった。

その日から、常に誰かに命を狙われている恐怖に苛まれ、

半恐慌状態になりながら、

拓巳はニュージェネに深くかかわっていくことになります。

 

 

 

とにかく、主人公が常に妄想し続けるというのが非常に癖の強い作品。

その妄想たるや、ポジティブでも、ネガティブでもドン引きな内容であり、

アクの強いキャラクター達を主人公・ヒロインに、

血生臭い連続殺人事件をメインストーリーに据えているため、

大変猟奇的でエキセントリックな内容となっており、

とてもプレイする人を選びます。

 

それでも主人公が徐々に成長していくのならば、

この臆病で妄想癖のある主人公に愛着も持てるのでしょうが、

殆どのルートで主人公は成長せず、成長したとしても終盤も終盤、

エンディング間近にやっとといった具合であり、

常にヒロイン達に僕を守ってと言い続けているヘタレな主人公が

許容できないと非常に厳しいと思います。

 

コンシューマ版はオリジナルにはなかった

ヒロインルートというものが付け足されているのですが、

通常のアドベンチャーのようにヒロインたちとの恋愛模様が描かれる、

というわけではなく、これはバッドエンドではないか、

他にグッドエンドがあるのではないかと思うほど、

衝撃的なエンディングを迎えるヒロイン続出であり、

そういう意味でも通常の恋愛アドベンチャーとは一線を画した作品です。

可愛いあの子と幸せなエンディングや恋愛劇を、

と思うのならば絶対にプレイすべきではないでしょう。

各ヒロインルートはあくまでもこの世界観の中で

ヒロインを掘り下げるというためだけのルートであり、

各ヒロイン一エンドしか存在していません。

ヒロイン達は世界観を語る為に踏みつけにされているところがあり、

ヒロインルートは決して純粋な恋愛ルートではありません。

そこをよく考慮してプレイすべきでしょう。

コンシューマで、これほど残虐なストーリーの物をよくぞ出せたと、

変な角度で感心してしまうぐらいです。

 

 

 

システムはインストール機能がないシステム中、

基本的な部分は最高ランクではないかと思う出来です。

音声のボリューム関連は完璧で、

音声ハイライトも無から小、中、大と細かに設定できます。

オートモードとスキップ時のスピードは5段階に分かれ、

最速にすると非常に速い。

スキップ時の挙動として既読、未読の判別はもちろんのこと、

未読時は自動的にオートモードにするか、停止するかも選択可能です。

本作ではある特定のタイミングで妄想するか、しないかで話が分岐するのですが、

そのタイミング時でオート・スキップを停止する、しないも選択可能、

ゲーム開始時の状態を通常、オート、スキップで選択可能、

自動クイックセーブも完備で細かに設定でき、

バックログからのロードも完備と、

微に入り細に入り事細かなところまで配慮されている

基本システムはほぼ完璧です。

セーブも非常に素晴らしく、

章、プレイタイム、セーブ日時、その時の画面にテキストと完璧。

これでインストールがあればシャーク音がなかっただろうにと、

それが少し残念です。

 

このゲームで最大の難点が、

共通ルートが長大であり、分岐はかなり終盤になってしまう点です。

スキップはかなり早いのですが、

選択肢に近いシステムを持つ妄想タイミングから

次の妄想タイミングに

一気に飛ぶシステムがないため、

その最速のスキップを駆使してもルート分岐に

一時間以上の時間を要します。

是非ともその選択肢から選択肢へ飛ぶシステムが欲しかった。

ですがこのストーリー上仕方がないところもありますし、

そういうシステムがないアドベンチャーがほとんどですので、

そこは妥協すべき点でしょうか。

 

 

グラフィックは目元に非常に癖のある絵柄。

パッケージの絵を期待していると肩透かしを食らいます。

絵の塗はややシンプルなのですが、

突出した特徴はありません。

特筆すべきが、時折CG表示時に差し挟まれるショートムービーです。

光の入れ方、ちょっとした動きも優雅で美しく、

非常に見栄えのする出来です。

ただし、CGギャラリーではショートムービーは一切閲覧できず、

作中でしか見られないようになっているため、そこが残念です。

 

CGの枚数は差分抜きで141枚。

ギャラリーでは別表示でも、服装バリエーション等で、

これは差分だろうというものは1枚と数えています。

基本的な枚数は十分なものの、

差分込みでの全体的な枚数は207枚と、

差分が少ないのと、足元のみ、手元のみといった

CGが結構あるのがやや気になります。

 

 

 

プレイ時間は45時間。

総プレイ時間が表示されるタイプなため、正確です。

エンディング、CG、Music、Tipsは全部集まっていますが、

メッセージ既読率は99.23%です。

1週目は19時間、ヒロインルートはスキップを含めて各3〜4時間ほど。

大体の人のプレイ時間が35〜40時間ぐらいはあると思います。

 

 

非常に人を選ぶ作品であり、

ヒロインルートはバッドエンド多数で、

恋愛ルートではないものもあります。

猟奇的な事件やエピソードをメインで取り扱っており、

血生臭いルートしかないため、その辺も注意しなければなりません。

また、超常的な力を持ちながらも、

終盤まで妄想癖の強いヘタレオタクで常にへっぴり腰で怯え、

僕を守ってと言いつつヒロインの後ろに隠れてばかりな主人公なため、

それを許容できなければならないと、

中々ハードルの高いストーリーです。

悪くはない、のですが、とてもお勧めしにくい作品です。




HOME    BACK

inserted by FC2 system