シェルノサージュ OFFLINE

 

〜失われた星へ捧ぐ詩〜

 

一言レビュー

末期の星をイオンと共に歩む

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 9点
快適さ 6点
満足度 8点
総プレイ時間 60時間
総合評価 79点

 

 

PS Vitaが、7次元先の端末と繋がった。

そこにいたのは少女イオン。

近所にある雑貨屋の店主ねりこ以外は人はおらず、

閉じられた世界に住む、記憶を失った少女だった。

拾ってきた壊れた端末を修理した途端、

異なる次元の人物と繋がったことに驚きつつも、

ねりこ以外に初めて会った人に、

彼女は興奮と好奇心を隠しきれないようだった。

 

少女イオンと会話を続けるうちに、

夢世界という、いわゆるイオンの精神世界へ行くことになる。

そこでバーコードから作り出した

4属性いずれかの属性を持つシャールに、

壊れたイオンの記憶を修復してもらうと、

過去のイオンの記憶を垣間見ることができた。

 

その世界はラ・シェーラ。

太陽が寿命を終えつつあって巨大化しており、

時折太陽からバーストという強大な熱量が星へ降り注ぐ脅威に曝されていた。

折しも皇位継承の儀が始まり、二人の皇女が地上へ降り立っていた。

次代の皇帝候補である皇女は、

財産や身分を剥奪されて三年間地上で暮らすことになり、

自分たちのカリスマでもって皆を魅了し、

今後の自分たちが執る星の方針を人民に知らしめ、

最終的には国民投票で皇帝の地位を勝ち取らなければならない。

 

天文派の皇女、イオナサルと、地文派の皇女、カノイール。

天文派はこの星をエネルギーへ変えて、他の星へ移り住むことを提案し、

地文派は世界の人々の心を一つにして詩魔法で太陽を再生する事を提案しており、

二人の皇女の勝敗は、どちらの案を取るかということも意味していた。

そして、当の天文の皇女が、端末を修理した少女イオンだった。

 

 

シャールにイオンの記憶を修復してもらい、

イオンと共に、彼女の失われた記憶と、

星の末期の騒乱を見ていくことになり、

なぜ彼女がこの箱庭のような世界に閉じ込められているのかという

謎を追っていくことになります。

 

 

最初は本来の皇位継承の儀のように、

人々に彼女たちの優位性を見せて

支持者を増やしていくのかと思ったのですが、途中から急展開を見せます。

世界はなぜ、このように星の末期を迎えているのか、

イオナサルとカノイールという二人の皇女の謎とは、

といった、世界の根幹を揺るがす真相を追っていくことになります。

 

二転三転するストーリーは実に面白く、続きが気になります。

思わず熱中して、ゲームでできる他のことを放り出して

ストーリーを追ってしまったこともあるぐらいです。

ただ、あまりにも事態が転がりまわってしまうため、

いささかくどさやしつこさを感じてしまったのも確かです。

もともとダウンロードとして少しずつ

公開されていったための弊害でしょうか。

幾つかのエピソードは端折ることもできたような気がします。

 

また、ストーリーは途中で終わっています。

続きはアルノサージュでということなのでしょうが、

せめてある程度の根本的な謎は、

シェルノサージュで明らかにすべきだったと思います。

 

 

 

さて、ゲームのジャンルですが、基本はアドベンチャーだと思います。

公式サイトではコミュニケーションを主体とした

リアルタイム・ライフ・シミュレーションとなっていますが、

このゲームでやることは大きく三つです。

 

イオンと会話をすること、

シャールにイオンの記憶を修復してもらい、

二人でイオンの過去を蘇らせること、

イオンに物を採取してきてもらい、

それを元にアイテムを作ってもらうという三つが主な目的です。

 

アイテムは最終幕まで特に作ってもらう必要はないのですが、

最終幕を最後まで見るには、

色々なアイテムを作った果てに作れる重要アイテムが必須になっており、

それをせずに最終幕を迎えた人は、

工作地獄を迎えることになるので、

こまめに工作と採取をお願いしなければなりません。

 

何はともあれ、イオンの壊れた記憶を修復して、

ラ・シェーラで何が起こったのかというストーリーを

少しずつ追っていくというのがメインということになっています。

 

 

 

さて、基本的なシステムですが、ほぼタッチオンリーとなっており、

それがどうにもシステムの悪さに拍車をかけています。

タッチですので、誤爆があり、

違うものを指示してしまうことがあるのです。

また、時間を進めるにはシリンダー状の

数字を回さなければならないのですが、

これが中々思った数字で停止しないのでイライラさせられます。

タッチは頻繁にあるだけに、このシステムの悪さには辟易させられました。

 

ローディングも頻繁にあり、起動時や場面転換時に

結構待たされるのも気になりますね。

ただ、オフラインの仕様である、時間を進められるシステムは良かった。

一つのアイテムを作ってもらうのに1時間〜2時間ぐらいが普通にかかり、

リアルでその時間を待たなければならなかった無印と違い、

時間を簡単に進めることが可能となっており、

サクサクとストーリーを進められるようになっています。

 

オフラインとなっていますが、ボイスは最初の一部を除いて、

無料とはいえダウンロードする必要があります。

オフラインと銘打っているので、

せめてボイスはゲームソフトに全部収容すべきでした。

また、未確認ですが、起動時に時間情報を取得するために一度ネットに繋ぐ、

あるいは繋いだことがあるのが必須のようです。

ですので、完全にオフライン仕様ではありません。

 

 

 

グラフィックはふんわりとした可愛らしさの中にも

綺麗さを含む絵柄です。

好き嫌いの無い絵柄かと思います。

また、3Dの良点として、衣装をこちらで好きなように

変えることが可能となっています。

2Dと3Dのいいとこ取りをした柔らかな雰囲気の絵は、とても綺麗です。

3Dの出来がかなり良くなっているので、

3Dでの表現や、見せ場がかなり綺麗になっていますね。

アルトネリコでは残念だった3Dのムービーも、

かなり良くなっています。

 

ただし、気になったことが一つ。

胸があまりにも不自然に揺れ過ぎです。

まるでゴム風船になめらかプリンを詰めたかの様。

ほんの僅かな仕草にもたゆん、たゆん、ふるふると揺れ過ぎています。

リアリティを求めろとは言いませんが、

せめて胸揺れはもう少し謹んで頂きたかった。

揺れ過ぎて何か異なるものを見ているかのようでした。

 

 

プレイ時間は約50時間。

時間がきちんと表示されないので、実際の時間は不明です。

スリープ中や、進めた時間もカウントされるので、

イオンと過ごした日は152日となっています。

実際エンディングを迎えるまでには66日、

夫婦になるまでが133日で、

プラチナトロフィーを取得しています。

 

ゲームのジャンルが今までにないタイプなので、

結局どういうゲームなの? と思う方もいるでしょうが、

基本はアドベンチャー+アトリエタイプの工作です。

 

ストーリーは二転三転するタイプで、

世界の終焉、黄昏を思わせる世界の中で、

懸命に生きる人たちが清濁合せもった独特の輝きを放っています。

続きが非常に気になるのですが、

注意すべき点は、これ一作ではストーリーが終わっていない事です。

尻切れトンボ的なところで終わっており、

アルノサージュをプレイしないと、

全体的な評価が正確に出来ないかと思われます。




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