十次元立方体 サイファー

ゲーム・オブ・サバイバル

 

一言レビュー

ミステリー? ジャンル違いがあるような…

 

グラフィック 7点
シナリオ 8点
ボリューム 6点
快適さ 6点
満足度 8点
総プレイ時間 17時間
総合評価 73点

 

 

昭和の時代をモチーフに作られた洋館、月光館。

この屋敷でメテオ製薬という大企業が

「 閉鎖された空間での長期滞在における心理変化を観察する 」

という目的の臨床試験を行うことになった。

外界と連絡を絶ち、10月8日から14日までの約一週間を月光館で暮らすこと。

そして提示された妙なルール4つを守ること。

その二つが臨床試験における条件だった。

 

ルールの一つめは、敷地内からは絶対に出ないこと。

二つめは、昼間に眠り、夜活動すること。

三つめは、脳波モニターを常に身に着けること。

四つめは、現地で誓約書と引き換えに、被験者ごとに違ったルールが伝えられる。

 

提示された報酬は、破格。

見事採用された大学生、不二城拓斗は、

専用バスに揺られて月光館へ向かっていた。

拓斗の将来展望は探偵になる事。

事件を匂わせる「閉鎖空間と4つのルール」というフレーズと、

多額の報酬に興味を抱いて参加することにした。

 

高い壁と鍵をかけられた門で閉鎖され、

窓が全て塞がれた洋館、集められた男女達。

月光館で起こる、奇妙な幽霊騒ぎ、不調を訴える住人達。

そんな中、メンバーの一人が、消えた。

責任者は帰ったと説明したが、どうしても帰ったとは思えない。

そうこうしているうちに、また一人。

何故消えるのか?

何故不調を覚えるのか?

事件の首謀者と、臨床試験の真の目的とは…?

 

 

という、実にミステリーめいた言葉を散りばめたストーリーです。

2ルートあり、スタート時点の

トップページに表示される洋館の背景が夕暮れなのか、

夜なのかでルートが違います。

ですが、実はこの2つのルートは、

終盤近くまでほぼ同じ道を辿ります。

要するに、大半がスキップできてしまうので、

ここがボリューム不足の所以ですね。

もっと早くに分岐するか、最初から同じ設定を使いつつも、

全く違った展開を見せ、相互のルートで

謎を補完するといった関係ならば良かったと思います。

 

洋館で起こる不思議な出来事、不穏な行動を取る一部の物たち。

謎めいた洋館に秘められたものを探るうちに、

事件の真相が暴かれていきます。

終盤まではこれぞミステリーといった謎めいた展開をし、

ミステリー好きにはなんとも心躍るストーリーです。

終盤近くまでは非常に良い。

良いのですが、終盤のあまりにも速い展開、

また片方のルートにおいて、これはジャンル違いではないか?

と思う跳びぬけた超展開に唖然とさせられます。

また、謎を広げるだけ広げて、回収されていない伏線も多く、

エンドを迎えても首を傾げるものがあります。

なんとも消化不良な点が多いのが非常に残念。

 

所々で差し挟まれる謎解きもあり、ミステリーの雰囲気や

演出はかなりいいかと思います。

ただし、ゲーム制作会社の意向により、

明確な答えはゲーム攻略をしているホームページで

表示しないようお願いされており、

どのホームページにも答えは載っていません。

これがとても困りました。

あまり難易度の高いものはなく、ヒントモードもあるものの、

分からない場合は本当に分からない。

そして謎解きで正解を答えないとゲームは進まないようになっているため、

人によっては手詰まりになってしまいます。

私も幾つかわからないものがあり、答えを探し回りました。

もう本当にわからない人のために、

殆ど答えを言っているに等しいヒントモードも欲しかった。

 

また、妙に主人公の拓斗がモテるのも首を傾げる要因ですね。

入れ食い状態に近いほどモテるとはどういうことなのかとも思えるのですが、

ここは元18禁のゲームだったということで仕方がないでしょうか。

 

 

 

アドベンチャーパートにおいて、動的タイムリンク・システムを搭載しており、

ゲームの時間はリアルタイムで進んでいくのですが、

純粋なアドベンチャーをプレイしたかった私にとっては、

これが非常に邪魔なシステム。

ある決められた特定の時間にならなければ

イベントが起きないようになっています。

また、時間を指定されて待ち合わせをしている場合はその時間まで

待っていなければならず、

それまで時間を潰すのがとても面倒です。

そしてマップ移動において、非常に面倒なシステムになっており、

R2ボタンでマップを表示するのですが、

ひとつの階層が幾つかに区切られており、

一括でワンフロアが表示されません。

そして2階建ての洋館なので、

ある特定の場所に行く場合何度もボタンを押して操作しなければならず、

これがイライラの元でした。

せめてワンフロア一ページで表示してほしかった。

 

基本的なシステムはさほど悪くはないのですが、

アドベンチャーにおいて必須なものがありません。

まず、CGを閲覧するには、

2週目である特定の行動を取って

30枚前後の枚数のディスクを集めなければなりません。

このある特定の行動というのが非常にピンポイントなものがほとんどであり、

ヒントは表示されるものの、ディスクを集めるのがとても困難です。

そしてようやく集めたディスクでCGを表示してみれば、

なんとほとんどの差分が表示されません。

これには正直驚かされました。

そして、音楽鑑賞モードもありません。

 

次にセーブはその時の背景もしくはCG、プレイ日時のみ表示で、

どのポイントでセーブしたものなのかとても見分け辛いです。

せめてゲーム内での日時、どちらのルートなのか

色分けの2点は最低限してほしかった。

 

 

 

グラフィックはやや癖のある濃い絵柄。

ストーリーには合っているのですが、やや古臭いところがあります。

この辺は古いゲームということで仕方がないでしょうか。

また、CGにおいては何枚かかなり見劣りするものがあり、

顔が安定していません。

背景は色の塗がちょっと荒いところもあるのですが、

概ね問題ないと思います。

 

 

CGの枚数はおまけと差分抜きで70枚前後。

何故約なのかというと正式なCGモードがなく、

PS2版で追加されたアナザーストーリーでのCGはプレイ後閲覧不可であり、

正式な枚数を数えることができないためです。

2週目以降はほとんどがスキップでき、

ボリューム不足の割には多めの枚数かと思われます。

差分の枚数は問題ありません。

 

問題なのが立ち絵です。

基本1パターン。

実は2パターンなのですが、もう一つの立ち絵はめったに表示されず、

殆どが同じ立ち絵です。

立ち絵の表情バリエーションは厳密にいうとありません。

厳密にとはどういうことかというと、

セリフの左横に表情が表示されるようになっており、

立ち絵自身の表情バリエーションはないためです。

 

 

 

プレイ時間は表示されないため、約15〜20時間程度。

CGモードのディスクは全部集めましたが、

履歴のディスクは全部集めていません。

ミステリーの雰囲気たっぷりのゲームは

終盤近くまではとても良いのですが、

終盤の伏線投げっぱなしの急ぎ足のエンディング、

また、ルートによってはジャンル違いの

どこかで見たようなエンディングもあり、

純粋なミステリー好きにはあまりお勧めできません。

ただ、従来の剣乃氏のシナリオが好きという方ならば

そこそこ楽しめるかと思います。

ただし、ミステリーにおいての過度な期待は禁物です。




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