CLANNAD

 

 

一言レビュー

泣きゲーの代表作

 

グラフィック 6点
シナリオ 9点
ボリューム 10点
快適さ 5点
満足度 9点
総プレイ時間 100時間
総合評価 80点

 

 

 

父親とは昔あったある出来事で疎遠となり、

同じ家に住みながら極力顔を合わせないようにしているために、

学校が終わると春原の寮の部屋へ入り浸り、

夜遅くに家へ帰ってきて寝る生活を送っていた。

その為いつも遅刻して学校へ通い、授業中といえば寝てばかり。

進学校で不良というレッテルを貼られた岡崎朋也は、

毎日を怠惰に過ごしていた。

日常の繰り返しに飽いていた三年の春、

いつものように遅刻して学校へ通う道すがら、

校門前の坂の下で同じ学校の制服を着て佇む少女を見かける。

 

「この学校は、好きですか」

 

唐突に少女の唇から零れた言葉。

時間とともに、どんどん自分の好きだったことが、周りが、

変わっていく事に戸惑い、変化を嘆く少女。

それでもここが好きだと、好きだと思いたいのに、

どうしてもそう思えず、学校へ行くことに躊躇うことを

誰にともなく呟き続ける彼女。

 

「見つければいいだろ」

 

気がつけば、彼女に返事をしていた。

返答が返ってくる事など予想していなかった少女は、驚いたように振り向く。

自分の好きなことが変わってしまったのならば、

変わってしまったことの中からまた新たに

自分の好きなことを見つければいい。

実に自分らしくないことを言って、それでも躊躇う彼女の背を押すように促す。

二人はともに、学校の門をくぐった。

 

 

少女、古河渚との出会いをきっかけに、

少女達と出会い、膿んでいた生活に転機が訪れるというストーリーです。

いわゆる家族愛、兄弟愛、姉妹愛、親子愛、夫婦愛を

丁寧に語った感動のストーリー。

終盤においての一気に畳み掛けるような展開、

じんわりと心にしみるような、

思わず涙腺が緩むような愛情の表現は流石です。

特に親が子を思う心は胸を打たれるものがありました。

ただし、とってもスロースターターで、序盤はほとんど事態が動きません。

また、共通ルートが長すぎて、かつ日常の描写が助長過ぎるため、

終盤に至るまで非常に中弛みします。

終盤において、その何気ない日常がかけがえのないものだったとわかり、

その日常が終盤において活きてくるのも確かですが、

そこに至るまでがちょっと飽きてしまうので、

もう少しシナリオにメリハリをつけるなり、

日常生活をコンパクトに纏めるなりしてほしかったですね。

また、どのシナリオもある一定以上の完成度は保っているものの、

シナリオによって出来、不出来の差が結構あります。

 

そして、エンディング数が多すぎます。

このゲームは実は立ち絵のあるキャラクター全員にエンディングが用意されており、

中にはとあるヒロインの中に内包されているのもあるものの、

とにかくエンディング数が膨大です。

実は一つを除くほぼ全てのエンディングは、

最終のエンディングに至るまでの過程であり、

通過点でしかないため、この数の多すぎるエンディングに挫けそうになります。

その為ボリュームという意味ではすさまじいものがあるのですが、

忙しい方にはあまり向きません。

 

このゲームには沢山のキャラクターが出てくるのですが、

ある特定のストーリーに進まなければ全く、

あるいはほとんど出てこない人物も複数存在しており、

こういうストーリーにするために登場させられたという感じに思えます。

もう少しキャラクターの数を絞り込んで、

サブキャラのエンディングはだいたいを、

ヒロインのストーリーに混ぜ込むなりの配慮がほしかったと思います。

 

あと、街に対する愛情も語っているらしいのですが、

この辺はさっぱりわかりませんでした。

変わっていく街、空き地だったところに

今までなかったものが建つ事に対する苛立ちと怒りを

唐突にぶつけられるため、途中で首を傾げました。

もうちょっと、なぜこの場所にこういう物が建ってはいけないのかという、

明確なエピソードがなければ弱いですね。

 

 

システムは全くお話にならないレベル。

必要最低限はあるものの、とにかく設定できる項目が少なすぎます。

なんといってもPSPの小さな画面の、一画面で

すべての設定が表示されてしまうのは驚きました。

文字送り速度、スキップの既読・未読設定、

BGMをメモリースティックかUMDから読むか、

音量の4項目しかありません。

しかもオートモードも一見速度が変えられないように見えますし、

オートモードの速度は普通か速いかの2つしかありません。

普通の速度で私の場合だいたい合いましたが、

私は読むスピードが遅いため、

ほとんどの人がこのオートモードの速度に合わず、

結局この膨大なテキストを手で送ることにするか、

我慢して遅い速度で読むしかなかったと思います。

 

また設定やテキストの履歴等の他画面に移ったときの

キャンセルボタンがそれぞれ違うのが非常に面倒でした。

セーブやロード等の設定を出すのは△ボタン、

テキストの履歴は□ボタンなのですが、

キャンセルして元の画面に戻す場合、設定画面は△、

テキスト履歴は□がキャンセルボタン、

環境設定やセーブ、ロード画面のキャンセルボタンは×ボタンと、

それぞれキャンセルボタンが違うのです。

そのため、ついつい×ボタンを押して、この画面でのキャンセルボタンは

違うボタンだったと他のボタンを押しなおすことが頻繁にあり、

大変煩わしかったです。

キャンセルボタンは×のみで統一してほしかったですね。

 

共通ルートがかなり長い割に、

スキップはRボタン押しっぱなしでなければならないので指がだれてきますし、

テキストの履歴での音声再生はもちろんありませんし、

分岐が複雑な割にはクイックセーブ・クイックロード、

オートセーブの類もありません。

セーブデータのロード時も、必ず一番目のアイコンに

カーソルが合うようになっていて、

自分で最後にセーブしたアイコンまで

いちいち十字キーで降りていかなければならないのに、

どのアイコンも同じアイコンで、プレイ日時とゲームでの日付、

1〜2行までの文章しか表示されないと、

とにかく目当てのセーブデータを見つけるのにとても苦労します。

 

褒められる点はメモリーインストールを行うとゲーム時でのローディングが

セーブ・ロード以外はほとんどないことと、

CGがPSPの壁紙に出来ることですが、

実はCGモードで表示されたCGは壁紙に出来ません。

そのCGが表示されるテキスト部分までいかないと壁紙に出来ないため、

もしプレイ後にこのCGを壁紙にしたいと思っても後の祭りです。

かなり苦労してCGを撮りにいかなければなりません。

普通にCGモードでも壁紙可でよかったと思います。

 

昨今の快適でかゆいところに手が届くシステムに慣れている身としては

あっちもこっちも首が回らない、最低限しかなく、

しかもほとんどが使い辛いシステムは大変でした。

 

 

グラフィックですが、非常に癖の強いタイプ。

特に目に特徴があり、可愛らしいものの、

顔の半分以上を占める目は大きく、たれ目気味な絵はかなり人を選びます。

普段の立ち絵の癖は弱めですが、

CGは原画家氏が直接描いているらしく、

その特徴的な目や癖の強い輪郭が目立ちます。

塗りは大変美しく、PSPの表現力を上手に使った美麗な彩色です。

着彩のレベル自体はかなり高いです。

 

CGの枚数は差分抜きで64枚。

差分はたっぷりとありますが、とにかく基本的な枚数が少ない。

少ない弊害としてCGの開示もゲーム序盤と終盤に固まっており、

ストーリーのほとんどは立ち絵のみで進むのは寂しい限りです。

ここにCGが欲しいという所が随所にあります。

膨大なテキスト量とは対極を成すような枚数で、少なすぎますね。

このボリュームでしたら最低限120枚以上は欲しかったところ。

 

 

プレイ時間は表示されないため正確にはわかりませんが、約100時間。

ボリュームがとにかくすごいです。

忙しい社会人にはなかなか難しいボリュームですが、

ゲームはボリュームがなくては、という人には

抜群のコストパフォーマンスを誇るでしょう。

感動のストーリーで、終盤になって動き出したときの展開は

素晴らしいものがあり、涙腺が緩みます。

日常以外のストーリーは抜群に良いです。

ただし、日常部分が長すぎてどうしても中弛みするのが少々ネック。

そしてCGの塗りは美しいのですが、特徴的な絵柄で人を選びますし、

枚数が圧倒的に少ないのが気になります。

システムは壊滅的で、最低限しかないため、

快適だと評判で廉価版が発売されている安価なPS2版がお勧めです。

システムさえ良ければもっと上の点数になるだけに、

非常に惜しい作品ですね。




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