ダンガンロンパ

希望の学園と絶望の高校生

 

一言感想

ブラック・ユーモア

 

グラフィック 9点
シナリオ 9点
ボリューム 6点
快適さ 7点
システム 5点
満足度 9点
総プレイ時間 20時間
総合評価 82点

 

 

その学園を卒業すると、人生の成功が約束されていると言われる「希望ヶ峰学園」は、

入学生を募るわけではなく、学校からスカウトされた者のみが

入学することができる特別な学園だった。

スカウトされる条件は二つ。

現役の高校生であるということ。

超高校生級という特定の部門での超一流の特技を持っていること。

平凡を絵に描いたような、特に何の特技も持たない主人公、

苗木誠がスカウトされたのは、

平均的な学生の中から抽選により選ばれた、

超高校生級の幸運の持ち主という理由からだった。

 

入学のその日、誠は学校の入り口に入った途端意識を失ってしまう。

そして目を覚ましたのは教室の一室だったが、

そこは異様な雰囲気に包まれていた。

窓は鉄板でふさがれ、監視カメラが設置されている。

訳も分からず教室から出て入り口と思しき所へ行ってみれば、

同じように戸惑った顔をした14人の男女が、

分厚い扉で閉鎖され、マシンガンが設置された入口で立ち往生していた。

学校に閉じ込められたことを理解し始めたところ、

体育館へ集まるようアナウンスが流れた。

仕方なく移動した体育館で学園長を名乗るモノクマから語られたのは、

衝撃的なことだった。

 

ここは外界から隔絶されており、出入りができないようになっている。

何もしなければ一生この学校で軟禁生活を送ることになっているが、

ある特別なことをすれば卒業でき、この学校から出ていくことができる。

 

そして、卒業する唯一の手段とは、

誰にも知られずに殺人を犯すことだった。

 

という、ありとあらゆるところにブラック・ユーモアが散りばめられながらも、

血生臭くて残忍な、ライトミステリーです。

殺人を犯してまで卒業しようと思わない面々の背中を押すために、

モノクマから殺人の動機が時折投下され、

のっぴきならないところまで追いつめられた人物は殺人を犯し、

一人減り、二人減り、どんどん減っていく中で、

この学校に秘められた真実を模索する事になります。

 

日常パートと非日常パートの緩急の付け方が非常に上手い作品。

日常パートはキャラクター達との会話がメイン、

非日常パートは殺人が起こってからの捜査がメインとなっております。

そして捜査時にすべての証拠が集まるとモノクマから学級裁判のアナウンスがされ、

全生徒が地下の学級裁判用の一室に集められます。

裁判で事件がどのように起こったのかということを

みんなで話し合って解き明かしていく推理物なのですが、

どんどんと紐解かれていく意外な事実、事件の内容が実に興味深い。

学園裁判が始まってしまうとジェットコースターのような疾走感があり、

なかなか止められなくなり、続きが気になってついついプレイしてしまいます。

そしてCHAPTER05からの〆に至る爆発力、

一気に学園の謎を解明していく様は圧巻でした。

ただ、殺人を推奨されるという内容上、

そういうのに免疫のない方はプレイをやめておいた方がいいと思います。

 

 

 

さて、前述の学園裁判中にアクションパートがあります。

純粋に事件や推理を楽しみたかったのと、

私はアクションものが苦手なので、これが非常に邪魔な産物でした。

各人物が事件の内容を話し合っていくのですが、

ウイークポイントのセリフがオレンジ色で表示されています。

そのなかで矛盾した発言を、自分の持つ証拠「言弾」を弾丸とし、

照準を合わせて打ち砕き、論破していくというのが大雑把な流れなのですが、

照準がふらふらと動き、またセリフも移動していて、

ここに当てればいいというのが分かっているのに

なかなか当てられなくて非常にイライラさせられます。

一番難易度の易しいものでプレイしたのですが、

それでも上手に矛盾を言弾で打ち砕けなくてストレスが一気に溜まりました。

このアクションパートは全く楽しくありません。

むしろ邪魔であり、できれば逆転裁判風にしてほしかった。

 

閃きアナグラムやマシンガントークバトルもアクション要素の強い部分です。

前者はシューティング、後者は音ゲーなのですが、

特に必要のなかったアクション要素の気がします。

 

そして唯一アクション要素を含まないのが裁判最後当たりで発生する

クライマックス推理です。

これは事件の流れが漫画調でわかりやすく描かれているのですが、

時折歯抜けになっている駒があります。

それを下部にある複数の駒で一つ一つ埋めていくのですが、

下部の駒が丸く、小さいために

何を描いてあるのかよく分からない駒があってちょっと困りました。

もうちょっとわかりやすく工夫してほしかったと思います。

 

 

 

基本的なシステム、ロードやレスポンス自体はあまり問題ないのですが、

広い学園を移動するのに使用するマップがやや使い辛いと思います。

マップは今いるエリアから順繰りに表示されるために、

目当てのマップを探すのに非常に手間暇がかかります。

また、マップからの移動も可能なのですが

特定のポイントにしか移動できないため、

どうしてもアナログパットでの移動が必須でその辺が面倒ですね。

各部屋の入口にすぐに移動でき、

マップ表示は先ずマップの一覧を表示し、

すぐに目当てのマップを表示できれば良かったと思います。

そして意外と煩わしいのが、室内に入った時の室内の物や人物の表示。

一気に表示されるのではなく、まず室内背景が表示され、

上から弾力のある物が降ってくるように物、次いで人と表示されるため、

全部表示されるまでぼんやりと画面を見ていなければならず、

室内に入ってすぐに行動できません。

あと、どこを調べるのかわかりにくいのもマイナスポイントです。

気になったのはそのぐらいでしょうか。

 

 

 

グラフィックは、独特の癖のあるタイプ。

目の描き方が特徴的で、そして特定の人物は

身体的特徴が物凄くデフォルメされて描かれています。

最初は戸惑うものの、その独特のえぐみが魅力となるタイプですね。

各キャラクターも魅力があり、非常に良く描き分けられていると思います。

一癖も二癖もあるキャラクターを上手く表現しています。

一枚絵もやや油絵調の癖のある塗なのですが、

とても上手に描かれており、作風にとてもあっていると思います。

背景の描き方も特に問題ありません。

 

 

プレイ時間は、約20時間。

プレイ時間が表示されないため正確な時間が分かりません。

ですが、おそらく18〜23時間程度だと思われます。

楽しくて一気にプレイしてしまいました。

疾走感のあるブラック・ユーモアであり、

ありとあらゆるところに独特の癖があるのですが、

その癖が妙に魅力となるタイプ。

本格推理とはちょっと違う、ポップな感じがするのですが、

この学園の謎を解き明かし、黒幕を追い詰めていくのが楽しかった。

裁判での疾走感、最後あたりの爆発力が凄かったと思います。

その分、アクションパートが残念でした。




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