英雄伝説

ガガーブトリロジー

海の檻歌

 

 

一言感想

もう一度初めから

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 9点
システム 6点
快適さ 6点
満足度 8点
総プレイ時間 80時間
総合評価 79点

 

 

ガガーブ三部作のうちのラストである三作目のお話であり、

三作の中で中間の年代、白き魔女へ繋ぐストーリーになります。

こちらも一応同じ世界なものの、地理的に隔てられていて

白き魔女や朱紅い雫の舞台とは基本的に行き来できないようになっています。

朱紅い雫のエンディングより5年後のストーリーです。

 

それはまさに音楽をモチーフにしたストーリー。

主人公フォルトと主人公のことを好きなヒロインウーナ、

主人公の祖父マクベインとともに、

伝説の天才音楽家レオーネ・フレデリック・リヒターが残した

強大な力を持つ「水底のメロディー」を刻んだ

24の共鳴石の在り処を指し示す魔法の地図を見つけたことにより、

共鳴石を集め、水底のメロディーを再現するために

巡業をしながら旅に出る所から始まります。

とにかく音楽にあふれており、様々なところで旅芸人や音楽家に出会い、

色んなところで演奏をしていきます。

聞きに来てくれる人達も好意的な人たちが多く、

最初は暗雲が差すものの、楽しく世界を回ることができました。

まさに世界中を巡る宝探しですね。

 

白き魔女、朱紅い雫からも再登場のキャラクターが沢山居り、

最終編に相応しい作りになっていると思います。

三作に渡ってばらまかれていた伏線も綺麗に回収し、

壮大な物語を非常に上手く纏め上げています。

そして、総ての伏線をバトンに白き魔女へとお話を繋げているのが良いですね。

その設定を理解して、再び始まりであり終わりである

白き魔女をプレイしたくなるものがあり、

その辺りの連なりの描き方はとても上手く、

水のようななめらかな流れが感じられました。

この海の檻歌をプレイ後に再度白き魔女をプレイすれば、

初回にプレイして感じた物よりも

より深く物語を味わえるのではないか、と思えるのですね。

白き魔女のゲームシステム、環境がネックで

再プレイに躊躇われるものがあるのが残念です。

 

ただし、前編にあたる朱紅い雫よりも

パンチ力がないのがちょっと残念です。

朱紅い雫では圧倒的な爆発力が感じられたのですが、

物語の終焉に相応しい流れになっているものの、

前作ほどの力が感じられなくなっています。

しかし、終盤を置いておけば全体的に朗らかで楽しく、

明るい雰囲気に作られており、

楽しく旅を続けていけたのは良かった。

様々な街を巡り、色々な人たちと出会えることが

とても素晴らしかったと思います。

ですが、主人公よりも祖父が目立ってしまっているのが

ちょっと可愛そうでした。

 

 

サブシナリオはこれも一切ありません。

完璧な一本道であり、とにかく一直線に前へ進むだけのストーリーで、

世界を基本的に徒歩で旅するのは三作共通です。

そこに自由度はほぼなく、いける所はとても限られていますので、

そういうところを重視する方は要注意です。

伝統としてある本のシリーズですが、

今回もショートストーリーとしてはなかなか良い出来です。

ただし今作も入手方法が非常に意地の悪いものとなっており、

ある特定のタイミング以外は手に入れられないというものも多数で、

とても難易度が高いようになっています。

この辺の難易度は残念ですね。

 

 

戦闘システムですが、Win版の朱紅い雫より劣化してしまっています。

一応今回はターン制バトルとなっておりまして、

そのターンの中でも素早い順から行動を起こします。

基本的には普通のコマンドバトル形式のRPGと変わらないのですが、

このゲーム特有のものと言えば攻撃したりすると溜まる

パワーゲージがFULLになっていると使える必殺技というものがあります。

戦闘中ほとんどの時で発動可能であり、

これを発動させれば行動しようとしたキャラクターをキャンセルさせて

無理矢理自分が行動順に割り込むことができ、

そのキャラクター特有の攻撃をするのですが、

何しろ攻撃する敵を選べないのが大問題です。

どうも敵の行動をキャンセルさせたときはそのキャンセルした敵を、

自分たちのターンの時に割り込んだときはランダム?な敵を攻撃するみたいなのですが、

狙った敵を攻撃できないので使いづらいシステム。

敵の攻撃をキャンセルできるというのがメインで、おまけに攻撃できる、

ぐらいに思わなければならず、戦術にあまり組み込めません。

 

魔法というものがあるのですが、基本的にこちら側の世界の住人は

共鳴石を装備しなければ魔法が使えません。

ですが、共鳴石を装備できるのはフォルト、ウーナ、マクべインのみ。

違う世界の住人は白や黒魔法が使えるものの、

フォルトたちは使える魔法が共鳴石によって選べるのに、

彼らは固定となっており、またパーティイン・アウトが頻繁なこともあり

あまり当てにはできません。

そして大問題なのが、戦闘のテンポです。

はっきり言ってしまえばとても遅い。

○ボタンを押すことにより高速にすることもできるのですが、

ずっと押し続けていなければならないのが辛いです。

システム画面で戦闘を高速、普通に切り替えさせてほしかった。

また、魔法のエフェクトは一切キャンセル不可であり、

しかもそのエフェクトが長いものもあってますます退屈です。

そして、戦闘中時折処理落ちします。

ボス戦の時やキャラクターが多い時が顕著であり、

水の中を歩くような戦闘テンポになっていて

もともと悪い戦闘テンポがさらに拍車をかけています。

 

そして前述のとおりパーティイン・アウトが頻繁です。

戦闘キャラクターですが、今回も常にがっちり決められています。

パーティイン、パーティアウトが頻繁で主要キャラクターの

フォルト、ウーナ、マクべイン、ジャン以外は

決まったキャラクターを使い続けることができません。

ストーリーを主にしているゲームなので仕方がないと言えばそうなのですが、

パーティーキャラクターは今回も最後においてまで、まったく自由がありません。

エクストラマップでは好きなキャラクターを使用可能なのですが、

本編に連れてくることは当たり前ですが不可能ですし、

本編にいるキャラクターよりレベルが格段に落ちてしまうキャラクターでは

使い辛く、結局エクストラでも使わないということに。

 

そしてパーティアウトをすると持っている装備品を

持ち逃げされてしまうのが酷いと思います。

もしそのキャラクターが再パーティインしなければ、

全部持って行かれてしまいます。

しかも、再パーティインしたとしても、

アクセサリー以外の物は全部持ち逃げされるのです。

ここが地味にショックでした。

アクセサリーはめったに手に入らないのに、長期で持ち逃げ、

または永遠に持ち逃げされるのは衝撃がでかかったです。

エクストラでキャラクターを一時的にパーティインさせれば

取り返すことも可能なようですが、

エクストラでキャラクターを使うにはある手順が必要であり、

もしその手順を怠っていると装備品は全部取り上げられてしまいます。

せめてパーティアウトの時は装備品を全部置いて行って欲しかった。

 

 

グラフィックは2DでPSPらしく発色が綺麗です。

光のレンズフレアや波の色も美しく、マップ背景も綺麗です。

街マップもだいぶコンパクトになりました。

PSP特有のもので、立ち絵が追加されているのもとても良かったですね。

表情バリエーションも結構あり、どの立ち絵も安定しています。

オープニングムービーの造作はお世辞にも良いとは言えませんが、

最低ラインをギリギリクリアしているでしょうか。

 

 

 

基本的なローディング等のシステムは前述のとおり処理落ちがあります。

戦闘中のみならず、なんでもない場所を移動するだけでも

盛大に処理落ちしている場所があり、

何故ここで処理落ちするのか首を傾げることしきりです。

あと、宝箱を複数回調べなければ手に入らないアイテムがあるのはやめてほしかった。

しかも、表側からだけでなく、

裏側からも調べなければならないものもあって、

何度も移動してボタンを押させられなければならないのはうっとうしかったです。

 

 

 

プレイ時間が表示されないのではっきりとはわかりませんが、約80時間。

1章大体10時間前後で、序章と終章は少し短く、全9章ですので、

大体がこのぐらいかと思います。

戦闘システムはWin版の朱紅い雫より劣化、

システムは処理落ち、パーティの自由度はほぼなし、

アイテムの持ち逃げが大分難ですが、

2Dや背景マップはPSPらしく美しく描き直しされています。

 

そしてその欠点を覆い隠してなお輝くのがストーリーとなっておりまして、

物語の総まとめ、伏線の総回収となるのに相応しい出来となっています。

サービス要素もたっぷりですね。

ガガーブシリーズは一応全作独立しており、

単品でも楽しめるのですが全作プレイするとなお一層楽しむことができるのも

重要ポイントでしょうか。

世界を楽しく旅をでき、綺麗にエンディングが付けられていると思います。

そして再び一作目にあたる白き魔女をプレイしたくなる流れも素晴らしい。

三作に渡ったからこそできた壮大なストーリーだったと思います。

これならば三作にわたって展開されたことも納得の出来です。

前二作をプレイした方ならば是非にと勧めたい作品。

ただ、システムの悪さは覚悟しなければなりません。




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