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一言レビュー

設定は悪くないが、調理の仕方をしくじった

 

グラフィック 6点
シナリオ 6点
ボリューム 5点
快適さ 7点
満足度 6点
総プレイ時間 13時間
総合評価 59点

 

 

 

ある破格の値段のアルバイトのため、

成田一樹は真っ暗な山道を進んでいた。

きっかけは、一通のメール。

ハウスキーパーらしいが、詳しい仕事内容が書かれておらず、

期間は一週間からとなっていて、明確に期間が定められていない。

怪しい仕事だが、日当5万、食事支給という高額バイトに、

養父母との仲が険悪になり、生活費、学費を全て自分が負担しなければならず、

金銭が必要だった彼は飛びついた。

登り切った頂上には、一樹の身長の倍は有りそうな大門が控えていた。

奥にひっそりと見えるのは広大な敷地を誇るお屋敷。

 

そこには、複数の若い男女が集められていた。

告げられた仕事内容は、なんとそれぞれの役柄通りの生活だった。

そんな風変わりなアルバイトの中で、

一樹に宛がわれたのは、次期当主という役柄。

他には、婚約者候補の女性が二人、

次期当主の妹が一人、メイドと使用人が一人ずつ、

そしてこのアルバイトの雇用者、

あるいは雇用者代理の執事の中山だった。

一樹と婚約者達は特に何か仕事を割り振られているわけではない。

ドレスなどの衣装を着て、ご子息、ご令嬢然として振舞えばいいだけ。

そんな中、殺人が、起きた。

誰が、なぜ、殺したのか?

何かの見立てらしい殺人事件、閉じ込められた陸の孤島。

屋敷の敷地から出ることを禁じられた彼らは、生きて帰れるのか?

 

 

という、さわりだけ聞けば、実に館ミステリーらしいのが本作です。

ただ、主人公は推理をしてくれないので、

ミステリーとはちょっと違いますね。

作中で、重要な証拠となる物をすっかり最後まで忘れるという、

探偵とはとても思えない事をしていますし、

犯人や動機を明確に推理したりはしません。

証拠を集めたりはするものの、

犯人や周りが簡単にネタばらしをしてくれるため、

推理小説や探偵の類を期待していると正直肩透かしを食らいます。

また、各アイテムもルートによっては矛盾があったりして、

ルートごとに統合性が一部なかったり、

意味ありげに出てきたアイテムに実は何もなかったり、

語られなかったりします。

 

モチーフや舞台設定、人物設定は悪くないと思うのですが、

ひねらずこちらが引くほどのど直球でばらしてくるため、

伏線の回収にかなり難があります。

また、この作品の最大のキモであり、作品の集大成となるべき真ルートが、

あっけにとられる短さというか、

殆どがアフターストーリーというのにも目が点です。

このルートをもっと膨らませ、

各ルートで明らかになった設定や伏線を内包しつつ、

グランドルートに導くことが出来れば

この作品の完成度が明らかに違っていたことが確信できるだけに、

非常にもったいなく、残念でならない作品です。

 

 

 

システムはやや悪め〜普通です。

オートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというVITAの欠点の制御はあります。

出来れば既読のテキストの色替えが欲しかった。

タッチはほぼ無効です。

 

クイックセーブは一つのみと非常に少ない。

また、オートモード中は何かボタンを押せば

オートが解除になるのが辛かった。

それぞれの人物ごとに音声のボリュームが

細かく設定できるのは良かったですね。

といっても、登場人物は6人しかいませんが。

 

セーブはその時の画像と、テキストが数行と章タイトル、

セーブ日時が表示され、比較的見やすかったのは良かったですね。

スキップは非常に遅く、立ち絵が変わるごとにカクカクと細かく止まります。

そのため、会話内容が大体わかる遅さです。

ただ、あまりボリュームのある作品でもありませんので、

これでも十分ですが。

 

 

 

グラフィックは綺麗系の絵柄。

さほど好き嫌いのない絵柄ですね。

CGは未穂の顔立ちが立ち絵と別人なのが結構あります。

そして気になるのが立ち絵と背景のマッチングです。

立ち絵の一部に水玉模様の太い黒線が入っていて、

浮いてしまっているのが気になりますね。

塗はさほど問題なく、普通ですが、

背景はお屋敷らしく豪華で良いと思います。

 

CGの枚数は差分抜きで45枚。

別表記されていてもこれは差分だろうと思うもの、

背景イラストは抜いてあります。

ゲームボリューム自体が少ないため、枚数自体はやや多めですね。

 

顔が別人になっているのはともかく、

構図にちょっと素人っぽいものが数枚あるのは気になります。

主人公の顔は無理に隠さなくても良かったのでは。

差分は多めで表情バリエーションは結構多いですね。

 

 

 

プレイ時間は約13時間程度。

時間が表示されないタイプで

正確な時間が分かりませんので約の時間です。

アナザーストーリーを全てプレイし、

プラチナトロフィーを取得しています。

 

最初は館ミステリーらしく興味を掻き立てるものの、

ストーリーが進むたびにそれを台無しにしてしまいます。

そして一番力を入れて書かなければいけない真ルートが短く、

あまりにもあっけない幕切れで、拍子抜けします。

設定そのものは優れたものがあるのに、

その料理の仕方を決定的に間違ってしまったのが本作。

非常にもったいない作品です。




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