FLOWERS

 

冬篇

 

一言レビュー

ようやく感動の完結

 

グラフィック 9点
シナリオ 8点
ボリューム 4点
快適さ 10点
満足度 7点
総プレイ時間 12時間
総合評価 79点

 

 

 

陸の孤島、聖アングレカム学院。

前会長八代譲葉、副会長の小御門ネリネは去り、

勾坂マユリを探し求めていた白羽蘇芳は、

ニカイアの会の会長になっていた。

マユリを必死に探し求める蘇芳。

遅々として進まない捜索に、いつしか蘇芳は焦れ始めていた。

 

学院での生活と七不思議にまつわるちょっとした事件を描いたお話です。

今回はダリア=バスキア教諭と、この学園の謎と

去ってしまったマユリが主眼に置かれています。

 

 

前作での主人公だった八代譲葉に代わり、

再び白羽蘇芳が主人公を務めます。

今回は蘇芳の内面をさらに掘りさげ、

マユリ失踪の謎を丁寧に紐解くことになります。

GOOD ENDは二つあり、一つは少し謎めいていて、

本当にGOOD ENDか? と思うのですが、

もう一つのエンディングは綺麗なグランドエンドだと思います。

脇のエンディングはごく短く、

本当におまけという感じですので、過大な期待は禁物です。

 

 

イラストを見て、百合要素を好ましく思うのならば

買って損はない雰囲気の作品ではあるとは思うものの、

一作目から四作目まで完全なる続きであり、

今作だけではお話が成立しません。

完全に初心者お断り仕様であり、

前三作をプレイして出直してくるという覚悟が必要で、

ベスト版が発売になっていないという都合上、

プレイするにあたって相当ハードルの高い作品と言わざるを得ないでしょう。

 

ただ、譲葉に少し謎を残すものの、今作は最終作であり、

三作目まであった途中でふつりと

打ち切られるようなことはありません。

ようやくたどり着いた感動のエンディングですが、

非常にボリュームの無い作品であり、

今作だけでは正直物足りません。

確かにやや控えめなお値段なものの、

このプレイタイムではちょっと高すぎる気がします。

全体的なクオリティや雰囲気は素晴らしいのですが、

いかんせん肝心なボリュームがあまりにも少ないため、

とてももったいなく思う作品です。

 

 

 

システムは非常に快適で、タッチにも対応しています。

アドベンチャーのシステムとしては最高峰で、

他会社にお手本にしてほしいほどの抜群の出来です。

他アドベンチャーもこれが搭載されていればと

ため息が出るほど素晴らしいシステム。

システムは前作と同じですので、ここでは割愛します。

 

 

 

グラフィックは、ふわりとした水彩画風の優美な絵柄。

少女漫画風の繊細な絵柄で、安定しています。

塗の美しさや、その儚げで、少女特有の清廉な可憐さを描く作風も

ストーリーに良く合っており、背景の美しさも抜群です。

正に百合の園といった雰囲気で、

やわらかな中にもしっとりと濡れた艶のある塗は

素晴らしいの一言。

一作目から四作目まで、絵が完璧に安定しているのは凄いですね。

 

CGの枚数は差分抜きで45枚。

差分として収録されているものの、

全く違うCGもあり、全体的な枚数は

プレイ時間に際してやや多めかと思われます。

ただし、差分のあるCGはかなり少なめです。

 

 

 

プレイ時間は約12時間程度。

時間が表示されないタイプで

正確な時間が分かりませんので約の時間です。

全エンディング、CG、音楽をコンプリートしており、

プラチナトロフィーを取得しています。

 

非常に雰囲気の良い作品であり、

女の園、全寮制の女学院、百合というフレーズにピンときて

絵柄が好みでしたら楽しめると思うのですが、

前作からさらにボリュームが少なくなっており、

脇のルートもあるにはあるのですが、

ちょっとしたおまけか、バッドエンドになっています。

 

四部作で作られているうちの最終作です。

ずっと追い続けた者から見れば感動の完結作であり、

三作目までプレイしたのならばぜひともプレイすべき作品でしょう。

ただし、ボリュームが非常に少ない。

そこは覚悟してプレイしてください。

 

作風は大変素晴らしいのですが、

あまりのボリューム不足、前三作プレイ必須が大いにネックです。

これは、本来一作かせめて前後編で

発売されるべきではなかったのではないでしょうか。




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