双子座のパラドクス

 

 

 

一言レビュー

二つの世界がリンクする

 

グラフィック 7点
シナリオ 9点
ボリューム 7点
快適さ 5点
満足度 9点
総プレイ時間 30時間
総合評価 80点

 

 

 

全寮制の私立永幡学園には、特殊な能力者を集めた

特殊能力開発科、略して特能科が存在する。

超能力をはじめとして、霊媒師の家系や

ESPの適性のある者が集められたクラスだった。

双子の諸星総一と総二兄弟は双子のシンクロニティと呼ばれる、

一種の共感能力の研究のために在籍していた。

 

本人たちはさして強い能力を持つわけでもなく、

殆ど一般の学生として学生生活を送っていたが、

ある日の放課後、雷が地面から空へ走ったかのような現象が起こり、

気絶の後目覚めれば、総二と幼馴染の春日夏月の目の前には

異様な空が広がっていた。

学園一帯が油に流した虹のようなものに覆われており、

異次元世界に閉じ込められて学園外に出られないようになっていた。

 

その頃学園外にいた兄の総一と夏月の妹陽月は、

雷を目撃して学園に引き返していた。

学園のあった場所はごっそりと地面深く擂鉢状に無くなっており、

そこに立ち尽くすクラスメイト、山本テスラがいた。

気絶したテスラを寮に連れ帰った二人だが、

翌朝乗り込んできた教師たちから外出禁止を通達される。

それに反発した一部の生徒がこっそり寮から抜け出したところ、

何かに操られたかのような警察官が、留学生のカイン・マクドナルドを射殺。

辛くもそれ以外の生徒は教師の千ヶ崎真莉に助けられ、

這う這うの体で寮へ逃げ帰って知らされた真実は、驚くべきものだった。

 

 

という、二つの世界に分かたれた双子が事態解決のために動くごとに、

互いの世界に影響を及ぼしあうという、不思議なストーリーです。

ジャンルは漂流学園サイキック物でしょうか。

序盤の日常〜学園が消えた翌日あたりを終えてから

一気に面白くなっていきます。

 

何かを語ってしまうとネタバレになってしまうので伏せますが、

とにかく事件が動き出した後の起爆力が物凄い。

怒涛の連続で爆発的にストーリーが動いていき、

目が離せなくなります。

そして終盤までプレイヤーをがっつり掴んで

離さない吸引力が素晴らしいです。

短期間で夢中になってプレイしてしまいました。

掘っても掘っても出てくる真実に、思わず目を奪われます。

過去編へと遡り、沢山の伏線を見事に解消し、

ハッピーエンドに雪崩れ込んでいく流れも非常に綺麗です。

疾走感のあるストーリーが圧巻のストーリーでした。

 

 

 

システムはやや悪い目。

アドベンチャーで必要なものは一応一通りそろっているものの、

色々なところが使いにくくできています。

 

システムのキモであるフローチャートがフォントやアイコンが小さく、

とても動かしにくい。

パソコンのような大画面ならばこれでも良かったのでしょうが、

Vitaの画面では小さすぎてアイコンをとらえにくく、

フローチャートを遡ったり下へ降りたりする動作がやりにくくて仕方がなかった。

 

コンフィングの文字も異常に小さいですし、

選択肢や、フローチャートが表示されるとオートやスキップが途切れるので、

設定し直さなければならないのも面倒でした。

 

セーブ画面もセーブ時のスクリーンショットが見えるのはいいのですが、

とにかくどこもかしこもテキストフォントが異様に小さい。

テキストフィールドの文字も小さいですし、

随所に読みづらさを感じました。

オートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというVitaの欠点が制御されておらず、

オートモード中は絶えずボタンか画面に触って光度が落ちないように

プレイヤーがしてやらないといけません。

後面のタッチは反応せず、

何かボタンか前画面を触るしかないのが辛かった。

 

 

 

グラフィックは可愛らしいいわゆる萌絵の一種でしょうか。

2013年のゲームなので仕方がないのですが、

やや古臭さを感じます。

また、女の子の頭が大きく、体のバランスが悪く感じられます。

CGごとに顔のバラつきがかなりあるのも気になりました。

 

CGの枚数は差分抜きで72枚。

シナリオボリュームに対し少なく感じます。

差分は普通ですね。

塗は移植に際して一部調整されているのかもしれません。

それなりに綺麗でとくに違和感はありませんでした。

塗は問題ないかと思われます。

 

 

 

プレイ時間は約30時間。

時間が表示されないタイプですので、約の時間です。

プラチナトロフィーを取得しています。

 

単なる異次元漂流物で、現実にいる方は無事で

手助けするだけかと言えばそうではなく、

どちらも追い詰められた閉塞感から一気に打って出る起爆力、

序盤を超えてから終盤に至るまでの疾走感が素晴らしいシナリオです。

大どんでん返しや、過去へと至る流れも素晴らしく、

二つの視点から事件の真相へ至るのも非常に興味深かった。

サイキックもののサスペンスを求めておられる方にお勧めですが、

絵の古臭さとシステムの悪さは覚悟してください。




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