幻想水滸伝V

 

一言レビュー

3Dポリゴン・システム関連がいま少し

 

グラフィック 6点
シナリオ 9点
ボリューム 9点
快適さ 5点
満足度 9点
総プレイ時間 74時間
総合評価 79点

 

 

シナリオですが、最初の滑り出しこそのりが悪く、

ストーリーがなかなか動かないのですが、

本拠地を得て反撃しだしてからは格段に面白くなります。

ただ、本拠地が出来るまでは30時間ほどかかるため、

プレイヤーの興味が薄れてしまうのはちょっと問題ですね。

飽きやすい人はエンジンがなかなかかからなくて、

積んでしまった人もいるのではないかと…。

 

また、終盤がかなり助長過ぎて、ちょっと間延びしすぎているきらいはありますが、

(最終ダンジョンはなかった方が綺麗に終われた気がします)

全体的に上手くまとまっており、

ストーリーは近年の幻想水滸伝ではトップランク。

 

今回は軍師というキャラクターが非常に活きている所も特筆すべきポイントですね。

近年の作品では、軍師は要らないのでは?というぐらい、

とにかく軍師が活躍しなかったのですが、

今回は軍師がきっちり全体を把握しており、非常に頭がいいのが良く分かります。

上手く全軍・主人公を動かし、進言の仕方もいささか奇抜。

軍師のストーリーの絡み方もとてもよかったと思います。

 

ただいささか問題なのが、パーティイン、パーティアウトが多すぎること。

出たり入ったり、ほんの少しだけしかパーティにいなくて、

かなり終盤にしか仲間にならないキャラクターがいるので、

ただでさえ登場人物が多いのに、

なおさら人物に対する愛着度が薄れてしまいますね。

 

 

まず戦闘のシステムについてですが、

パーティは6人制に戻ったのは正解ですね。

ただでさえ多いキャラクターを多く連れ歩けられますし、

協力攻撃がしやすくなりました。

戦闘キャラクター以外に補助役のキャラクターも

連れて行けるのもいいシステムです。

これでだいぶ戦闘が楽になりますし、補助効果が現れるのも面白いです。

 

陣形という、人物の配置によって

ステータスに補正がかかるものがあるのですが、

上記であげたようにパーティイン、パーティアウトが頻繁にあるため、

誰かがイン・アウトするたびに人物の並び替えを

頻繁にしなければならないのが非常に面倒でした。

 

また、初めて入るキャラクターが全く使えないのは常に泣き所でしたね。

まず、武器レベル(鍛冶屋で鍛えられる)がLv1。

装備している防具はほぼ総じて皆最低ランクばかりで、

中にはレベル一桁で強制パーティインになるキャラクターもおり、

戦闘では装備を整えなければ全く使えません。

途中でパーティに入ったり仲間になったりするキャラクターの装備は

もう少し考えて欲しかったところです。

 

戦闘時の初期カーソルですが、これが最悪です。

そのキャラクターの前のキャラクターが選んだものに

初期カーソルが合うようになっているのです。

武器で攻撃するタイプのキャラクターなのに、

前のキャラクターが魔法攻撃タイプのために、

初期カーソルが合っているのが「紋章」の部分。

毎回攻撃に合わせなおすのが非常に面倒でした。

また、その初期カーソルの位置がこちらで変えられないために、

常にコマンドを選択しなおさなければならないのが大変です。

初期カーソルは前のターンにそのキャラクターが

取った行動に合っているのならともかくとして、

前キャラクターの取った行動に合っているのは是非とも止めてほしかったですね。

 

スキルというシステムがあり、戦闘に参加すると溜まるスキルポイントで

スキルのレベルを上げていき、スキルを装備するというのは

なかなか面白いものでした。

ただ、得られるスキルポイントは少数であり、

パーティ共通のポイントが有る(ポイントの移動も可能)という救済処置はあるものの、

反対に戦闘に参加しなければポイントは皆無であるのはちょっと苦しかったですね。

パーティ共通のポイントもなかなか溜まりませんし。

途中で仲間になるキャラクターたちは、

殆どスキルが初期レベルの者が多いため、

これを戦闘に参加しているキャラクターにあわせるのは大変でした。

ラストダンジョンでは最低でも18人の戦闘キャラクターが必要になり、

このメンバーを揃えるのに苦労しました。

プレイ時間の10〜15時間はレベル・スキル上げに費やしましたので。

 

戦闘システム自体は実にオーソドックスであり、

他に問題はあまりないですね。

 

 

次に戦争パートの戦闘システムなのですが、

キャラクターが入り乱れてぐっちゃぐちゃ。

どれがどのキャラクターか分かり辛く、戦況を把握するのが大変です。

また、それにも増してリアルタイムなのが悪い方に拍車をかけてしまっています。

あるユニットが瀕死なので回復させたいのに、

リアルタイムのために他ユニットが勝手に戦闘を始めてしまい、

そちらにマップが固定されてしまって

なかなか回復できないうちに敵ユニットに撃破されてあっさり退却ということがあり、

とにかくこちらの自由になかなか動かせません。

 

マップは広大で、殆どの場合ユニットたちが二分されてしまうので、

上のユニット達と下のユニット達を別々に見て、

こちらが縦横無尽に駆けずり回り、

全体の戦況を見極めるのはとても難しかったです。

それに加えてユニットの動かしにくさ、捕まえにくさで

非常にシステムの劣っている戦闘システムであると言わざるを得ませんでした。

リアルタイムなのは止めて欲しかったです。

とにかくストレスの溜まるシステムで、少しも楽しくはありませんでした。

 

 

基本システムで特に気になったのがロードですね。

しかし、実際にローディング時間を計測してみると、あまり長くはありません。

通常3〜7秒と、ムービーの時は10秒以上かかるものはあるものの、

RPGでは普通レベル〜少し長いレベルだと思います。

では何故それほど長く感じるのかというと、

ちょっとしたロードでもミニキャラクターと、

Now Roadingの文字が表示されているために、

「ロードが入る=ロード時間が長い」

とプレイヤーに思わせてしまうからです。

また、ミニキャラクターが単純な動きを繰り返ししているのも

長いと錯覚させる理由のひとつですね。

 

幻想水滸伝伝統のロード時のミニキャラクターが表示されると、

どうしてもロードが入ることに意識が向いてしまうために、

実際よりもロード時間を長く感じてしまいます。

正直これも失敗のひとつですね。

ムービー前の長期ロード以外にはミニキャラクターは不要でした。

あれを表示させるぐらいならば、0.5秒でもかまわないので

ロード時間を短縮させるべきだったと思います。

 

あと気になる点というと、

まず常に金欠であるということ。

先ほど述べたように、仲間になるキャラクターの装備が最低ランクであり、

武器(鍛える)・防具代が非常に高額なため膨大な金銭が必要となります

 

マップが広すぎます!

どのマップも非常に広いために移動が大変です。

移動スピード自体はやや速いぐらいだと思うのですが、

(ある人物をパーティに入れると激早になるが、仲間になるのは終盤)

ダンジョンマップはともかく、街マップまで広大なため、

移動に時間がかかりすぎて目的地までなかなか到達せず、イライラ。

あそこまで広くしなくても良かったのではないかと。

また、マップの視点は常に固定であり、

建物等の影にキャラクターが入っても透過するということはありませんので、

全くキャラクターが表示されず、どこにいるのか

分からなくなることが頻繁にありました。

建物が道に覆い被さって、どこからその場所に

移動するのか分からない街マップもあります。

 

本拠地も非常に広く・かつ複雑で、

なおかつ城のレベルが上がるたびに更に複雑化し、

キャラクターもそのたびに移動する者がおり、

目的の人物を探すのが大変です。

それにちょっとマップを変えるごとに「Now Roading」

が入るために、移動する気が失せますね。

とにかく移動に大変苦労したゲームでした。

 

システム回りも使いにくく、特に装備の仕方が悪いです。

まず通常ならば、キャラクターを選び、装備する部位を選ぶと

装備できるアイテムが表示されるものが多い中、

このゲームでは反対なために装備が実にしにくいです。

具体的に言うと、キャラクターを選ぶのではなく、

始めに装備アイテムを選び、どのキャラクターに装備するのか決めるのです。

新たに入ったキャラクターの装備を整えたいのに、

このシステムでは新たに入ったキャラクターの装備を整えるのが煩雑です。

お勧め装備もあるものの、自分で装備を選びたいために

毎回装備させるたびに苦労する羽目に…。

 

 

グラフィックは、メーカーの主力RPGにしてはあまり良くありません。

ムービーと戦闘中の格差が殆どなく、キャラクターの表情の出来もいまひとつ。

そしてキャラクターのモーションがとっても変です。

本当にモーションアクターを雇ったのか?と思うほどに

動きがくねくねしていて、身振り手振りが大仰です。

腰が妙に曲がっているようなのも気になりました。

 

あと、主人公の顔の年齢が実際の年と3Dのポリゴンとにかなり格差があります。

ストレートに言うと、3Dでは顔立ちを年上にしすぎているのですね。

他キャラクターの言動や2Dのイラストを見てみると、

主人公は13.4才ぐらいのはずなのに、

3Dでは17〜8才ぐらいです。

この年の数歳の違いはでかいはずなので、明らかに違いすぎです。

 

また、会話時にカメラがぐっと引いて、

キャラクター達が極小になってしまうのはあんまりです。

そのくせ会話中にモーションをしているために(殆ど見えません)、

そのモーションが終わるまで次の台詞に文字送りが出来ないため、

会話のテンポも悪いです。

そして波や飛沫の演出も非常にしょぼく、PSレベル。

背景グラフィックはおおむね綺麗なので、

次回作は3Dポリゴンの進化が課題でしょうか。

せめて動きぐらいは自然なものに仕上げて欲しいですね。

 

 

プレイ時間は、108人全てを集め、一エンド終えて74時間です。

RPGとして、ボリュームはかなり多目ですね。

マルチエンディングで、途中で分岐したりするため、

人によってはもう少し多くなるのではないのでしょうか。

 

色々問題点も指摘していますが、楽しくプレイできたのも確かです。

今見返してみると、ここダメ、あそこダメと

ビシビシ容赦なく欠点をあげ連ねていますが、

基本的には実にオーソドックスなRPGだと思います。

やっぱり国取りはストーリーが良くなければダメですね。

劇的で波乱万丈な展開はなかなか良かったです。

 

あとは詰めの甘さ、ポリゴンの出来の悪さ、

システム周りの悪さを改善できていれば、と思います。

幻想水滸伝ファンならばお勧めですが、

システム周りの悪さがかなり気になる方や

グラフィックの美麗さにこだわる方にはちょっと辛いかな? とも思います。

近作の中ではお勧めですね。



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