グリザイアの迷宮

 

LE LABYRINTHE DE LA GRISAIA

 

一言レビュー

ファンディスクと見せかけた続編

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 6点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 22時間
総合評価 78点

 

 

 

前回ヒロインエンディング後のアフターストーリー全ヒロイン分、

一つ一つが数分ぐらいの尺のショートシナリオ、

そしてどのヒロインとも恋人関係にならず、

全ヒロインたちの問題を解決したその後のストーリー「カプリスの繭」

という、大きく分けて3本仕立てとなっています。

 

基本的にはファンディスクですので、

前作のグリザイアの果実をプレイしていない人は

お断り仕様になっています。

 

アフターストーリーはまさにファンディスク。

ヒロインのその後のお話として、

綺麗に描かれており、それぞれのヒロインらしく見事に完結しています。

「カプリスの繭」は、前述の通りの

アナザーエンディングのその後の時間軸なのですが、

基本は前作では語られなかった雄二の過去のお話であり、

物心ついたころからグリザイアの果実へ至るまでの過程を

細やかに描いており、そして現在まで戻ってきて、

とある人物の登場といったところで終了しています。

前作から次回作のグリザイアの楽園へ続く間のストーリーであり、

これだけでは終了していないので注意が必要です。

 

カプリスの繭は、雄二の不幸な生い立ちから始まり、

凄まじい運命に翻弄されながら精神崩壊一歩手前で麻子に救い出され、

麻子とJBに育てられ、麻子の役に立ちたい一心で

自分の身のふり方を決めるといった、

大変ドラマチックなストーリーが展開し、

食い入る様にプレイヤーを繋ぎとめる怒涛のストーリーは見事です。

 

さて、非常に残念なのがショートストーリーです。

28のショートストーリーで、それぞれが数分のごく短いものなのですが、

これがトンデモ展開やお遊びのようなものがほとんどで、

かなりがっかりしました。

グリザイアのキャラクターを使って彼女たちなら

シンデレラはこんな感じといったものをやってみたり、

炊飯ジャーや掃除機がいきなり喋り出すSF展開だったり、

キャラクターがいきなり崩壊したりといった、

制作者があまりにも遊び過ぎている展開が多すぎて浮いています。

本編では語られなかった日常会話や、

イベントストーリーだと思っていただけに、非常に残念です。

このショートストーリーが作品のクオリティをかなり下げており、

これだったらなかったほうが良かったのではないかと思うほどです。

 

 

 

システムは非常に快適です。

ほぼ完璧と言って差し支えないでしょう。

Vitaでアドベンチャーをプレイするにあたって最大の難点である、

オートモード中に光度が落ちるというのはプログラム側で制御されており、

オートモード中は手放しでも光度が落ちず、

履歴表示中やシステム設定等、画面を動かさない時や

オートモードをキャンセルしてページ送りをしない時のみ

光度が落ちるようになっています。

システムも微に入り細に入り完備されており、

アドベンチャーに必須なものは全て搭載されています。

特筆すべきが、キャラクターごとの音声オンオフはもちろんのこと

各自のボリュームまで調整できることです。

このシステムが搭載されているゲームは滅多にありません。

 

 

オートモード時のスピードは文字時間と

待機時間の両方が設定できるという優れもの。

普通はテキスト表示後のウエイト時間しか設定できないのですが、

これでしたら、文字数が多ければ、

文字数が少ないテキストより長めのウエイト時間になり、

長めの文章で後半が読めないということがありません。

文章は一括表示にすることが私は多いため、

これには大変助かりました。

ただし、ちょっと気になったのが、

異常にページ送りが早い文章がある事です。

滅多にはないのですが、ごくたまに視認したかと思ったら、

瞬時に次の文章に移るものがあります。

恐らくは次の文章とひと連なりで設定されているのではないかと思われるのですが、

このあたりの調整はやってほしかったですね。

 

 

セーブデータもその時表示されていたCGや立ち絵、

セリフが二行のみですが表示され、

どのセーブデータかわかりやすくなっています。

セーブデータをローディング後のセーブデータ以前のテキストも表示され、

履歴からのジャンプも可能、

全エピソードもシーン回想で再度読むことも可能、

テキスト有り、無しが選択できるスクリーンショット完備、

VitaとPCでのグラフィックの色合い調整と、

至れり尽くせりですね。

 

 

 

グラフィックは綺麗目の比較的癖の無いタイプの絵柄。

塗の美しさや繊細さも問題ありません。

染み入るような空や夕暮れのグラデーションの塗が非常に美しく、

Vitaのグラフィック解像度の高さ、

色鮮やかさが最大限生かされています。

主人公の顔立ちにかなりバラつき、

特に横顔にデッサン狂いがあるのがとても気になるのですが、

ヒロインたちは比較的安定していますね。

たまに違和感のあるCGもありますが。

 

CGの枚数は差分抜きで107枚。

ボリュームから見るにまずまずの枚数に思えますが、

このうちミニキャラのデフォルメイラストが34枚と、

普通のイラストが70枚ほどになってしまうのが気になるところ。

また、差分が少なく、あっても2〜3枚程度。

差分がないとどうにもおかしいというCGもあり、

こうして数えてみると結構多く感じるのですが、

プレイ中はCGの枚数が物足りなく感じました。

 

 

 

プレイ時間は約22時間程度。

時間が表示されないタイプで正確な時間が分かりませんので約の時間です。

ヒロインたちのアフターストーリーが各3時間ずつ、

ショートストーリーが2時間程度、

カプリスの繭が5時間程度になるかと思います。

全エピソードプレイしなければならないタイプではないものの、

どのヒロインのアフターストーリーも秀逸ですので、

出来れば全員をプレイしたほうが良いかと思われます。

ショートシナリオはお好みで、ですが、あまりお勧めしません。

 

そしてメインの雄二過去編「カプリスの繭」ですが、

この作品だけでは完結しておらず、

とんでもないところで終了しており、

続編のグリザイアの楽園有りきになっているので注意が必要です。

総括してなかなか良いファンディスクではあったのですが、

次回作もプレイする気があるのならばといったところでしょうか。




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