グローランサー

 

一言レビュー

ノンストップRPG

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 9点
システム 8点
快適さ 7点
満足度 9点
総プレイ時間 99時間
総合評価 82点

 

 

PSで発売されたグローランサーの移植作です。

あのころのものを忠実に再現しており、移植のお手本に近いですね。

今回は新キャラクター、新ルート、ボイス、CGがほんの少し追加になっています。

本編のストーリーは定評のある良い出来であり、

まさにノンストップRPG

次々と事件が起こっていき、その中を駆け抜ける疾走感があります。

三国間の戦争、その裏で暗躍する者たち、

目まぐるしく動いていく戦局と、

その時代の激動を上手く描いていると思います。

 

ただし付け足された新ルートが少々問題であり、

三分の二ほどで分岐するということもあって、取って付けた感が否めません。

人気のあるキャラクター、リシャールの為、

或いはグローランサーVとこのTを繋ぐ懸け橋としての

ストーリーに終始しており、最終的なダンジョンは

本編と同じと、使いまわし感たっぷりです。

元の世界と融合する等の劇的な変化が欲しかったですね。

 

 

戦闘はいわゆるシームレスバトル。

マップがそのまま戦闘フィールドとなるタイプであり、

岩や木、川、橋などが障害物となり、

戦略が必要とされるタイプです。

この辺のバランスのとり方は抜群であり、

各バトルきちんと考えてキャラクターを動かして

いかなければならないようになっていて、

シンプルながらとても戦闘が面白いです。

この辺は、SRPGに近い戦闘ですね。

 

敵に近づかなければ攻撃できず、敵に近づくまでのスピードも

各キャラクターによってばらつきがあります。

攻撃後も武器ごとにアタックウエイトが存在し、

アタックウエイトがゼロになると次の行動に移れます。

魔法も詠唱までに時間が必要であり、

詠唱が終了後でも待機が出来ていつでも魔法の発動可能と、

いつ、だれが、どの敵に、どのタイミングで動くか、

また、敵の進路をある一定のところまでキャラクターを動かして塞ぎ、

妨害するかというのがこの戦闘のキモであり、

その戦略の練り方によって戦闘の難易度が劇的に変化します。

単純に敵を全部倒せばいいというわけではありません。

とにかく戦闘の妙が良いですね。

ですが難しくはなく、絶妙なバランスを保っていると思います。

 

 

キャラクターのカスタマイズですが、スキルを覚えていくタイプ。

スキルごとにポイントがあり、

レベルアップ時にもらえるポイントを割り振っていきます。

便利なものやそのキャラクターにあったスキルを

いち早く覚えることが重要なのですが、

最初頃のレベルではレベルアップしてももらえるポイントは1つであり、

(最終的に3ポイントまで増加)

どれを先に修得するのが悩ましいです。

レベルアップ時にどれにするか悩むのもこのシステムの醍醐味ですね。

 

初代であることも相まって、各システムはとてもシンプル。

ですが、シンプルの中にも味のある魅力を兼ね備えており、

この1が基本となって発展していったのが良く分かります。

 

 

次にその他のシステムです。

まずその後のシリーズ恒例となる休暇イベントについて。

この休暇イベントがエンディングにとって非常に重要なものとなっており、

必須イベントをこなしているか、必要好感度の最低値を上回っているかで

エンディングの不可が変わってきます。

マルチキャラクターエンディングを採用しており、

基本的に最も好感度の高いキャラクターとエンディングを迎えるタイプです。

どのキャラクターも非常に魅力的であり、

全キャラクターを同時に攻略しようとすると、

各休日非常に忙しいスケジュールとなっています。

実はこの休暇日数は本編での任務の行動により変化しますので、

本編での行動にメリハリがつき、ミッションバトルを

              最高の状態でクリアしようと頑張ってしまうのが面白いところです。

各イベントを通して仲良くなっていくため、

彼らのつながりや思い、魅力がふんだんに散りばめられており、

少しずつ主人公と距離が近づいていくのが実感できます。

RPGにおいて、どうしてこれほど仲がいいのか?

という謎を、このイベントで補完しているのです。

なかなか良いシステムだと思いますね。

 

 

システムですが、PSPとして、ローディングは短かめ。

インストールなしではかなり短い方でしょう。

画面の開き方もスムーズであり、基本的なシステムは問題ありません。

ただし、致命的なものが二つあり、システムデータ=セーブデータとなっている、

セーブデータが15個しか作れない、ということです。

マルチキャラクターエンディング、また二つとはいえ、

マルチエンディングとなっているので、これは非常に少ない。

システムデータ=セーブデータのため、

途中のセーブからキャラクターエンディングへ分岐させる場合、

途中で得たCGを見るためにはそのキャラクターのCGが表示された

セーブデータを残しておかなければ見られなくなってしまいます。

その為、どうしてもセーブデータが足りなくなり、

もう一枚のメモリーカードにもセーブデータを

作らなければならなくなってしまいました。

 

残り一つは音声関連です。

セリフが表示されてから音声が再生されるまで無視できない遅延があります。

そして新しく吹き込まれた音声の劣化が凄いです。

新録の声はPSPのあまりよくない

スピーカーを通してでもはっきりわかるほどです。

ちょっと圧縮し過ぎですね。

音声の遅延は慣れてはきますが、気になる人は気になるでしょう。

無理せずインストール有りにしたほうが良かったのではないでしょうか。

 

 

 

グラフィックですが、立ち絵は非常に素晴らしい。

うるし原氏の絵を忠実に再現していますね。

一枚絵のCGは途中のストーリーに表示されるものはかなり良いのですが、

エンディング間近に表示されるものには違和感のあるものが

ちらほらあるのが非常に残念です。

新規に付け加えられたCGのレベルはとても良いのですが、

従来のCGの塗があまりよくありません。

目元と塗をもう少し修正してほしかったところ。

後、ムービーはPSの使いまわしのため、

少々荒いのが気になるのですが、このぐらいなら許容範囲でしょうか。

あの頃の物ならば、比較的うるし原氏の絵に近いと思います。

 

 

 

プレイ時間は、キャラクターは全員攻略し、

全キャラクターエンディング(孤独エンディング含む)をクリアして99時間です。

1エンド50〜60時間になると思います。

分岐のセーブデータを利用し、2ルートクリアで70〜80時間程度です。

全エンディングを制覇しようと思えば、100時間前後でしょう。

かなりのボリュームですね。

 

グローランサーシリーズの初めの作品ということもあり、

古臭さがあるのも否めませんが、

その後のグローランサーシリーズの基本となった魅力が随所に見られます。

移植も丁寧にされており、本編ルートだけを見ると非常に良い移植だと思います。

それだけに、付け加えられたルート、

音声とセーブのシステムはちょっと残念でしたね。

従来のファンならば非常にお勧め、

初めての方ならば、ボリュームのあるRPGをプレイしたい、

或いは恋愛要素のあるRPGに興味があるという方にはお勧めな作品です。




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