グローランサーY

Precarious world

 

一言レビュー

ユーザーの声を聞く姿勢は素晴らしい

 

グラフィック 8点
シナリオ 7点
ボリューム 9点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 79時間
総合評価 81点

 

 

ストーリーは可もなく不可もなく。

取り立てて言うことはありませんが、

今回は主人公がグローランサーであるということが頷けるのは好印象ですね。

政治的な側面を持つストーリーというのも相変わらず健在。

描き方はさほどまずくはない、とは思うのですが、

あっさりと国単位のごたごたが片付きすぎているきらいはあります。

その辺はやや作り込みが甘めなところがありますが、

まあ平均的なストーリーでしょう。

ただ、目だって良いと言えるポイントがないのはちょっと残念かと思います。

 

 

戦闘は前作のXのシステムをほぼ正当に受け継いでいます。

ただし、そのシステムの快適さは別物ですね。

その点、ユーザーの声をとても丁寧に聞いてシステムの改善を図っているあたり、

企業としての姿勢は素晴らしいものがあります。

普通、ユーザーの声が次作やリメイクに反映されないのが当然という

風潮がこの業界にはありますからね。

 

改善されたポイントを挙げると。

 

敵の索敵範囲がかなり狭くなっています。

前作ではそのマップに敵がいるとほぼ戦闘になったのですが、

索敵範囲が狭いために戦闘になりづらくなっています。

また、前回では一旦戦端が開かれると、

マップ中の敵がいっせいに集まってくるために混戦状態になって

何がどうなっているのか分からなかったのですが、

今回は近くの敵しか寄ってこなくなっているので、

戦闘を把握しやすくなっています。

そして、もし戦闘になったとしても、戦闘を放棄して

主人公に追従するコマンドがショートカットキーにあるので、

あれほど苦痛に感じたマップ移動が驚くほど快適になっています。

 

 

前回で非常にやり辛く感じた、メインキャラクターの戦闘時の移動は、

十字キーでもコマンド指定でもどちらでもOKになっており、

また、主人公は硬直時でも移動が可能になっていて、これもまた快適に。

魔法を使ったり、撃破されたりするたびに硬直して

カメラが移動するのも極端に少なくなっており、

カメラ移動がとても少ないので戦闘もスムーズです。

そして魔法のレベルの概念の復活は嬉しい限りですね。

やっと魔法のレベルを指定して発動できるようになりました。

 

 

キャラクターのカスタマイズですが、今回もアビリティツリーを使用しており、

木の幹状に左から右へと広がるタイプのものですが、

この見辛さはあまり改善されていませんね。

今回このアビリティツリーは少し変更されており、

アクティブなツリーを任意に指定できないようになっています。

ではどうやって指定するかというと、装備中の武器と防具の属性で

アクティブになるツリーが決定されます。

ですが、正直この変更は謎。

装備を変えるごとにアビリティツリーの分岐を

修正しなければならないのが少々面倒で、

前のままでも良かったような気がしますね。

ただ、スキルは基本的にひとつ、最大で二つ覚えればいいようにはなっています。

 

今回はアクセサリーの代わりにジェムというシステムが追加されています。

これは宝石のようなもので、四つスロットがあり、

ジェム同士を融合させて四つのスロットにスキルを埋めていき、

また融合によりスロットのスキルレベルを上げていくという、

ある意味カスタマイズ色の強い装備です。

作り方はシンプルですが、いささかシンプルすぎるのと、

スキルによってどのスロットの位置にあるのか

あらかじめ決定されているのがいささか面白みにかけますね。

もっと自由に、そのスキルがどの位置にあるのか

ランダム要素が絡んだ方が面白かったと思います。

色々と言っていますが、眼の付け所は良いシステムではあります。

 

 

次にその他のシステムです。

まず恒例の休暇イベントについて。

今回も休暇イベントとは思えないものが多く、

どちらかというと休憩イベントなのですが、

そのかわり休暇外の、ストーリー中で任意に発生させる

イベントがかなり盛り込まれているので、

休暇イベントの薄さというのはあまり感じませんでした。

この、キャラクターごとのイベントを増やしたというのは好印象ですね。

もっとこういうイベントを増やしてもらえればと思います。

突き詰めればかなり良いシステムになるのではないでしょうか。

 

 

妖精システムですが、これも改良。

今回は金銭ではなく、戦闘中などに貰えるラナの実、ラナの種で

ステータスを上げるようになっています。

ただし、この妖精がマスコットキャラクター以外何に役立っているかは

相変わらずちょっと謎な部分が多いのですが。

今回、妖精コンテストはなくなっています。

その代わりふとん犬の育成がそれに代わると思うのですが、

私はふとん犬に全くタッチしなかったので、そのあたりはなんとも言えません。

ただ、このふとん犬のイベントの起こし方は特殊で、

ふとん犬の育成自体を知らずに終えてしまった人が多いのではないかと思います。

ストーリー上、イベントが起こる時以降には

あまり行く必要のない場所にイベントがありますので…。

 

 

後は、自由度が前作よりはましになっていますね。

ただし、4人目以降が完全にパーティインするのはかなり後で、終盤になります。

4人目、5人目のキャラクターは中盤近くに一時的にパーティインするのですが、

イベントが終わればすぐに入れ替わり立ち代り抜けていってしまいます。

ただ、抜けることによる装備の変更はしなくてよくなっています。

武器、防具は基本的にだいたいが本人専用ですし、

ジェムは一時離脱の場合は自動的に外れるようになっています。

 

そして2人ほど仲間になるのが異常に遅いですね。

まあ、前回よりはましな時に入るのですが。

最後のキャラクターがXの主人公というのは

前作プレイ済みの身としては嬉しい限りでした。

 

 

他に細かなところをあげると、

走るのがかなり速くなっておりスムーズです。

この辺の改良は実に細かいところまで行き届いており、素晴らしいですね。

今回地図も実用的なものになっており、

街の名前が表示されるのでどこをどう移動すればいいのか

とても分かりやすくなっています。

移動は新たに加わった大陸にはトランスゲートが設置され、

街間の移動がかなり改善されています。

ただ、旧大陸は相変わらず乗り物を宿屋で乗って移動、

なおかつ時々交通不能というのがいささか面倒です。

また、敵がいない場合でも、回復・補助魔法を唱えると時間がかかっていたのが、

今回かからなくなっているのもいい点です。

 

改善されていない点は。

別マップに移動する場所が分かりにくく、意外なところが繋がっている。

システム画面が□、△、スタートの三つのボタンに分散されているため、

いちいち切り替えなければならなくて非常に面倒。

簡易マップが上に表示されるが、表示されるのは敵味方シンボルのみで

地図、重要施設等、全く表示されずマップとはちょっと言えない。

ゲームスタート時の始めのロードが、

前回セーブした所にカーソルが合わない(再ロードはちゃんと合います)。

ぐらいですね。

 

あと今作で新たに出来た不満点としては

マップの半分以上が前作の使いまわし、だけでしょうか。

システムは目を瞠るほど改良されている点には脱帽です。

良くぞここまでユーザーの声を反映させたと感心すらしています。

 

 

グラフィックですが、今回もムービー、立ち絵共に非常に素晴らしい。

特にアップ時の造詣は見事の一言。

キャラクターデザインをされている、

うるし原氏の絵をかなり忠実に再現しています。

ラストの一枚絵はやや違和感あるものの、

それでもなかなか良い出来だと思います。

 

人物の3Dポリゴンですが、

こちらは改良がなく前回同様PS2初期レベルですね。

小さくして誤魔化している感が否めません。

ですが、アップにしてみると衣服等のディティールを

かなり細かいところまで再現しているのは前作同様。

うるし原氏の描く衣服は装飾が多く、

3Dで再現するのは難しかったと思うのですが、

細かいところまで気を配っているのは好感が持てます。

 

顔も殆ど作られていないのですが、もともとこの方の絵の魅力は

3Dではまず表現できないと思いますので、

特に文句はなかったのですが、他RPGと

同じようにグラフィックを捉えている方は厳しいと思います。

1からのグローランサーファンの私としては

2Dがどれだけ再現されているかのみ着目しており、

3Dは正直どうでも良かったので、グラフィックの点数は高めです。

通常のRPGプレイヤーの点数は5〜6ぐらいでしょうか。

 

 

プレイ時間は、キャラクターは全員攻略し、

全エンディング(孤独エンディング含む)クリアのおおよその時間です。

総プレイ時間が表示されませんので、正確なところはわかりません。

闘技場、ふとん犬等の時間のかかるものはクリアしていません。

それでもかなりのボリュームですね。

 

システムの目覚しい改良は素晴らしいです。

やはりゲームはシステムありき、なところが多分にありますね。

最低限のラインをクリアしていないと、

かなり評価が下がってしまうことがよく分かりました。

従来のグローランサーファンにはお勧めですね。

ただし、3Dに他RPGのレベルを求める方には向きません。

 

前作と繋がっており、多くの前作キャラクターが登場するので、

どちらかというと前作をやっていた方がいいのですが、

今作のためにあの極悪なシステムのゲームをやるのはお勧めできません。

前作をやっていなくても大丈夫なようには作ってありますので、

これ単体でプレイすると良いかと思います。

こういうシームレスバトルが好きな方にはお勧めな一品です。

また、ユーザーの声を聞くという、企業の姿勢もかなり評価したい作品ですね。



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