ハロー・レディ！

−Ｓｕｐｅｒｉｏｒ Ｄｙｕｎａｍｉｓ−

一言レビュー

中二病全開の超能力バトル

「それでは、舞台の幕を上げよう」

成田真理は侍女の菱亜森を伴って、七年ぶりの日本へ帰ってきていた。

本来は早朝に着くはずだったが、

菱亜が間違って飛行機を手配していたため、

深夜にＴ県奥志摩市の駅前に彼らは立っていた。

目的地である天河ノーブル・スクールは

山の上にあるために交通手段は限られており、

そのため徒歩で向かう途中、一発の銃声が響き渡る。

音の元に駆けつけてみれば、武装した集団が車両を取り囲み、

そこから引きずり出したと思しき一人の少女に銃口を突き付けている。

そこに素手で割って入り、瞬く間に暴漢たちを叩きのめした成田は、

助けた女王然とした少女の前に膝をつき、

白い右手を取るやいなや口づけてにこやかに言い放った。

「美しい、その豊満なる胸が！！！」

絶句する少女、音無朔の胸に問答無用で手を伸ばした成田は、

彼女の胸を躊躇いなく鷲掴んだ。

響き渡る絶叫。

振り上げられた朔の蹴り足が、見事に頭に直撃する。

かくして、成田真理の計画は、幕を開けたのだった。

天河ノーブル・スクールはＨＭＩという、

「ハロー」の超常の力を持つ生徒だけを集めた、

贅の限りを尽くされた豪華な全寮制の学園です。

とある目的のために生徒として入り込むことになった成田真理は、

己の能力とハローを駆使し、目的を果たすべく容赦なく敵を追い詰めていきます。

とにかく目を引くのが独特の感性を持つ主人公ですね。

強烈な個性を放っており、ヒロインを軒並み喰いかねない勢いです。

ただ一つのことに直進していく、

眩い鮮烈さは思わず目を奪われますが、

女性陣からはドン引きされる美胸大好きな変態でもあります。

美形なのに惜しい、惜しいけど一本筋が通った潔さを持つ、

不思議な魅力の持ち主です。

驚異的な身体能力の持ち主でもあり、

覚悟も意志も実力も尊大さも有り余るほどあり、

何しろ全く躊躇わずにまっすぐ進む苛烈さは目を奪います。

嵐のようなパワーで物語を引きずってゆき、

岩に食らいつくような執念で目的を遂げていく様は見事の一言。

余りの吹っ切れた変態ぶりに最初はプレイヤー自身もドン引きすると思いますが、

それを覆して公式投票で一位を取っただけある、

なんとも言えない魅力を併せ持っています。

彼のためによる、彼の為だけの物語。

ハローという超常の能力を駆使したストーリーは

ラノベ的でテンポ良く、中二病溢れる設定ですが、

有無を言わせず引きずって疾走し、

最後まで勢いを落とすことなくゴールにたどり着くのは流石です。

こういう超能力バトルが好きな方ならばハマれるでしょう。

システムは素晴らしい。

アドベンチャーに必須のシステムは一通り揃っており、

そのどれもがほぼ使い勝手がいい。

ボタン設定で数パターンですが、ボタンの役割を変えられるのがいいですね。

オートとスキップは一応併用可能なのですが、

スキップ中のオートはページ送りが異様に早くなるので、

同時使用がほぼできないのが残念です。

ボイス登録、キャラクター毎のボイスオンオフ、自動クイックセーブ等、

隙なく上手くシステムは纏められています。

履歴からのジャンプも可能です。

セーブデータはその時表示されていた画面と、

テキスト、セーブ日時、が表示され、とても見やすいのもいい。

オートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというＶＩＴＡの欠点の制御もされています。

グラフィックは可愛い系の絵柄。

比較的万人向けであり、過度に萌に偏っていません。

ただ、壮年〜老年の男性を描くのが苦手なようで、

かなり違和感があります。

ＣＧの枚数は差分抜きで約９２枚。

差分も少なめで、やや違和感を覚えるシーンがちらほらあります。

ボリュームに対してやや少なく感じますし、

このシーンでは差分がないとおかしいというのが結構ありました。

戦闘シーンのＣＧがあまりないというのが非常に残念です。

ＣＧは華がありどれも構図が凝っています。

塗も鮮やかで美しく、問題ないですね。

立ち絵も魅力的であり、ＣＧ・立ち絵共に比較的安定しています。

プレイ時間は約４３時間。

時間が表示されないタイプですので、約の時間です。

プラチナトロフィーを取得しています。

全体的なシナリオのクオリティは高いと思います。

とにかく独特の個性を持つ主人公の成田真理が好きになれるかで

シナリオの成否が決まるのではないでしょうか。

勢いのある疾走感溢れるシナリオで、

超常のバトルを駆使したストーリーはラノベ的ですが、

こういうタイプが好きな方ならば見事にハマれると思います。

アペンドディスク、Ｖｉｔａのみの新シナリオを追加しており、

これだけでハロー・レディ！を綺麗に網羅できるのも良いですね。