緋色の欠片

 

〜おもいいろの記憶〜

 

一言レビュー

稚拙な文章の絨毯爆撃

 

グラフィック 8点
シナリオ 5点
ボリューム 9点
快適さ 8点
満足度 6点
総プレイ時間 45時間
総合評価 68点

 

 

 

両親が海外出張となり、春日珠紀は田舎の祖母に預けられることになった。

懐かしみながら帰ってきた珠紀は、

迎えの者をよこすという祖母の言葉に、バス停で待っていたところ、

視界の端で動くものに気が付いた。

小さな頃の妄想だと思っていたモノノケに出会い、

駆け出したそれを追って、異界へさ迷いこんでしまった。

神隠しにあいそうになったところを何とか鬼崎拓磨に助けられ、

祖母、宇賀谷静香紀の家に着いて告げられたのは、

驚くべきことだった。

 

この村には世界を滅ぼすほどの力を持つ刀「鬼切丸」がある。

昨今それの封印が緩んできており、再封印しなければならない。

鬼切丸を封印できるのは宇賀谷の血を引く巫女、玉依姫のみ。

先代玉依姫である静紀は老齢で力が衰えており、

新たな玉依姫とするべく、孫の珠紀をこの村に呼んだのだと言う。

玉依姫となって鬼切丸を封印し直してほしいという言葉に、

自分にそのような力があるのかと首を傾げつつ、頷いた。

 

玉依姫を守る、カミの血を引く守護五家の者達と共に、

鬼切丸を奪おうとやってきたロゴスという集団と戦ううちに、

守護者と親しくなっていくというのが大まかなストーリーです。

 

 

基本的なストーリーは悪くないものの、

特筆すべきがその文章です。

とてもプロとは思えない稚拙な文章が頻繁に出てくるのには呆れました。

まず、読点が多すぎる。

ひとつの文章の中で頻繁に読点が打たれるため、

非常にたどたどしく感じます。

 

そして同じ言葉が一つの文章中で

何度も重ねられるのもとても気になりました。

同じ人物の名前や言葉を一行中に

複数書くのはプロとしてあるまじき文章です。

もちろん同じ言葉を繰り返す技法や慣用句もあるのでが、

それとは全く違います。

「誰にも言うなって言われたから言ってないんだけど」

という文章を見た時は、目が点になりました。

 

他にも「衣擦れ」を「布切れの音」と表現する等、

とにかくその表現力の低さには驚かされました。

本当にプロが書いたのかと疑うほど酷い文章が

絨毯爆撃のように頻繁にばら撒かれているため、

それが全てを台無しにしていると言っても過言ではありません。

 

バトルがメインの本作ですが、そちらのシーンの書き方も

ため息が出るような下手な出来で、

そこがこの作品にとって重要なポイントでもあるため、

どうしても評価を下げざるを得ません。

また、攻略制限のかかっている人物のストーリー終盤が、

とある人物とほぼ同じだったのにはあっけにとられました。

あれでは攻略制限の意味はなかったと思うほどです。

 

ファンディスク部分は元の本作から年数が経って

ライターが進化したのか、添削者を入れたのか、

書き手が違うのかはわかりませんが、

まともな文章になっているのはほっとしました。

これぐらい、プロならば当然な出来ではあるのですが…。

ファンディスク部分はキャラクターが好きなのならば楽しめると思います。

 

 

 

システムは普通〜良い目です。

アドベンチャーに必須のシステムは一通り揃っています。

章ごとに読み直すことができるシステムと、

好感度をこちらで自由に変更可能なのは良かった。

また、CGを選択すると、そのシーンの

再現ができるのは非常に良いシステムですね。

履歴からのジャンプも完備しています。

 

セーブデータがルートキャラのアイコンと、

何章か、その時の文章が数行表示なのがかなり見辛いです。

オートモードと既読スキップは併用できません。

また、オートとスキップ中は○ボタンは無効、

それ以外は強制解除されるのが残念です。

オートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというVITAの欠点の制御はされています。

 

 

 

グラフィックは綺麗系の絵柄。

ややシンプルよりですが、万人向けの絵柄だと思います。

どのCGも構図も華があるのは良いのですが、

秋をイメージしているのか、もともとのスペックなのか、

彩色がセピアがかり、くすんでしまっていて

鮮やかさに欠けるのが残念です。

そもそもPS2〜PSPの移植なので、

塗は妥協すべきなのかもしれません。

 

CGの枚数は差分抜きで約149枚+おまけのおみくじ画像が30枚。

別表記でも、これは差分だろうというのは一枚と数えています。

ボリュームに対してまずまずの枚数ですね。

ただ、バトルメインのシナリオに対し、

基本的に各人物バトルシーンのCGが一枚

+差分なのはあまりにも少なすぎだと思います。

せめて各自数枚ずつは欲しかった。

ただし、おまけの画像のボリュームがたっぷりなのは良いと思います。

 

また、このゲームの特徴であるAPSシステムを採用した

立ち絵のクオリティは素晴らしいですね。

瞬き、口パクはもちろんの事、呼吸をしているかのように体が動き、

髪がふわりと動いているゲームは非常に珍しい。

PS3ではたまにありましたが、VITAでこのような

立ち絵の挙動が出来るのには驚きました。

システムから、この立ち絵の挙動を止めることも可能です。

非常にこだわって作られていると思います。

 

 

 

プレイ時間は約45時間程度。

時間が表示されないタイプで

正確な時間が分かりませんので約の時間です。

プラチナトロフィーを取得しています。

 

プロとは思えない、ため息が出るほど酷い文章には呆れました。

こんなに下手な文章のアドベンチャーをプレイしたのは初めてです。

シナリオが良いとか悪いとかいう以前の問題。

素人に書かせたと言っても納得できるレベルでした。

移植に際し、セリフ以外の文章を書き直しただけでも、

作品のクオリティは段違いになったであろうと想像できるだけに、

そこを修正しなかった点は非常に残念です。




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