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Rebirth Session 

 

一言レビュー

陸の孤島のクローズド・サークル

 

グラフィック 7点
シナリオ 7点
ボリューム 6点
快適さ 7点
満足度 7点
総プレイ時間 20時間
総合評価 70点

 

 

 

長谷川士郎は自宅兼事務所で猫のじょびさんを秘書に、

しがない探偵業を営んでいた。

そんなある日、一人の少女が訪ねてくる。

彼女の名前は片瀬桜。

旧友片瀬幸雄の妹で、失踪した彼女の兄を探してほしいとの依頼だった。

 

失踪する直前、片瀬幸雄はある店に出入りしており、

昼は普通の喫茶店、しかし夜には会員制のバーとして

ひっそりと営業している店なのだという。

会員制といっても完全なる紹介制ではなく、

何がしかの資格がいるらしい。

こっそりと潜入しようとした士郎は、

仮面をかぶり、大仰な長衣の衣装を身に着けた謎の人物に、

にべもなく追い出されてしまい、手を出しあぐねていたところ、

演劇部の桜が潜入を名乗り出た。

 

かくして夜のバーに入る資格を有していると桜が認められた途端、

仮面の人物が高らかに宣言する。

必要な12の人物がこれで揃った。

つきましては、兼ねてより計画していた「集会」を開きたいと。

もし参加するのが嫌ならば、この場でお帰り頂いても結構。

しかし、集められた12人の男女は、誰一人として帰る者はいなかった。

何一つとして持ち込むことを許されず、身一つで連れ出されたのは夜の港。

こっそりと船に忍び込んだ士郎と12人の男女は

個人が所有するには豪華な船に乗せられて、

たどり着いたのは海に囲まれた無人の孤島だった。

鍵のかからない部屋、12人分の食料、

争ってほしいと言わんばかりに用意された武器の数々、

着いた早々一人船に乗ってUターンする案内人。

陸の孤島に閉じ込められた13人の人物のなかで、一人、死んだ。

疑心暗鬼になり、バラバラになる者達、立て続けに起こる殺人。

犯人は誰なのか?

この場所に12人の人物を集めた者の目論見とは?

 

という、閉鎖空間で起こる殺人を体験することになります。

全体的な舞台設定自体は悪くないのですが、

やや推理物としては物足りなく感じます。

ルートによっては探偵役の主人公が推理を丸投げにして

力技で捻じ曲げるルートもあり、少々あっけにとられます。

 

TRUE ENDにしても、あまりにも真相が簡素にしか説明されず、

あっという間にエンディングへ至る為、

今回の集会を計画した人物の目的自身があまりにもあいまい過ぎて、

エンディングで少々もやもやします。

全ての設定や伏線を回収せず、

一部曖昧になっている部分も存在しており、

やや消化不良なエンディングに感じます。

 

今作で付け足された新ルートですが、

本来のTRUE ENDであまりにもさらっとしか明かされなかった

黒幕の真意を補完する意味合いがあり、

付け足されたルートとしてはなかなか良いルートだと思います。

原作があれで終わってしまっていると、

かなり物足りなさを感じたのではないでしょうか。

 

基本はアドベンチャーなのですが、

コマンド形式の探索パートもあり、

昔懐かしい推理物アドベンチャーを感じさせます。

ただ、何度も同じコマンドを選ばなければならず、

そしてなかなかストーリーが進まないため、

こういうタイプのゲームをプレイし慣れていない人は

イライラさせられるものがあります。

 

 

 

システムは普通です。

アドベンチャーに必須のシステムは概ねあります。

オートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというVITAの欠点の制御も有り。

 

クイックセーブは一つのみと非常に少ない。

また、オートモード中は何かボタンを押せば

オートが解除になるのが面倒でした。

セーブはその時の画像と、テキストが数行とChapter、

セーブ日時とゲーム中の日付が表示され、

比較的見やすかったのは良かったですね。

スキップも高速なのですが、探索パートを飛ばせないのが難点でしょうか。

 

 

 

グラフィックは可愛い系の絵柄。

女性陣の体の描き方にちょっと癖がありますが、

比較的万人向けだと思います。

大人の男性と大分年上の女性を描くのは苦手のようです。

苦手な人物に関しては不安定さを感じます。

 

 

CGの枚数は差分抜きで63枚。

デフォルメ絵はそのうち3枚です。

ゲームボリューム自体があまりないため、

枚数自体はやや多め。

差分もそれなりにあって枚数自体は良いですね。

苦手な人物以外は比較的作画は安定していると思います。

塗は綺麗目でどのCGもクオリティはまずまず。

立ち絵時の背景の塗がちょっと荒めなのが気になります。

 

 

 

プレイ時間は約20時間程度。

時間が表示されないタイプで

正確な時間が分かりませんので約の時間です。

全ルートをプレイし、プラチナトロフィーを取得しています。

 

謎があちこちにちりばめられ、ルートによっては殺される人物が変わったりして

途中までは楽しめるのですが、TRUEルート以外のエンドは

やや打ち切りエンド的なものを感じます。

TRUEルートにしても、もう少し練り込みが欲しかった。

新ルートはTRUEルートを補完するルートなので、

その点は良かったのですが、あくまでも補足、アフターの意味合いが強く、

ストーリーの完成度が上がったわけではない気がします。

TRUEに入れ込む形にした方が良かったと思います。

全体的な雰囲気は悪くないのですが、

ではクオリティは高かったかと言われれば、

少し残念だというのが正直な答えです。

 

ギリギリ佳作のレベル。

過剰な期待をせず、こういう閉鎖空間の推理物が好きならば、

そこそこ楽しめるとは思います。




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