偽りの輪舞曲

 

一言感想

独特のシステムは面白いが洗練されていない

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 9点
快適さ 4点
システム 9点
満足度 9点
総プレイ時間 78時間
総合評価 76点

 

 

国を追われた王子が国を取り戻すという、一見よくある感じに見えますが、

実際はちょっと違うというのが物珍しいストーリーです。

主人公は王子の影武者であり、

亡くなった王子の代わりに国の復興を目指します。

ストーリーは途中で分岐し、オーソドックスに国を取り戻し、

敵国を追い返す王国復興ルートと、

攻めて来た国を追い立てる覇道ルートとの二つに分かれます。

前者は、実際は何もその手に持っていなかった主人公が成長してゆくストーリー、

後者は記憶のない主人公の謎が解き明かされるストーリーと、

分岐後はがらりとストーリーが変わってゆき、

両ストーリーひっくるめてお話が完結するという形を取っています。

ですので、二週してどちらもプレイするのがお勧めですね。

変化があり、なかなか良いシナリオでした。

 

戦闘中に隣接会話というものがあるのですが、

これがちょっと問題です。

会話自体は良いのですが、この隣接会話中にストーリー上で

かなり重要な会話をさせすぎており、

特定の隣接会話を見なければ、

なぜこうなったのかさっぱりわからなくなっています。

例を挙げると、最初に魔術師で仲間になるセルマですが、

隣接会話を見ていなければなぜ彼が仲間に加わってくれたのか、

助けてくれたのかまったくわかりません。

私は最初の1週目はこの隣接会話をさせずに終了させており、

いつの間にか仲間に加わっているセルマに首を傾げました。

こういう会話がプレイ中に随所にあり、

ちょっと大事な会話を隣接会話でさせすぎていますね。

この隣接会話自体はいいのですが、ストーリー上で重要な会話は、

シミュレーション中に隣接会話が発生していない場合、

戦闘後に改めて発生させるようにするなりの配慮が必要でした。

また、章最初の会話や、戦闘終了後の会話に加わっている人物を

パシらせている場合、会話自体がなくなってしまっているのも問題です。

パシらせている人物は帰ってきており、会話がある、

ということでよかったのではないでしょうか。

 

 

シミュレーションパートですが、このゲーム独自のものを採用しています。

ルートマニューバシステムという、敵や味方を通り過ぎて

複数の敵を攻撃する、もしくは複数の味方の支援効果を得るという、

今までにないタイプです。

壁が作りにくいので、慣れるまでが大変で、

本編中にチュートリアルが一切ないのでかなり面食らいます。

チュートリアルはTOP画面の「 れんしゅう 」にあたるのですが、

普通はまず先に練習をプレイする人はいないと思います。

独自のシステムを採用しているのですから、

本編で新たなシステムが加わっていくたびに

丁寧にチュートリアルを入れていくべきでしたね。

最初ごろはかなりプレイヤーが置いてきぼりになりますので、

お世辞にも快適な、とはいえません。

 

このルートマニューバシステムというのを採用しているため、

移動後のキャンセルは出来ません。

自分や敵の移動範囲は表示されても、攻撃範囲は表示されませんので、

結局は自分で攻撃範囲を計算することになりますので、

移動後に「しまった! もう一マス横だった!」

と計算違いをすることもありました。

また、敵の攻撃範囲も実際に当たってみないとわからないと、実に不自由です。

そして戦闘アニメが設定でOFFに出来ませんので、

いちいち戦闘アニメをタッチしたり

ボタンを押したりしてキャンセルする必要があるのが非常に面倒です。

そしてキャンセルすると、どれだけ敵に攻撃を与えたのか、

味方の支援効果はどれだけ受けたのか表示されないため、

それらのことがさっぱりわかりません。

戦闘アニメキャンセル時はミニキャラがマップを移動し、

ユニットのHPバー上に受けた・与えた攻撃、もらった支援を表示するべきです。

そして何の支援効果が得られなくても、

ユニットを通り過ぎるだけで戦闘アニメが流れるので、

ユニット上を通り過ぎても何もない場合は

戦闘アニメは自動でOFFにしてほしかったと思います。

 

オーバーブレイク(以下OB)という特殊攻撃・特殊効果を

ユニット一人につき一つ持っているのですが、

ユニットごとに使える・使えないという性能差が

激しすぎるのがちょっと気になりました。

つまり、キャラクターによってはOBを全く使わないのです。

もうちょっと性能差を平らにしてほしかったです。

 

そして、ちょっと魔術師系が強すぎかつ、

超遠距離・長範囲まで攻撃できすぎています。

きちんとスキルを装備しさえすれば、魔術師達は終盤を除いて

ほとんどのユニットを一撃で撃破可能というとんでもない攻撃力を誇ります。

要するに、他の直接攻撃キャラクターは魔術師達のための壁役か、

魔術師達が撃ち漏らしたユニット掃討係になってしまっているのはちょっと問題でした。

 

難易度はやや高めなのですが、最初のマップ以外は

幾度でも戦闘マップをやり直せるため、

レベルを上げさえすれば最終面以外のマップはクリア可能です。

また、簡単にレベルが上がるのは良点ですね。

 

次にパシリ・システムなのですが。

これが問題は山盛りです。

まず、アイテムを売買できるのは唯一このシステムのみなのですが、

どのアイテムを購入するか指定できないのです、

大体の種類は指定できますが、

何を買ってくるのかは帰ってくるまでわかりません。

また、この成否はランダム要素が入り、実際には購入数が上下しますし、

売るときは金額が上下します。

このランダム要素はちょっときつかったですね。

このゲームではあまり金額を入手できません。

そのため、貴重な金銭を持っていかせて

いらないアイテムを買って戻ってきたり、

売ったアイテムのお金がかなり少なかったりすると

かなりダメージがでかいです。

購入アイテムは指定で、キャラクターごとに

おまけがつく程度でよかったのではないでしょうか。

 

戦闘で参加しないユニットをクエストにパシらせることが可能なのですが、

持って帰ってくるアイテムにランダム要素があるので大変です。

基本的に本編ではクラスチェンジアイテムはほとんど入手できません。

その為どうしても毎回クエストに行かせて

クラスチェンジアイテムを取ってきてもらうのですが、

かなり入手数が少なく、中にはメインで使っているのに

アイテムが手に入らないため

クラスチェンジすら出来ないユニットも出てきてしまいます。

このクラスチェンジアイテムは

もうちょっと本編で入手できる数を増やしてほしかったです。

また、このクエストですが、一戦闘に4つまでと、

出てくるクエストか少なすぎ、またその戦闘でクエストに行かせなければ

次のマップではそのクエストが消えてしまっているのが

アイテムの入手し辛さに拍車をかけています。

最終クラスに必要なアイテムの入手できるクエストはとても出辛く、

多くのユニットのレベルを上げていると

絶対に最終クラスチェンジアイテムが出てこないことが普通にありえます。

クリアしてないクエストは次も表示されて、

ある一定のマップ数で消えることにしたら良かったのではないでしょうか。

 

さて、クラスチェンジですが、またこのパシリでしかクラスチェンジできません。

要するに、クラスチェンジするためには

絶対に戦闘を一度は休ませなければならないわけです。

それが一軍のキャラクターの場合、調整するのが大変でした。

アイテム使用でクラスチェンジOKにしてほしかったですね。

 

戦闘で使用しないキャラクターを買い物やクエストに行かせたり、

修行させてパラメーターをUPさせるという試み自体は良かったと思うのですが、

とにかく使いづらいところが随所に見受けられます。

もうちょっとユーザーライクにものを考えてほしかったですね。

悪い部分が目立ちすぎてしまっています。

 

 

グラフィックのレベルはまずまずです。

キャラクターひとりひとりがとても魅力的に描かれているのが特徴的です。

ですが、立ち絵のバリエーションが非常に少ないです。

一キャラクターで5〜8ぐらいほしかったのですが、

実際は1つしかないキャラクターがほとんどで、

メインキャラクターですら5種類程度。

せっかく魅力的ですので、もうちょっとほしかったです。

あと、CGもここぞという場面で複数枚ほしかったところ。

エンディング後に1枚とはちょっと寂しいです。

戦闘アニメでもチョコチョコと良く動くのですが、

戦闘アニメは常にOFFにしてしまうので

あまり見ることはないのがちょっと残念ですね。

オープニングムービーはありません。

 

 

 

プレイ時間は、三週して78時間。

一週目が40時間、二週目が20時間、3週目が18時間程度でした。

DSとしてはボリュームがかなりあります。

二ルートあり、それぞれ辿らなければ真実が明らかにならないため、

引継ぎをして二週し、出来れば覇道→王国復興ルートの順で

プレイするのがお勧めですね。

最初に王国復興ルートに進んでしまうと、

最終面で積んでしまう可能性があります。

 

ルートマニューバシステムと、パシリ・システムは

なかなか面白いものがあるものの、随所に悪いところがあり、

全く洗練されていません。

光るところのあるシステムですので、

改良すればどんどん面白くなると思うのですが、

とにかく悪いところが目立ちすぎてお世辞にも快適とは言えないため、

システムを気にされる方は回避した方が良いでしょう。

 

引き込まれるストーリー、斬新なシステムと、

はまれればとても楽しめるだけに非常に残念なシステムですね。

私はとても気に入っていて、本来ならしなくても良い

3週目までプレイしたほどなのですが、

誰にでも進められないのがもったいないゲームでした。



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