神咒神威神楽

 

曙之光

 

一言レビュー

Dies iraeIF世界

 

グラフィック 9点
シナリオ 8点
ボリューム 9点
快適さ 5点
満足度 8点
総プレイ時間 45時間
総合評価 78点

 

 

 

東西に分断された神州は、東に化外と言われる化け物が住む。

人が一人も住まないそこには、圧倒的な力を持つ魔物たちの国だった。

折しも300年前、彼らを撃ち滅ぼし神州を統一しようと

東の穢土へ攻め込んだ人間は、八柱の天魔からなる

夜都賀波岐達の驚異的な力に圧倒され、返り討ちにされる。

その時に持ち帰った穢れにより、

陰気の汚染「歪み」を持つ者達が誕生することになった。

 

それから長らく鎖国を続けてきた神州だが、

昨今外国から開国を迫られることになった。

それに対し、自分達にも自由に出来ない化け物たちの国があるという

弱みを見せることは許されず、

また、陰気に侵された人間をどうにかするには、

東の汚染元になった天魔を滅ぼすしかなく、

穢土へ再び攻め込むことになった。

 

その東征軍の総大将を務めることになった久雅竜胆とともに、

東へ赴くことになった益荒男7人の、穢土での天魔との戦いをメインに、

現世界の座を握る神との戦いを描きます。

 

 

完全に前作Dies iraeの続編ですね。

前作で女神となったマリーを滅ぼした神が座を握った世界です。

出てくる人物たち、特に天魔はDiesの登場人物達であり、

IF世界のストーリーであるために、

半ば前作プレイが必須になっています。

前作をプレイしていないと

彼らの存在がハテナとなってしまうかと思われます。

 

実際のストーリーですが、非常に濃い内容で、

文章がとてもねっとりとしています。

皆お喋りなのですが、迂遠にしゃべっており、

真相をなかなか口にしようとせずに装飾の限りを尽くすために

ありとあらゆるところがくどい文章で、読む人を選ぶタイプです。

好き嫌いが物凄く分かれる文章ですね。

 

世界観の構成は巧みであり、前作で組み上げられた世界観を

ほぼ流用しているために、丁寧に練り上げられており独特です。

内容は殺伐としており、バトルメインで熱い展開が多いです。

前作が気に入った人ならばはまれるでしょうが、

前作の登場人物の多くが敵側として登場し、

中には滅ぼされている者もいるために読み手の心中は複雑です。

 

分岐は一応あるものの、ストーリーは完全なる一本道。

時折キャラクター達がばらけることになるのですが、

そのパートナーは完全に決まっており、

選択肢によりどの組み合わせの人物の

ストーリーを見るかということになっていて、

彼ら、彼女らは全て主人公という位置づけです。

ですので、一人の主人公で各ヒロインを攻略する、

という従来のアドベンチャーのタイプではありませんので

その点は注意が必要です。

その分八人全員の個性や連携が強烈に描かれており、

関係性は前作よりも明確になっています。

 

 

システムは結構不便です。

無いシステムはオートセーブ、クイックセーブ、

履歴からのジャンプの類です。

これが地味につらかった。

また、セーブも見辛い。

その時の画面のみで、プレイ日付もセリフもゲーム内の日時も一切ないために、

どのセーブか非常にわかり辛いです。

 

オートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというVITAの欠点が制御されておらず、

オートモード中は絶えずボタンか画面に触って光度が落ちないように

プレイヤーがしてやらないといけません。

今回は前面のタッチ無効が出来ないために、

何かボタンか画面を触るしかないのが辛い。

 

文字にルビがふってあるのですが、

そのルビが小さすぎて潰れてしまっており、

見えなくなっているのもしばしば。

テキストフォントももう少し大きいほうが良かったですね。

 

そして一風変わっているのがテキストフィールド。

文章やCG、立ち絵によってテキストフィールドが横になったり中央になったり、

下になったり全画面になったりします。

中々奇抜な位置なのですが、配置にセンスの妙があり、

感心して見ていました。

ここまで大胆にテキストフィールドを使ってくるのも珍しいですが、

作風とのマッチとバランス感覚がとても良いです。

システムで褒められるのはここぐらいです。

 

そして最悪なのが、スキップモードです。

何故だかわかりませんが、既読スキップにすると、

まめまめしくスキップが強制解除されるのです。

数分おきに解除されるために再びスキップをさせるのが面倒で、

途中からは文書飛ばしは「すべて」に設定し、

既読文章の色が変わるようにできるので、

文字の色が変わったのを見定めてこちらでスキップを解除していました。

 

 

 

グラフィックは墨絵調の輪郭に太い細いがある、

シナリオにとてもマッチした絵柄です。

色の塗り方もはっきりとしており、

その原画にあった塗で美しく、雰囲気にも良く合っています。

特に光の入れ方が美しいですね。

万人向けの綺麗系の絵で、とても作風に合っています。

立ち絵のバリエーションも問題ありません。

 

CGの枚数は差分抜きで107枚。

枚数は少し少なめ〜普通のレベル。

差分が少なめであり、文章に合っていないCGもあったのが残念です。

もう少し表情の差分が欲しかった。

あと、バトルメインのシナリオであり、

絶えずバトルシーンが挿入されているにもかかわらず、

一人基本2枚のCGで展開されているので、

かなり少なく感じたのも確かです。

拡大させたり、一部を表示させたり、

複数枚のCGを合わせたりと小技が光り、創意工夫を評価したいものの、

いかんせんCGの枚数が少ないもので、

バトルの迫力が伝わりにくかったです。

 

 

 

プレイ時間は約45時間程度。

時間が表示されないタイプで正確な時間が分かりませんので約の時間です。

プラチナトロフィーを取得しています。

 

独特の濃いねっとりとした文章は人を選ぶものの、

世界観の完成度は高く、魅力的なシナリオです。

ただ、シリーズ前作Dies iraeをプレイしているからこその評価であり、

また、一人の主人公で複数のヒロインを攻略する

恋愛アドベンチャーとは一線を画します。

そして、ストーリーは完全なる一本道。

バトルメインのストーリーが好きで、

前作が良かった人にならお勧めですが、

初見さんには勧めにくい作品です。




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