新釈・剣の街の異邦人

 

〜黒の宮殿〜

 

一言感想

ストーリーはおまけのトレジャーハンティング

 

グラフィック 8点
シナリオ 7点
ボリューム 9点
快適さ 8点
システム 8点
満足度 8点
総プレイ時間 77時間
総合評価 84点

 

 

 

原因不明の飛行機消失事故により、

目覚めたそこは美しい星空に幻想的な蝶の舞う遺跡のような場所だった。

大破した飛行機に他に不思議と人影はなく、

自分以外に生存者はおろか、遺体もない。

そこにふらりとローブ姿の老人が現れた。

訳も分からず、腰の低い老人の言うとおりに進むと、

突如として老人に操られている魔物達に襲われた。

そこに飛び込んできたのはセーラー服の少女。

一体の魔物の首を切り捨てるや否や、助勢を頼まれた。

 

そこは異世界の剣の街、エスカリオ。

違う世界から迷い込んだ客人の事を、皆は異邦人と呼んだ。

異邦人の中には、血統種と言われる強い魔物を倒した後に残される

純結晶に触れることのできる人物がごく稀にいる。

彼らの事は、敬意をこめて「選ばれし者」と呼ばれていた。

 

神の代理人たる器を持つ者、光・闇・中立の3人の内

誰により多くの純結晶を渡すかで

終盤のストーリーが変化していきます。

 

 

ストーリー自身はごく薄く、大筋は純結晶を集めて

ストーリーを進める感じになります。

淡々と進んでいくのですが、このゲームの真骨頂は

シナリオやキャラクターではなく、

ダンジョンアタックやトレジャーハンティングにあると思います。

 

 

 

ダンジョンは3Dダンジョン型のDRPG。

ダンジョンを踏破していくと、通ったところのマップは自動的に記録されていき、

行った事がある道だと、行きたい箇所を指定すれば、

勝手にそのルートの最短距離をダメージ床や敵を

出来るだけ避けて素早く進んでくれるのが便利ですね。

通常の敵はあまりアイテムを落とさないのですが、

ダンジョンにある待ち伏せポイントに潜み、

士気と言われるポイントを消費して宝箱を輸送してくる

敵を倒して装備品を手に入れます。

これが非常に面白い。

あっという間にアイテム欄一杯(100個)になって、

マップの探索をそっちのけにしてこのアイテム集めに奔走することになります。

ざくざくと手に入り、どんどんいいアイテムがでてきますし、

それを持ち帰って売り払い、アイテムを強化していくのが

基本になるのですが、これに中毒性があります。

良いアイテムが手に入った時はわくわくしますし、

強化して敵を簡単に倒せるようになるのが楽しいのです。

この作業が面白いと感じるか否かでこのゲームの可否が分かれます。

 

 

キャラクターメイキングで仲間を作っていきます。

初期にオートで作られている人物達を利用することも可能です。

戦闘メンバーはほぼストーリーに絡んできませんが、

その代わりとしてかなり自由に作成でき、

途中でいくらでも容姿・名前・ボイスを変更できるのが素晴らしい。

そして容姿・名前・ボイスは主人公ですら変更可能です。

変えられないのが種族と才能。

クラスは有料ですがいくらでも変更可能で、

クラスごとに覚えるスキルをいくら覚え、

どれをセットしていくかでキャラクターの強さがぐっと変わっていくのも面白い。

レベルが上がるごとに1ポイントずつスキルポイント(STRやLUCなど)を

振り分けることができるのですが、

これでかなりキャラクターの特徴がはっきりしますね。

数は多くありませんが、ダンジョンでの敵や宝箱などで

スキルポイントを上げられるアイテムも存在します。

キャラクターメイキングについてはかなり自由度が高いと思います。

 

戦闘は敵味方共に、素早い順から行動をするタイプです。

雑魚敵はともかくとして、血統種にはきっちり対策をとる必要があり、

レベルが高ければ、装備品が良ければいいというわけではありません。

シンプルでいながらやり込み要素の高いゲームシステムだと思います。

 

ただ、難易度が非常に高い。

普通にマップを完成するだけでは血統種に勝てず、

トレジャーハンティングと装備品の強化が必須であり、

それらのレベル上げをしても、

戦闘での対策を考えていないと負けてしまいます。

非常に難易度が高いタイプであり、一番低い難易度でもかなり厳しく、

ライトユーザーからするとびっくりするほど難しい。

製作者が考える戦闘バランスがかなりシビアであり、

それについていけるかが重要なポイントとなる、

高難易度の戦闘スタイルのため、プレイする人を選ぶゲームです。

少なくとも作業が苦にならないタイプでないと難しいでしょう。

 

 

 

基本的なシステムは大分快適になりましたね。

前に使用したスキルやアタックをそのまま使用するオートが、

かなり良くなっていると思います。

戦闘のコマンドを一気に飛ばす高速戦闘は非常に快適であり、

一瞬でターン送り可能で、飛ばしたターンもセレクトボタンで

ログを確認することも可能です。

これが延々とトレハンをしなければいけないこのゲームで最大の良システムです。

あっという間に戦闘が終わるのは素晴らしい。

 

 

 

グラフィックは2Dタイプ。

やや濃い油絵調のイラストが基本なのですが、

こちらで選べるメイキングキャラクターの絵柄は

複数の絵師が参加しているためにかなり絵柄にばらつきがあります。

かなりの数があるので、お気に入りの絵柄がきっとあると思います。

途中で差し挟まれるCGも綺麗なのですが、

人物によっては違和感のあるものがあるものの、

この世界観にはとても良く合っていると思います。

贅沢を言えば、もう少し枚数が欲しかった。

 

 

 

プレイ時間は、本編クリアで60時間ぐらい、

本編終了後のエクストラマップで17時間、合計77時間です。

全ルートのエンディングを見ました。

最初から難易度を一番低い「ビギナー」でプレイ。

次元の歪みと高難易度のペイデの試練というクエストはあきらめました。

 

かなりピーキーなゲームバランスで、素晴らしく高難易度です。

昨今の温めで、戦闘に逃げないで戦っていたら

さほどボス戦に苦戦しないタイプと同じと思うと

最初のチュートリアルのマップで死傷者多数で逃げ帰ることになります。

レベル上げと、トレハンと装備品の強化必須の作業ゲーですが、

それでも不思議と中毒性のあるゲームです。

防御力が高かったり、初めて手に入れた装備があった時は

何とも言えない楽しさがあります。

 

素晴らしく作業ゲーです。

それが苦にならない方ならば楽しめると思いますが、

そういうのが嫌い、さくさく進めないとダメな方には向きません。

非常に好き嫌いが分かれるタイプのゲームですね。



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