クロノベルト

Schwarz Oath

 

一言レビュー

兄貴たちに惚れる

 

グラフィック 7点
シナリオ 9点
ボリューム 6点
快適さ 7点
満足度 9点
総プレイ時間 25時間
総合評価 79点

 

 

「あやかしびと」と「Bullet Butlers」のファンディスクです。

各ストーリーでの主要人物が入り乱れる、まさに夢の狂乱。

ですので、上記二作品をプレイしていない人はお断り仕様になっています。

キャラクター設定の説明は完璧にスルーされているので、

最低限、どちらかをプレイしていないと厳しいでしょう。

 

前作で不完全燃焼気味で終わったであろう、

二人をメインに取り扱っています。

アルフレッド・アロースミスが「あやかしびと」の世界で

己の生きる意味を見つける【かりそめの旅人たち】、

氷鷹一奈が「Bullet Butlers」の世界にいることを知らされた九鬼耀鋼が、

復讐心と義務で彼女を追いかける【復讐するは神になし】、

そして各キャラクターが血みどろの殺し合いを行う、

淀んだ空が広がる、オセロットシティと神沢市が入り混じった、

一日が12時間で幾度も同じ一日を繰り返している

【クロノベルト】の三部作で成り立っています。

 

 

まったく世界の違う人物たちの邂逅はどうするのかと思っていたのですが、

まさに何でもありの力技で世界を繋ぎ合わせています。

ギリギリ破綻しない瀬戸際でなんとか食い止めてはいるのですが、

やはりかなりの強引さがありますね。

全く違う世界の人物を出会わせるには仕方がないかもしれません。

しかし、未消化に終わったアルフレッドという人物を完成させ、

歪な復讐心と絶望に染まっていた九鬼に己の目的を昇華させた、

【かりそめの旅人たち】と【復讐するは神になし】のレベルが凄いです。

2人とも、己の人生は何だったのか、という問いに完全に決着をつけています。

どちらもなかなか良い答えを見つけてくれたと思います。

この二人の人物を気に入っているのならば、

ファンディスクとして十分満足できると思います。

 

そして、そのストーリーを踏まえてなんとも血生臭く、

歪んだ世界での復讐劇が繰り広げられる【クロノベルト】へと繋げ、

2作品のキャラクターの共闘に及ぶや否や、

プレイヤーの狂喜が爆発します。

まさかの人物の共闘に心躍りました。

強引さが垣間見えるものの、

2作品を同等に扱ったファンディスクとしては

かなりレベルが高いのではないでしょうか。

 

 

 

システムは前作の物を概ね流用しています。

出来は2歩進んで1歩〜1.8歩下がる感じですね。

一見いろいろとそろっており快適そうに見えますが、

実際はまだ不具合があります。

テキストの一括表示ができるようになっている点と、

CGだけの閲覧がプレイ中可能になっていること、

スキップが前よりも早くなっている気がするのが進んだ点でしょうか。

 

テキストを送ってもボイスのキャンセルはできずに

ボイスが次のボイスまで流れ続ける難点は前作から続投。

そして今作からの不具合が、オートモード時のセリフのテキストが、

ボイスが終わってから次のテキストへページ送りするのが

オートモードのスピードを速くしても

ものすごく遅くて数秒かかるのが気になります。

そして履歴の文字が小さすぎるのも相変わらずです。

 

CG閲覧は4:3表示で閲覧できるようになっているのは改良点ですが、

PSP画面でフルサイズにするのには十字キーで拡大させ、

アナログパッドでCGの位置をこちらで調整しなければならないのがとても面倒です。

 

 

グラフィックですが、綺麗系ながらもシンプルよりの絵柄。

やや癖があるでしょうか。

CGは比較的安定しているものが多いのですが、

追加されたCGには1枚を除く全部の絵で顔立ちに違和感があり、

ぱっと見でわかるほど、総じて塗と顔の造作のレベルが

著しく低いのは非常に残念です。

 

立ち絵は前作の物を概ね流用しています。

雪とトーニャの違和感のあった立ち絵はだいたい削除され、

エルネスタのボケていた立ち絵が違和感ないレベルに修正されていますね。

テキストフィールドが縦に広く、背の低いキャラクターの顔の

三分の一がテキストフィールドに埋まってしまうのも前作同様です。

 

追加されたものを除き、CGは色の塗も丁寧で、

バトルシーンでの動きのある絵や

カットインの絵もとても華があり、大胆な構図で良く描けています。

特にバトル時のCGは秀逸。

そして女性陣のCGよりも男性陣(主人公含む)のイラストが多いという、

普通のギャルゲーとは違うところに層の厚いCGは相変わらずです。

 

CGの枚数は差分抜きで66枚。

PSP用に描きおろされたCGは内11枚。

原作ではHシーンのCGがかなり多いので、

追加されてもやはりかなりのCGが削除されているために

全体的な枚数は少なくなっています。

差分はそれなりで、GRAPHICで表示されるのは上記枚数ですが、

ゲームプレイ中に表示されるCGは

「あやかしびと」「Bullet Butlers」で使われたCGの流用がかなり行われており、

実際はこれよりももっと多くなっておりますので、

特に少なくは感じなかったものの、

改めて今作で描かれたCGは驚くほど少ないです。

もう20枚ぐらいは欲しかった。

 

 

プレイ時間は約25時間。

プレイ時間が表示されないタイプのため、正確な時間はわかりません。

全エンディングクリア、全CGを回収しています。

 

アルフレッドと九鬼先生が驚くほど格好良いストーリー。

彼ら二人の人物を見事に昇華させているのは流石だと思います。

アルフレッドは「Bullet Butlers」で敵役として出てきたので

あまり良くは思っていなかったほうなのですが、

今作で気に入った人物になってしまいました。

上記二人のうちどちらかが好きならば

買って損はない作品だと思います。

そしてストーリーは男性向けよりも女性向けかと。

恋愛要素がほとんどなく、ただひたすらに男性陣の大活躍が光ります。




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