L@VE once

 

mermaid’stears

 

一言レビュー

エコでインスタントな恋

 

グラフィック 4点
シナリオ 5点
ボリューム 5点
快適さ 5点
満足度 5点
総プレイ時間 23時間
総合評価 48点

 

 

 

主人公、高梨翔司の母親は人魚だった。

それは嘘のような、本当の話。

人間の男に恋をして、人間になったため代わりに声を失った母親に、

子供の頃、一度だけ同じぐらいの年頃の双子の人魚に会わせてもらい、

海で一緒に遊んだことがあった。

その後も何度か母にせがんだが、

二度と彼女たちに会わせてもらえることはなく、

そのせいもあってその出来事はあまりにも鮮烈な思い出だった。

 

そんなある日、父親が亡くなった。

それから二か月たって訪れたのは、

もう一度会いたいと願ってやまなかった、双子の人魚だった。

彼女たちが人間に姿を変えて来たのは、他でもない、翔司の為であるという。

人魚の恋が破れたら、泡となって消えてしまう。

母親は父親を失ってしまったので、失恋している状態だという。

その為、人になって母親より短い翔司の方が、

母親の代わりにその影響を受けるという。

弱い者が、強い者に代わって影響を受けてしまうと、

母親は申し訳なさそうに謝る。

もっとも、翔司は半分人間であるため、泡となって消えることは恐らくなく、

影響が表れても声を失うか、せいぜい体の一部にうろこが出る程度で、

それも恋人がいれば、もう一度翔司に人間になる魔法をかけることにより

その事態は回避可能だということだった。

 

いつまでと影響が出る期限を言えないので今すぐということはないが、

出来るだけ急いだ方がいいと言われ、

ほっと胸をなでおろす翔司に、双子はとんでもないことを告げる。

翔司は半分人魚だから、恋をすることが出来るのは

ただの一度きりだということを。

それを逃せば魔法をかけても無駄だと言われて、思わず顔が青ざめた。

 

 

という、設定そのものはちょっとファンタジックなものの、

あくまでもそういう設定をスパイスにした、

ごく普通の恋愛ストーリーです。

そういう設定が顕著に生かされているのは、

双子のシナリオぐらいでしょうか。

設定は派手なものの、双子の二人は色々と魔法をかけるわけでもなく、

人魚から人へ姿を変えられることと、

影響回避の魔法をかけられるぐらいで、

彼女たちの力を使ってどうこうということにはなりません。

 

さて、実際のストーリーなのですが、はっきり言ってしまうととんでもなく短い。

中にはどうやって好きになったのか、首を傾げるようなヒロインもいて、

好きになるという過程を省きすぎています。

ストーリーも淡々と進んでいくため、

終盤で少し盛り上がったかなと思うと

すんなりエンディングへたどり着いてしまいます。

悪くはないのですが、ありがちな展開で、

あまりにも短いためにあっさりさに拍車をかけてしまっています。

ヒロインの個別ルートが2〜4時間程度とは、あまりにも短すぎです。

もうちょっと時間をかけて、大きな波乱が欲しかったですね。

 

 

 

システムは概ねアドベンチャーには必須のものが揃っているものの、

レスポンスがとても悪いのと、セーブ中に固まることが多いのが気になります。

スキップは会話の内容が大まかにわかるほど遅いですし、

テキストの履歴表示時に数秒固まり、

前の履歴を遡るのにも頻繁に引っかかるのでイライラさせられます。

初期画面の時にスタートを押してもなかなか反応しないのも重いです。

オートモード時に○ボタンを押すとオートが解除されますし、

スキップ時、オート時に選択肢が出ると強制解除されるのも気になります。

テキストの括弧も、前が全角、後ろの括弧が半角と、

バランスが悪いのも気持ちが悪いですね。

 

セーブデータも、最初のセーブデータのCGのまま固定され、

上書きしても最初のセーブ時のCGですので、

再ロード時にちょっと迷います。

そして最大の難点が、セーブ時に時折固まること。

数度に1回ぐらいの割合で固まり、

PS3を再起動しなければならず、

セーブデータは一応保存されているものの、

システムデータが保存されていないらしく、

既読なのに未読になっているのも残念でした。

 

 

 

グラフィックは、立ち絵やパッケージ絵はややシンプルなものの、

可愛らしい絵柄で魅力的なのですが、

CGが詐欺かと思うぐらい表情に魅力がありません。

特に眉を顰ませていたり、苦笑している表情が驚くほど不細工です。

どのCGからも雑さが醸し出されています。

立ち絵とCGが別人であり、

CGが表示される度にがっかり感が募ります。

ここまで残念感を感じるCGは久々ですね。

PS3版とは思えないほど魅力のないCGです。

 

CGの人物の顔の造作は雑で、塗は汚くはないのですが、非常に淡白。

同人の絵でももうちょっと綺麗かと思います。

これが本当にプロの塗なのかと目を疑いました。

そして、主人公の目が描かれているCGと描かれていない

CGが中途半端に入り乱れているのにも気になります。

人物が雑でも、背景が凝っていれば

もうちょっと感じ方が違うかもしれませんが、

あっさりとしてお世辞にも美しいとは言い難く、

CGの時の背景の粗さは他作品よりかなり見劣りする出来です。

PSP版ならこれでも良かったのでしょうが、

PS3版で大画面表示されると、CGのチープさが際立ちます。

CGが表示される度に、このCGならば

なかったほうが良かったと思うほどです。

 

モーションポートレートを採用しているのですが、

それも一番大きい立ち絵だけであり、

殆どの立ち絵はモーションポートレートではありません。

また、そのモーションポートレートにしても、

福笑いのように顔のパーツがすす〜とずれる動きが不気味です。

これならば無理にモーションポートレートを使わないほうが良かったと思います。

 

CGの枚数は差分抜きで139枚。

差分は普通ぐらいですね。

プレイ時間にしてはかなり多いのですが、

枚数を増やすぐらいならば、クオリティを上げてほしかった。

 

 

 

プレイ時間は23時間。

時間が表示されないので、約の時間です。

共通ルートが5時間程度、ヒロインルートが2〜4時間程度。

スキップが遅いので、実際はもうちょっと短いかと思われます。

全エンドプレイ、CGをコンプリートしプラチナトロフィーを取得しています。

 

全体的に、エコという名のケチという言葉を思います。

あちらもこちらも経費削減しまくっているのを感じて始終残念感が漂います。

シナリオもラノベ的にシンプル。

悪くはないが、良くもなく、明らかなボリューム不足でペラペラです。

音楽もほとんど無音が多く、

あるのは環境音だけという場面がほとんど。

CGは魅力的に感じるものはほぼ皆無で、

表示される度にがっかりします。

良くってマシ、あるいは比較的

立ち絵に表情が似ているといったところでしょうか。

ここまで雑なアドベンチャーも珍しいですね。

これを買うぐらいなら他ゲームを買うことをお勧めします。




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