マギウステイル エタニティ

〜世界樹と恋する魔法使い〜

 

一言レビュー

魔法使いとの王道な恋物語

 

グラフィック 8点
シナリオ 7点
ボリューム 8点
快適さ 10点
満足度 7点
総プレイ時間 55時間
総合評価 78点

 

 

11月のある日、父親が一枚の書置きを残して失踪した。

「母さんに会いに行ってきマス」

やたらと可愛らしい便箋にしたためられたハートマークの付いた文言に、

主人公天ヶ瀬大樹は目が点となる。

何故ならば、母親は大樹が幼いころに行方不明となっており、

はっきりとしたことは聞かされていないが、

おそらくはこの世にはいないと予想していたからだ。

 

母さんに会いに行く = 自殺と考えた大樹は、

孤島にある全寮制の学校、フォーティア学園に行っている

義妹の小雪と連絡を取ろうとするも、

規則により外部からの連絡は取り次げないとにべもなく断られる。

業を煮やした大樹は、直接乗り込むことにした。

島の近くの本土の港で小舟を無断借用し、

学園のある島に向かうも、途中で渦に巻き込まれて

小舟もろとも海に呑みこまれてしまう。

 

意識を取り戻したら目的の島におり、

なんと隣に見知らぬ綺麗な女の子が気を失って倒れている。

訳も分からず困惑するうちに、怪しいローブ姿の老人に魔法の力で攻撃され、

泡を食って少女アリシアと逃げ出すも、

フォーティア学園の生徒にまで魔法を使われて追い回される羽目に。

生徒たちに囲まれて万事休すとなった時、声を上げたのは妹の小雪だった。

騒ぎを聞きつけて出てきた学園長に招かれて、

学園長室で聞かされたのは驚くべきことだった。

 

ここはフォーティア魔法学園。

3年前に別の世界から来た島で、魔法使い達が住んでいる。

大樹達の世界にも魔法の素養を備えた者たちがおり、

その者たちを入学させて魔法を学ばせているのがこの学園だった。

島のことは政治の中枢にいる者たちは知っており、

世界に混乱が起きないようにこの世界の魔法の資質を持つ人物を入学させ、

世界に少しずつ魔法が浸透するように仕向けつつあるところだった。

そろそろ魔法の素質がない人物を学園に入学させようと考えていた所なので、

ちょうど良いのでこの学園へ転校しないかと提案をされる。

少し迷った末、この島での学園生活を決意し、契約書にサインした。

 

という、異世界から魔法使いごとやってきた世界樹のある島での、

魔法使いたちとのコメディです。

魔法をスパイスに、学園生活を送るうちに可愛い女の子と親しくなり、

いつしかといった王道の展開を見せます。

派手なところはないのですがテンポ良く、

とんとんと進んでいくので非常に読みやすいストーリーです。

日常生活をずるずる引きずらず、区切りのよいところでスパッと切って

翌日に進んでいるため、だらけず読むことができます。

メインのヒロインルートは数時間程度。

目新しいものもなく、ありがちなところはあるものの、

数時間で終わるために周回しやすくなっています。

 

終盤において深刻な事態に陥るも、

あっさり解決してしまっているのは

ちょっと都合が良すぎると思うこともあるのですが、

ハッピーエンドが好きならばなんとか許容できる範囲かと思われます。

 

本編は20〜30時間程度と通常のアドベンチャーとしては短い目なのですが、

一本の作品として造られたファンディスクもエクストラストーリーという形でついており、

そのエクストラストーリーのボリュームも相まって

長めのプレイ時間となっています。

全ヒロイン攻略後に開示されるプラスストーリーを全部読後に

トゥルーストーリーが解禁されるため、

トゥルーストーリーを見るためには全ヒロイン攻略必須ですので、

そういう意味でもボリュームのある作品。

またファンディスクのアフターストーリーはエンディング後の

ヒロインとのストーリーという形となっているために共通ルートは一切なく、

本編ではヒロインではなかったあの人達とのルートもあって

本編よりもこのエクストラストーリーの方がボリュームは上の気がします。

とにかく盛りだくさん感じなのですが、

この作品ならではといった印象は薄く、

不味くはないが特徴のない無難な仕上がりとなっています。

 

 

システムはかなり完成度の高いシステム。

オートモード時に他のボタンを触っても

オートモードが解除されないのは良いですね。

履歴からのロード、クイックセーブやオートセーブからのロードも完備。

セーブデータはゲームでの日付、プレイ日時、

その時のテキストと小さいながらもCG表示とロード関連はなかなか良いシステム。

アドベンチャーに必須なシステムはもちろんのこと、

あったらいいなというシステムまでほぼ搭載されています。

かなり完成されたシステムだと思います。

 

 

グラフィックは可愛らしいいわゆる萌絵。

目の塗にちょっと特徴があるものの比較的万人向けの絵で背景も美しい。

色の塗もふんわりとして丁寧な塗で美しく、問題ないと思います。

 

CGの枚数はおまけと差分抜きで160枚。

その内デフォルメ絵は56枚となっております。

絵は大きなサイズで収録されているために

アップにしても滲まず、綺麗です。

女性陣は立ち絵とCGにもあまり差はなく、

綺麗に、美しく描かれているものの、

気になるのが主人公大樹の顔立ち。

CGによってかなり顔立ちが違ってきてしまっています。

顔が露出しているCGも結構あるので

無理に大樹の顔を隠す必要もないと思うのですが、

不自然なまでに大樹の顔を隠しているCGもあり、

大樹関連のCGの中には首を傾げる完成度のものもあって、

その辺がちょっと残念ですね。

ボリュームに際しての枚数は問題なく、大目な枚数ではあるものの、

ちょっとデフォルメ絵が多すぎるのが気になるでしょうか。

 

 

 

プレイ時間は表示されないため、約50〜60時間程度。

CG、エンディング、エクストラストーリーもフルコンプリートしています。

1ヒロイン数時間といったコンパクトさで、

王道ながらもテンポよく読んでいける読み口の良い作品。

ファンディスクの内容もほとんど収録されているために

ボリュームとしても申し分ないと思います。

ただその分この作品ならではといった特徴が薄く、

中庸というのがぴったりな感じになっています。

王道が嫌いでなければ楽しめると思います。

ただ、過剰な期待は禁物です。




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