マナケミア2

〜おちた学園と錬金術士たち〜

 

 

一言レビュー

システムが正当に進化したドタバタコメディ

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 9点
快適さ 7点
満足度 9点
システム 9点
総プレイ時間 95時間
総合評価 84点

 

 

前作の学園の錬金術士たちより十数年後の設定で、

前作より数人がゲスト出演しています。

基本的な設定は前作とほぼ同様ですが、

三年制だった学校が一年生に変更されています。

前作では一気に学期が進んでいたのですが、

一週ずつ丁寧に進んでいく作りに変更されたため、

三年が一年に変更された尺の短さはあまり感じられず、

ボリューム自体はさほど変わりません。

 

今回はロゼとウルリカという男女の主人公が一人ずつおり、

学期で起こる大まかなイベントは同じですが、

別視点から見るという形になっており、

また、パーティーメンバーが違うので、

2週遊べるつくりとなっていますので、

返ってボリュームはUPしています。

 

前作よりも、より喜劇性・コメディ部分が強調されており、

かなりな力技の展開がやや暴走気味のお気楽、楽しいストーリーです。

コミカルでメリハリが利いており、見ていて面白いのですが、

中にはこの人たち、大丈夫なのですか? と思うぐらい

命の危険のあるトンデモ展開があるのですが、

それを笑ってなぎ倒していくキャラクターたちが実にたくましいですね。

ドタバタで騒がしい毎日お祭り騒ぎ! なストーリーです。

ただし、恋愛要素はかなり薄い目…というより、ほとんどありません。

ロゼにちょっとあるかな、ぐらいですので、

前作同様のものを期待しないほうが良いでしょう。

 

 

学科は単位制で、成績に応じて星が貰え、

その学期中に指定の星を集めることにより単位を取得するのは前作と同様。

優秀な成績を収めた場合、取る授業が少なくて済み、

後は自由時間となるのもそのまま踏襲しています。

ここは前作の良点でもある、学園生活を実感できるシステムですので、

このままで良かったと思います。

 

ただし、箱庭的なのも前作同様。

今回のアルレビス学園は地上に落ちているわけですが、

学園の敷地内からは長期休暇以外は出られないようになっていますし、

実際キャラクター達は卒業まで出ません。

つまり、学園の敷地以外のところへは行けないので、

学園と周囲の土地を行ったりきたりするだけになっています。

そういう意味では、今回も自由度は高くありません。

 

ストーリーが進むとダンジョンの更に奥へいけるようになる点は変更になっていて、

ダンジョンはかなりシンプルでこじんまりした作りになっています。

基本的にほとんどが一本道であり、迷うという事はほとんどありません。

幾度も同じダンジョンに入って採取を行うという前提条件があるので、

採取を簡単に行いやすいように、

簡略化されたのだろうと好意的に解釈していますが、

普通のRPGのように複雑で広大なダンジョンを

期待していた方は肩透かしを食らうでしょう。

 

一応はきちんと本筋のストーリーがあり、

学期が進むごとに徐々に明らかになっていくのですが、

材料をダンジョンより取ってきて錬金術を行う、

というのが一定のパターンになっており、

どうしても作業感が付きまといます。

基本的にいつも同じようなことを行うので、

こういうお使いタイプが嫌いな方、繰り返しの作業が苦手な方には向きません。

 

 

戦闘は独特な魅力とスタイルを持っていた

前作のものを正当に進化したものになっています。

今回はパーティーメンバーが集まるのが早く、

戦闘の面白さがより強調されていますね。

ただし、フルメンバーが揃うのはごく一部の場面と

二人の主人公のストーリーが終了後の隠しダンジョンのみとなっており、

ほとんどの戦闘が一人欠けたままになっているのは非常に残念でした。

仲間になるキャラクターをもう一人増やしてほしかったと思います。

この戦闘方法では6人揃ってこそ、その真価が発揮されるので、

どうして5人にしてしまったのかは正直謎です。

 

 

戦闘なのですが、前作と同じところは割愛します。

今回はバーストモードがユナイトモードに、

フィニッシュバーストがフィニッシュストライクに名前が変更になっています。

基本的なシステムはほぼ同じで、よりプレイしやすく改良されています。

以下、前作も今作もユナイトモードとフィニッシュストライクに

名前を統一して説明します。

敵に攻撃を当てるごとにゲージが溜まり、

目一杯まで溜まるとあらゆるポイントにボーナスが付く

ユナイトモードになるのは前作とシステム的に同じです。

前作ではある特定の条件が示され、

それを規定の回数以上満たさないと

必殺技であるフィニッシュバーストにならなかったのですが、

今回はサポートスキル(前衛と後衛の入れ替え)を行っていくだけで

簡単にフィニッシュストライクが発動できるようになっており、

この辺は良い改良点だと思います。

また、前作ではフィニッシュストライクを任せたい人物に

ターンが回ってくるまで待たなければならなかったのですが、

今回は前衛にいる3人の人物の中で、

任意に選べるようになっているのは良いですね。

前作ではバーストモード中にサポートメンバーをくるくると交換し、

三人目が主人公であった時のみ

特殊な攻撃を行っていたのですが、今回は誰でもいいので、

連続して二人目のサポートメンバーと入れ替えると、

協力技であるインティメットストライクが

発動できるようになったのも良かったと思います。

せっかく戦闘が面白いのに、この辺の派手な必殺技の類が

簡単に発動できないと面白くないですので。

前作の魅力はそのままに、より快適で、

面白く変貌を遂げているシステムは大変良かったと思います。

 

 

エンカウントはシンボルエンカウントで、

エンカウントをしないように避けながら進むこともできるのは前作も同じ。

今回は敵とぶつかったとき、上に出るコマンドを正確に押すと、

青いシンボルなら戦闘回避、

赤いシンボルならば先制攻撃ができるようになっています。

前作では刃物を振り回して敵シンボルに攻撃を当てなければならなかったので、

この辺もボタンを押し続けなければいけなかった面倒さが解消されています。

また、パラメータがUPすると、敵シンボルが青い色に変化するのも同様ですが、

今回は青いシンボルと赤いシンボル、そして大きなシンボルが増えており、

大きなシンボルはどれほどこちらが強くなってもエンカウントしてしまうので、

最初ごろに入ったダンジョンに採取に行くと、

必ずレベルの低い敵とエンカウントしてしまうのがいささか面倒でした。

前作と同様に、ある程度強弱が広がれば

青シンボルになって戦闘回避でよかったのではないかと思います。

 

 

後このゲームはレベルの概念がありません。

今作では戦闘をこなすとHPとSPが上がる事がありますが、

基本的に戦闘をこなしたとしても、強化はされません。

ではどうやってパラメータのUPをするのかというと。

基本的なシステムは前作と同じですが、

グロウブックがよりシンプルになっています。

前作は迷路のようなつくりになっていたのですが、

今回はフォルダーにカード上にアイテムが並ぶようになっています。

それぞれのカードが3つずつ、

パラメータアップや新たなスキルの習得ができる要素がついているのですが、

調合アイテムのエーテル値を100にしなければ

3つ目の要素がオープンしないという仕組みになっています。

要するに、今作ではアイテムを必ず一度は

エーテル値を100にするのが第一の目標となるわけです。

前作ではあまり使用しないアイテムは

一度作って終わりなのが多かったわけですが、

今回は試行錯誤して何度も調合することになります。

これが結構面白く、やりこみ要素となっていますね。

調合というのもこの作品の魅力のひとつですので、

それをより引き立てていると思います。

 

 

次に調合です。

これは結構シンプルです。

レシピを入手し、そのレシピ通りにアイテムを入れて、作成します。

使用アイテム、素材の作成時は一つ一つのアイテムを入れるごとに、錬金円環が回転し、

その円環の属性とアイテムの相性によってエーテル値がUP、DOWNします。

今回は一度はエーテル値を100にする必要があるため、

錬金円環のスピードがだいぶ緩やかになっており、

目押しができるようになっています。

これは正直助かりました。

また、武器、防具、アクセサリーも、

同じ部屋で調合できるように改良されています。

 

 

そして必ず最初に協力調合をする相手を選ばなければなりません。

前作では仲間と、仲間の持っているサポートがランダムだったのですが、

今回は仲間になっている相手ならば任意で選べるようになっており、

複数アクティブサポートを持っているのなら、

どのアクティブサポートを使用するのかこちらで決められるようになっています。

また、キャラクター固有の、必ずつくパシブサポートというものもあります。

これも良い改良点ですね。

これのおかげでエーテル値の操作がだいぶ楽になりました。

 

あと、未調合のものを探すのが大変なのが改良されていないのが気になりました。

一個一個表示させて未調合のものを探さなければならないので、

未調合のアイテムの欄を作ってほしかったと思います。

今回はエーテル値100に一度もなっていない

アイテム欄も作ってほしかったですね。

 

 

次に色々なシステムです。

基本的なシステムですが、まずますのレベル。

ちょっとローディングが長めかな、と思わなくもないですが、

大体が通常レベルですね。

あと細かいところを上げると、

購買部というものあるに関わらず、マップ中にお店が複数箇所もある。

お店ごとに買えるアイテムが違っており、

行ったり来たりするのは非常に面倒であり、

なぜこの点が改良されていないのかは謎です。

 

昼夜の区別があるのですが、

今回は夜の敵シンボルの強さが抑え気味ですね。

また、セーブサークルで時間を送ることもできますので、

この辺は快適になっています。

ただ、昼夜の別をもうちょっと強調してほしかったと思います。

 

 

グラフィックですが、温かみのある特徴的な絵柄。

好き嫌いがちょっとでそうですが、癖が魅力となる、独特な絵ですね。

大変魅力的なキャラクターイラストだと思います。

マップ時やミニキャラクターの2Dは綺麗で、

キャラクターの特徴を良くつかんでいると思います。

質の良い2Dですね。

立ち絵の種類が少ないのが少々気になりましたが、

おおむね問題はありません。

イラストライター氏の絵が魅力的ですので、

もうちょっと一枚絵を多用してほしかったな、とは思います。

 

 

プレイ時間は、ロゼを50時間でクリア後、

引継ぎを行ってウルリカ編を40時間でクリア、

その後隠しシナリオ「卒業間近」を5時間でクリアし、

それぞれ一エンドずつ見て95時間。

ロゼ編は幾度もダンジョンに採取に行っていますが、

アイテムを引継ぎしてあるウルリカ辺はほとんど採取に行っていません。

また、サブイベントであるアルバイトは一通りクリア。

キャライベント、キャラストーリーは両方ともすべて進めています。

それをあまりしなかった人は片方で30〜40時間ぐらい、

二週した人は60時間ぐらいにはなるでしょう。

でもやりこむと、80時間ぐらいは平気でかかります。

ボリュームとしては2主人公をクリアすると上位クラスになります。

 

魅力たっぷりのシステムであり、プレイヤーにより良く、

快適にプレイしてもらおうという企業の姿勢には目を見張るものがあります。

特に戦闘システムの独特さ、調合の楽しさは秀逸です。

大変楽しくプレイできました。

是非とも次回作を期待したい出来。

非常に箱庭的であり、自由度、世界は狭い作品で、

繰り返しの多い、作業感が付きまとうゲームですが、

それが嫌いでなければお勧めしたいゲームです。




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