メモリーズオフ6

 

Twave

 

一言レビュー

三角関係にしては修羅場が薄い

 

グラフィック 7点
シナリオ 7点
ボリューム 7点
快適さ 9点
満足度 7点
総プレイ時間 38時間
総合評価 74点

 

 

 

学園祭を目前に控えた10月。

塚本志雄は、寝起きの悪い幼馴染を叩き起こし、

毎度のことになった遠峯りりすの痛烈な蹴りを食らいつつも、

いつも通り学校へ通っていた。

 

そんなある日、りりすから一通の手紙を渡される。

「放課後に公園で待っています」

差出人のない手紙の一文に首をひねるも、

不機嫌さを滲ませるりりすは絶対に行くようにと強調して去っていった。

 

りりすから手渡されたことだし、一応行ってみるかと公園に向かうと、

そこには一人の可愛い女の子が必死な表情で待っていた。

少女の名前は箱崎智紗。

りりすの親友だったが、志雄の認識はあくまでその程度。

何度かちょっと話したことがあるぐらいで、

つい最近までさほど目立たない子だった。

髪をほどき、メガネをコンタクトに変えるというイメチェンぶりに驚くも、

さらに驚嘆することを告げられる。

 

「付き合ってください」

今まで全くモテたことのない志雄は面食らうも、

彼女は畳み掛けるように

お試しで学園祭まで仮に付き合ってみないかと提案した。

「返事は学園祭の時までいいから、良ければ後夜祭で踊ってください」

後夜祭で踊るということは、恋人同士であると宣言するも同じこと。

彼女のことを良く知りもしないので好きとも嫌いとも返事のしようもないが、

りりすの紹介でもあるので断るのもどうかと迷っていた志雄は、

彼女の提案に乗ることにした。

 

 

という、告白から疑似的に智紗と付き合うところから始まります。

そこはちょっと派手なところがあるのですが、

ストーリー自体はごく普通であり、

トライアングルという三角関係を思わせる副題にしては、

さほど波風はないのがちょっと残念ですね。

さて、りりすと智紗にはちょっとした秘密が隠されているのですが、

それがシナリオ中で見え見えになってしまっています。

彼女たちのつぶやきなどで大体想像がついてしまい、

そうだったのかといった驚きは皆無。

やっぱりかという思いが強く、予定調和的に語られる謎に意外感はなく、

その辺はもうちょっと隠して、

終盤で派手に明らかにしてほしかったかと思います。

この辺の魅せ方が下手なストーリーです。

 

メインヒロイン二人は丁寧に作られており、

彼女たちからの視点のシナリオもあるという力の入れようですが、

サブヒロイン達はごく普通の恋愛譚になってしまっています。

この辺もトライアングルという意味合いも上手く活かされていません。

 

後、気になったのがルートごとに矛盾がある点です。

ダンスが上手かったり下手だったり、

りりすが歌が上手いことを知っていたり、知らなかったり、

事故当時りりすが側にいたことを覚えていたり、曖昧だったりと、

シナリオ毎に明らかにわかる矛盾点が散りばめられています。

複数ライター制の弊害でしょうが、この辺ぐらいは詰めてほしかったかと。

 

 

色々と駄目出ししていますが、恋愛ストーリーとしてはごく普通であり、

ヒロイン毎の魅力はそれなりに活かされてはいるのですが、

このゲームならではといった要素がないのがもったいないシナリオです。

そういう意味合いでも、良くも悪くも普通の出来かと思います。

 

 

 

システムは快適で、インストールがないのがもったいないぐらいですね。

インストールがないためにかなりシャーク音がするのがちょっと残念です。

それ以外はアドベンチャーのシステムとしては

ソツなく高レベルで揃えられています。

音声ハイライト、スキップモード中未読の時はオートにも、停止にもできるシステム、

履歴からのジャンプも可能、

セーブデータはゲーム中の日時やプレイ日の日時、

その時のCGと選択肢やテキスト表示と、

セーブ関連のシステムも良いのですが、セーブデータを表示時

ちょっと重いのが難点でしょうか。

これで次の選択肢まで一気にスキップという

システムがあれば最高だったかと。

 

 

 

グラフィックは、好き嫌いのあまりない可愛い系の絵柄。

綺麗な人物もきちんと描き分けられています。

塗はごく普通で、CGや立ち絵はそこそこ綺麗なのですが、

背景の塗が雑に思えます。

 

また、CGによっては主人公の顔の造作がかなり違っており、

安定感に欠けます。

サブヒロインの一人の立ち絵がかなり粗雑で、

最初はモブキャラかと思いました。

CGにするとそうでもないのですが。

 

 

CGの枚数は差分抜きで78枚。

おまけの版権絵は24枚とこっちは結構ボリュームがありますね。

本編内のCGはプレイ時間にしては

ちょっと物足りないボリュームです。

差分は普通〜やや多め。

CGの塗はごく普通の出来です。

 

 

 

プレイ時間は38時間。

時間が表示されるので正確です。

グッドエンドのみプレイしています。

 

とてもオーソドックスな作品です。

最初は派手な感じから始まるものの、

三角関係から想像される修羅場はほぼなく、

そこを期待していると肩透かしを食らうかと思います。

もうちょっとりりすと智紗の間で

ひと波乱あっても良かったような気もしますが、

安定してプレイできる作品でもあります。

その分、突出したところがないのが欠点でしょうか。




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