英雄伝説 碧の軌跡

 

一言感想

毎章終盤の起爆力が凄い

 

グラフィック 7点
シナリオ 10点
ボリューム 10点
システム 8点
快適さ 8点
満足度 10点
総プレイ時間 102時間
総合評価 95点

 

 

零の軌跡の数ヶ月後にあたるクロスベル自治州での物語です。

特務支援課のメンバーはバラバラになっており、一時活動を停止中。

ロイドは一課に出向中という場面から始まります。

ですが、ネガティブなことでメンバーがクロスベルから離れているわけではなく、

さらなる高みを目指しての一時解散という形です。

章ごとに一人、二人とメンバーが帰ってくるのですが、

その盛り上げ方が抜群です。

RPGというとどうしてもだらだらとストーリーが続き、

途中で中だるみする場面があるのですが、

章ごとに起承転結がきちんと設けられており、

中だるみを感じさせません。

章終盤になると毎章クライマックス状態なのは驚きました。

盛り上げ方が非常に上手く、怒涛の展開がこれでもかとばかりに続きます。

プレイヤーの注意を引きつけるという一点においては瞠目に値するレベルであり、

止め時が見つからなくて困った作品です。

 

今回もNPCのキャラクターのこだわりは素晴らしく、

作品の中でNPCごとに性格や環境が細かく設定されているのですが、

それがストーリー全般において非常に上手に生かされています。

沢山の人物のキャラクターがしっかりしているので、

あちこちで一斉に起こされる展開が非常に生きてきています。

それはまさに群舞というのに相応しく、終盤において

チェスの駒のように一斉に、自在に動かして見せる手腕は身震いするほどでした。

正直これほどのストーリーを組み立てられるのはすごいと思います。

ここまで壮大ならば、複数作に渡ってしまうのも仕方がないでしょう。

というより、複数作になっているのが最も生かされているストーリーだと思います。

前作では大量の伏線が回収されずに終わっているのですが、

それを見事に回収していく様はすごかったですね。

特に終盤の爆発力は括目させられるレベルです。

今のところ、ファルコムに肩を並べるレベルにあるストーリーのRPGは

他会社には滅多にないといっても過言ではないほどです。

とにかくストーリーが素晴らしい以外は言いようのない作品でした。

 

また、この軌跡シリーズは世界を救うという

命題に必ずなってしまう他RPGとは違い、

規模が小さく、基本的に一国での事件を扱っています。

クロスベル自治州という一応国一つを舞台としているものの、

前作同様クロスベル市と徒歩で回れるごく一部の周辺の村や施設のみが登場し、

非常に箱庭的かつ使いまわし感満載です。

世界中を自由に旅するというタイプが好きな方は

今回も要注意ですね。

 

サブシナリオである支援要請は前作同様お使い要素の強いものですが、

支援をこなすことにより、世界観や人物に広がりを持たせています。

そしてもちろん、嫌ならば大体が飛ばすことも可能です。

特定のアイテムなどが手に入ること多数なので漏れなくこなすことを推奨しますが。

今回も集めることのできる本のシリーズですが、

前回よりもややクオリティダウンなのが残念でした。

意地の悪い、ある特定のポイントでなければ本を回収できないのは

次回作ではもうちょっとましにしてくれるといいと思います。

 

 

システム自体は前作とほぼ一緒です。

コンビクラフトがロイドとだけでなく、

他キャラクター同士でもできるようになっていること、

章終盤ではバーストゲージがあること、

エニグマにマスタークオーツをセットできるということ、

この三点が大きく追加されたことでしょうか。

 

コンビクラフトがいろんなキャラクターとでも

組めるようになったのは良い改良点ですね。

前作ではどうしてもロイドが加わっている必要があり、

あまり多用できませんでした。

 

バーストゲージは攻撃するごとにたまっていき、

MAXになると発動でき、アーツを待ち時間なしで発動、

状態変化解除、CPの上昇率、攻撃力がUPと非常に旨味のあるシステムなのですが、

章の終盤、終章以外では使えなかったのが残念です。

 

そしてマスタークオーツですが、これは育成要素のあるシステムです。

マスタークオーツ自身にも属性値があり、パラメータの底上げをしてくれて、

そして特殊な効果が(戦闘開始時にSTRUP、攻撃時にクリティカル等)

備わっています。

マスタークオーツをつけて戦闘をこなすと、

マスタークオーツもレベルアップしていくというシステムですが、

マスタークオーツ自身のレベルアップが非常に遅いのが最大のネック。

レベルアップするとパラメータの上昇値UP、

特殊効果のUP(クリティカル10%が20%になるなど)、

そして最大の特徴が、レベル5(レベルMAX)になると

マスターアーツを覚えるということです。

マスターアーツ発動時、発動したキャラクターは継続か解除以外出来なくなりますが、

敵から受けるダメージ半分、物理攻撃力1.5倍など、

その効果が非常に強力なのにかかわらず、

前述のとおり成長が遅く、レベル5になるのは本当に終盤です。

終章になってずっと使っていたマスタークオーツが

やっとレベル5になるという状態であり、

マスターアーツの恩恵は終盤のごく一部以外では

与れないといっても過言ではないぐらいです。

つまり、このシステムが終盤と2週目以降以外は

ほとんど生かせなかったというのは非常にもったいなかったと思います。

最初頃に手に入るマスタークオーツはパラメータ上昇が抑えめとか、

マスターアーツの効果が低め等の調整をかけて、

もうちょっと初めごろでマスターアーツを使えるようにしてほしかったですね。

 

後、サポートクラフトのランダムさ、使えなさも相変わらずで、

狙って使えないシステムも改良して頂きたかったと思います。

 

 

グラフィックはPSPとしては平均的。

発色が良く、綺麗なのですが建物や車がポリゴンっぽく、

かくかくしているのも前作同様。

立ち絵は非常に魅力的に描かれていますが、

一枚絵のクオリティと絵柄にバラつきがあるのは気になりました。

また、ほとんどのマップ、街が前作の使いまわしになってしまっているのは

舞台が同じなのでしょうがないでしょうか。

そしてもうちょっとムービーを使ってほしいと思います。

 

システムは快適であり、

PSPの最大の難点であるローディングの長さは

メモリインストールがなくともほとんど感じられません。

画面の変わるポイント、セーブ時のローディングも軽く、

PSPとしては快適に作られていると思います。

今回も気になるのが音飛びです。

セーブ時、時折音飛びが発生していました。

ゲームのプレイには支障はありませんでしたが、

音楽に雑音のようなものが一瞬混じるのが気に障ります。

 

そして終盤のバグが多すぎるのも気になるところ。

ゲームが続けられなくなるバグ

(上昇機の下にキャラクターが転移してしまい、移動できなくなるバグ)

に2回引っかかりました。

あとは、続けられなくなるわけではありませんが、

一人のキャラクターしかいなくなるバグなど。

気になる点はそのぐらいでしょうか。

 

 

 

プレイ時間は、支援要請、本、料理、釣り、絆イベントを

フルコンプリートして102時間。

実績は3100ptです。

すべての要素をクリアせず、ストーリーを最短で

追ったとしても60時間ぐらいはかかるでしょうか。

私のようにほとんどしゃぶりつくすと100時間前後かかってしまいます。

脇のイベントが多く、しっかりとしており、

それをこなしているとどんどんボリュームが増えていきます。

 

沢山ばらまかれていた伏線の回収力、各章の終盤の爆発力、

終章での見事なまとめ方が驚異的な作品です。

丁寧に丁寧に、作り手たちが満足できるレベルにまで昇華された

まさに作品と呼ぶべきゲーム。

愛情をたっぷり注がれて作られているのがとてもわかります。

とても大事に作られたのでしょう。

ただし、非常に箱庭的であり、舞台の規模はとても小さいです。

その点が唯一の注意点でしょうか。

 

ストーリーの良いRPGを遊びたいというのならば是非にと勧めたいゲームです。

ストーリーの良いRPGは?

と言われると、軌跡シリーズ以上の物はなかなか思い当たらないぐらいですね。

ただし、前作である零の軌跡の完全なる続き物であり、

前作をやっているのが必須になっています。

前作プレイ済みならやって損はありません。

今からという方ならば、前作と揃えてプレイされることをお勧めします。

次回作が非常に楽しみなシリーズでした。




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