巫女舞

〜永遠の想い〜

 

一言レビュー

大作になり損ねた良作

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 7点
快適さ 5点
満足度 7点
総プレイ時間 30時間
総合評価 70点

 

 

ちょっとノスタルジックな感じの

和風アドベンチャーです。

 

主人公が9歳まで過ごした宮合村の線路が、

廃線になる事を知り、祭りを見るために村に訪れる。

ちょっとした勘違いから泊まる所が無くなり、

幼馴染の誘いを受けて、祭りが終わるまで

神社に住み込みで居候させてもらうことになり

というストーリーです。

 

日本の、過疎化が進む田舎、懐かしい駄菓子屋さん、

遠い日、遊んだ森や川…と、これでもかと和風の懐かしさが

ぎゅっと詰まっています。

 

やっていて、とても良い雰囲気でしたね。

昔風にこしらえた駄菓子屋さんを見て、

思わず懐かしくなって買ってしまう、

と言う感じに近いと思います。

 

 

ルートは4+TRUEで、全5END(BAD除く)。

TRUEは4人のヒロインを全部クリアして初めて、

TRUEへ枝分かれする選択肢が出るという、

全員をクリアして初めて

ストーリーの全体像が浮き彫りにされるタイプです。

 

各ヒロインを全員攻略する事に、ちゃんと意味があります。

過去編に向けて、全ての事態が収縮していく手法は良いのですが、

ちょっと練りこみが足りない感じもします。

 

というのも、過去編がストーリーの途中や

後に挿入されているのですが、

それが強引に入れたようだったり、突然切り替わったりして、

かなり違和感がありました。

これ見よがしにこんな過去があるんだ、壮大なストーリーなんだ、と

見せびらかしているみたいでしたね…。

このあたりがストーリーを台無しにしています。

 

もうちょっとストーリーや各イベント、

台詞や出来事等に、上手に絡めていれば、と思います。

 

それと、ストーリー上に矛盾点があるのと、

(例えばAという場所にすでに行っているのに、

あるヒロインルートではそこに今年行くのは初めてだ、と言っていたり)

 

ヒロイン達と主人公がある約束をするのですが、

それがそのヒロインルートに行かなければ、

約束自体が無かったことのようにされているのが気になりました。

そういうのは、そのヒロインルートに

分かれてからさせればよかったのだと思います。

 

各ヒロインを攻略していくにあたり、

ヒロイン達の持つ、洒落にならない重い問題に

向き合っていくことになるのですが、

ファンタジックな設定もあるので、

そういうのが嫌いな人にはちょっと向きません。

 

ただ、感動要素もあり、各ヒロインごとに涙ぐむような

展開が繰り広げられていて、

ストーリー自体は良い出来栄えだと思います。

 

 

もう一つ気になった点と言えば、表題作の「巫女舞」が

殆ど意味の無いものであるということですね。

ヒロインに祭りの日、巫女舞を舞ってもらうのですが、

舞ったから何が起こるというわけではありません。

 

確かに巫女舞をしてもらうことが

攻略に関して必須になっており、

中盤の見せ場でもあるのですが、

CG綺麗だね〜だけで終わってしまうのが非常に残念です。

 

何か「巫女舞」自体に強い理由付けが

あったら良かったと思います。

 

 

次にグラフィックですが、

とても綺麗な塗りをしていると思います。

アップにしても滲まず、丁寧に塗られています。

ただ、目の塗り方にちょっと特徴があるかな。

基本的には好き嫌いの無い、万人受けのする絵だとは思います。

 

でも、満点にならない理由は二つあります。

一つ目にCGのバリエーションが少ないこと。

CGの差分抜きの枚数は109枚とまあまあなのですが、

差分の絵がほとんどないのです。

まず、表情や仕草が変わらないと思ってよいでしょう。

 

二つ目に、主人公の顔です。

イラストによって、主人公の顔が違いすぎです。

まるで別人の絵が多々あって、プレイ中に凄く気になりました。

目の大きさや吊り上り方が、全然違うのですよ。

雰囲気まで違っていたりして、違和感がありすぎました。

 

 

 

システムですが、KIDとは思えないほど悪かったです

まずセーブですが、物凄く重いです。

また、容量も取りすぎですね。

アドベンチャーで1M近くいるとは…。

システムデータもセーブしているという

理由もあると思いますが、

とにかく時間がかかります。

 

サムネイルが表示されているため

重いというのもあると思いますが、

このセーブデータも使いにくいです。

ゲーム中での月日が表示されているのですが、

これがどのヒロインルートの月日か全くわかりません。

 

また、セーブした日時(現在のプレイ時間)も表示されず、

ロードやセーブの時、カーソルが

自動的に前回セーブした地点に

移動している、ということもないので、

どれにセーブして良いものかかなり迷いました。

 

選択肢があるごとに、オートセーブ(30個まで)を

してくれるのが唯一褒められた点かもしれません…。

 

 

基本的なシステムは揃っているのですが、

ちょっと使いにくいです。

 

まずオートモードですが、とにかく使えません。

一番遅くしても、テキストが消えるのがとても早いのです。

確かにテキストが表示されているスピードは

遅く出来るのですが、

最後の文字が表示されてから消えるタイミングが早すぎます。

全く使いませんでした。

 

あとキャンセルボタンが統一されていません。

基本的なキャンセルは×ボタンなのですが、

セーブしてから元に戻るのが、○ボタンだったり、

おまけのCG閲覧で他のCGへ移りたいとき、

キャンセルボタンが○だったりしました。

また、CG閲覧の時の

キャンセルボタン(○ボタン)を押して、元の画面に戻るまでの

反応がとても遅いのが気になりました。

 

システムは、かなりストレスの感じるレベルに

仕上がっていると思います。

もうちょっと何とかして欲しかったところですね。

 

 

 

ヒロイン達がみんな巫女、というと

色物的に捉えられるかもしれませんが、

巫女である、ということ意外は至極真面目でシリアスな

ストーリー展開がされていますので、

巫女に尻込みされている方も、安心してプレイしてみてください。

 

後、巫女衣装に異常に拘りのある方は、

あんまりオススメできないかな?

普通の巫女衣装とはちょっと違うのです。

巫女衣装なら、絶対にないようなアレンジがされています。

 

ただ、全く別物というわけでもなく、

あくまでも巫女風、という点は抑えてあります。

また、ヒロインごとに微妙に衣装が違っており、

全員同じ衣装を着せたくなかった、という

スタッフ達の熱意も感じられます。

 

 

 

先にも述べましたが、

総まとめになるTRUE ストーリーと

全体的なシナリオの練りこみが足りませんが、

個々に見るととても良い出来に仕上がっています。

感動要素もあり、ヒロイン達もとても魅力的です。

 

もっと練りこまれていれば、

大作に化けた可能性があると思います。

システムが悪いため、評価は低めですが、

システムの悪さに目を潰れる方は、

評価をプラス10にしてみてください。

なかなかの良作です。

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