雅恋

MIYAKO〜 あわゆきのうたげ

 

 

一言レビュー

優雅で麗しい正統派ファンディスク

 

グラフィック 10点
シナリオ 8点
ボリューム 5点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 20時間
総合評価 81点

 

 

前作での事件「朱月の返人」からの数か月後。

誰とも恋仲にならずに終わったという設定で始まります。

1ヶ月音沙汰がなく行方不明になっていた和泉からの宴のお誘いに

神泉苑へ訪れたメンバー達は、仕事寮存続をかけて、

貝合わせの後、主人公参号が

質問に答えられるかどうかという賭けを提示されます。

神泉苑に散らばった思いを宿した貝を水鏡池に沈め、

その中に秘められている、もしあの人と恋仲になっていたならば、

朱月の返人事件の後、どのような事があったかというエピソードを、

想う相手と見るというのが大まかな流れです。

 

中には前作のキャラクターを使って、

ちょっとありえないお話を作ってみたり、

前作より時間的に前、仕事寮ができる前のエピソードがあったりと、

正にファンディスクに相応しい出来です。

 

基本的には本編での貝合わせである「あわゆきのうたげ」と、

前作からの正統的な続きであり、最後を締めくくるに相応しい「後日譚」、

前作のストーリーのダイジェスト版「帰想録」

ショートエピソード集の「たまてばこ」「弐号のへそくり へそくり談話」

の4種に大まかに分かれます。

 

一応前作のダイジェスト版「帰想録」があるのですが、

余りにも大雑把なダイジェスト版過ぎて、

あった出来事は大まかに語られるのですが、

主人公たちが何をどう思っていたのかといった

文章がほぼ抜け落ちているため、「帰想録」だけでは、

前作プレイ者でないと厳しいと思われます。

そういう意味でも正当なる前作のファンディスクという位置づけですね。

 

 

 

システムは前作を流用した物に見えますが、

中身の出来や使用感はほぼ別物と言って差し支えないでしょう。

前作ではあっちこっち不自由なシステムにため息が漏れましたが、

今作になって劇的に改善されています。

 

最大の改良点がデータインストールで、

これが挙動の安定や改善にかなり寄与しています。

スキップのスピードが激早になり、

そして立絵やCGが変わるごとに引っかかっていたのもなくなり、

なめらかに場面が動いて行きます。

シャーク音もほぼしなくなり、プレイを邪魔しないのは素晴らしい。

読んだ貝合わせのエピソードはいつでも読み返すことが可能で、

左には小さな絵とエピソードの概略が表示されており、

どのようなエピソードだったのかというのが

非常にわかりやすくなっているのもいいですね。

 

そして、オートモード、スキップが

シングルアクションでできるようになり、

オートモードのページ送りスピードが調整できるようになっています。

これは、アドベンチャーならばあって当然のシステムなのですが。

 

今回で追加されたのが、履歴からのロード、

オートセーブ(一つのみですが)、

プレイ中に表示されたCGや立ち絵の

スクリーンショットの保存可能(テキスト付も保存可能)と、

至れりつくせりでかなり改善されています。

ちょっと風変わりなのが、付け足されたト書き飛ばしというシステム。

セリフのみで進行するシステムです。

やや不満点を挙げるのならばちょっとどの場面かわかりにくいセーブシステムと、

相変わらず一つしかない簡易セーブですが、

これ以外はほぼ問題ないでしょう。

目覚ましい改善に拍手を送りたいと思います。

 

 

 

グラフィックは前作と同じく絢爛豪華な趣のある、非常に麗しい絵柄。

華のある構図、装飾の美しい煌びやかな衣装、

美しい背景と非常に気を使って描かれている繊細なCGです。

今作で驚くべきが、CGが動いているということです。

波や滝が動いていたり、水煙が漂っていたり、

影や光線がゆらゆらと動いたり、ひらひらと花弁が舞い落ちたりと、

とても芸が細かいですね。

また通常時の立ち絵の背景の場合もCG同様の動きがあるのは驚きました。

PSPでこれほど凝った動きのあるCGも珍しく、

色の塗りや細やかな気遣いは随一なのではないでしょうか。

立ち絵はほぼ前作からの流用ですが、特に問題ありません。

ショートエピソードの一つで大量に

新規立ち絵バリエーションが投入されていたのは驚きました。

あのエピソード専用ですので、かなり気合を入れて作られた立ち絵です。

あのエピソード専用だというのがもったいないぐらいでした。

 

CGの枚数は差分抜きで120枚とおまけの絵が+18枚。

おまけはスクリーンショットや壁紙化はできません。

ただし、前作でのCG62枚を入れてですので

実質的には今作では58枚となっています。

基本的な枚数は、プレイ時間が短いですので、十分かと思われます。

そして今作では差分がふんだんに用意されており、

前作のCGもかなりありますので実際の枚数よりも多く感じます。

前作で使用されたCGは差分が一切ありませんので、

その辺は残念ですね。

出来れば頑張って前作のCG差分も入れてほしかった。

 

 

 

プレイ時間は20時間程度。

プレイ時間が表示されないために実際のプレイ時間はわかりません。

全エピソードを制覇しており、

テキストはほぼコンプリートしていると思われます。

 

前作からの正当なファンディスクであり、

システムの改良は目覚ましいものがあります。

また、さらに美しく、凝ったつくりの動くCGと相まって、

非常に優雅で麗しい作品です。

前作で気に入ったキャラクターがいたのならば、

非常に良い出来なのではないでしょうか。

ただし、前作未プレイ者はお断り仕様になっておりますので、

これからプレイするというのはやめておいた方がいいでしょう。

そして、ボリュームはありませんのでその辺は考慮してください。

前作プレイ者にはお勧めです。




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