マブラヴ

 

 

一言レビュー

オルタネイティブへの布石のストーリー

 

グラフィック 5点
シナリオ 8点
ボリューム 7点
快適さ 6点
満足度 8点
総プレイ時間 28時間
総合評価 70点

 

 

 

朝、隣に住む幼馴染の鑑純夏が毎日起こしに来て、

遅刻ギリギリで二人学校へ駆け込む日々。

白銀武は、純夏と幼いころからずっと一緒にいて、

そういう日々がこれから先も続くと、そう思っていた。

 

両親が海外へ旅行に出かけたその翌朝。

目覚めれば自分のベッドに見知らぬ女の子が寝ていた。

何が何だかわからないうちに、

武を起こしに来た純夏とその少女が鉢合わせをしてしまう。

大騒ぎになるうちに、いつの間にか少女の姿は消えていた。

 

あれは気のせいかと思いだしたその日、

高校三年秋にして季節外れの転校生がやって来た。

彼女の名前は御剣冥夜。

御剣財閥ご令嬢にして、

朝、自分のベッドに潜り込んでいた少女だった。

 

 

という、日常に御剣冥夜という異分子が入り込んできたことにより、

クラスメイトと、幼馴染の純夏との関係が変わりだすエクストラ編と、

地球外生命体BETAに侵略され、

今まさに滅びつつある世界に、

そんな武がいきなり放りこまれ、

BETAと戦うことを余儀なくされるアンリミテッド編の、

二つにストーリーが分かれています。

 

アンリミテッド編は並行世界であり、

純夏以外、同じ容姿・性格を持つヒロインや人物が存在しており、

そのヒロインたちと地球外起源種の圧倒的戦闘力を持つ

BETAと戦う衛士になるため、

白陵大付属柊学園があった場所に建てられている国連軍横浜基地で

訓練兵として生活して行くうちに、

いつしか彼女たちと親しくなるといったストーリーです。

 

エクストラ編はよくあるアドベンチャーで、

まったりした日常を送るうちにいつしか急激にヒロインたちに近づき、

彼女たちの問題に直面し、乗り越えていくといった、

日常が長く、スロースターターなタイプなのですが、

アンリミテッド編は滅びつつある世界で、

必死にBETAに抵抗しつつ生きるか死ぬかといった

切羽詰まったシナリオは、そのギャップもあり、

また妙にリアリティのある軍事訓練や座学に、面食らうものもあります。

圧倒的に面白いのはアンリミテッド編であり、

殺るか殺られるかといった悲壮感あふれる世界と、

戦術機という、いわゆるロボットに乗って戦うというのは

こういうタイプが好きな者としては、心躍るものがありますね。

 

ただ、最後は何とも後味の悪い終わり方をしており、

また、どのヒロインといえども全く同じエンディングを

迎えるという金太郎飴エンドは残念でした。

そして、この作品はあくまでも後編にあたる

マブラヴ オルタネイティブへの布石にすぎません。

特にエクストラ編はヒロインルートに入るまで

退屈なところもあるのですが、

この作品はあくまでもプロローグであり、

エクストラ、アンリミテッド両シナリオをプレイするからこそ、

オルタネイティブが真価を発揮するシナリオだと思います。

 

 

 

システムは5bp.が移植したとは信じられないぐらい悪いです。

アドベンチャーとして、必要最低限しか

システムが搭載されていないのは今時珍しいでしょう。

何しろ、一画面でシステム設定が全部表示されるぐらいしかないのです。

クイックロード、クイックセーブの類はなく、

オートモードも短い、普通、長い、の三段階しかありません。

履歴からのジャンプもなし。

設定できるのは音声スキップ、オートモードの待ち時間、

オートスキップモード、オートスキップ速度、

BGM・SE・Voiceのボリュームという大まかに分けて5項目のみです。

オートモード中に○ボタンでページ送りをすると、

オートがキャンセルされるのも辛かった。

 

 

 

グラフィックは非常に癖のあるタイプ。

髪形や目元にくっきりとした特徴があり、

かなり好き嫌いが分かれると思います。

また、少々絵柄が古く感じるのですが、

これは何分古い作品なのでしょうがないですね。

絵柄の古さはマイナスにしていません。

 

大本は10年ぐらい前のゲームなので、

PS3に移植されるにあたりHD化されたらしいのですが、

それにしてもかなり汚いです。

綺麗に塗り直しをされているものもあるのですが、

線ががたがたのCGもあり、

特に背景グラフィックなどはPS2版かと

パッケージを見直したぐらい塗と線が汚いです。

立ち絵は人物の配置などにより拡大縮小する小技はいいのですが、

大部分の立ち絵にシャギーが出てしまっており、お世辞にも綺麗とは言い難い。

CGの塗も三分の一ぐらいは雑で、もうちょっと移植に際して

塗り直してもよかったのではないかと思います。

 

 

CGの枚数は差分抜きで117枚+デフォルメ絵が29枚。

差分はそこそこですね。

差分があるのに、収録されていないCGがあったのが気にかかります。

(衣装の色違いの差分がありませんでした)

ボリュームは普通ですので、枚数はやや多めのレベル。

枚数は問題ないですね。

主人公の顔立ちが2タイプあるのがちょっと気になりました。

全体的にもう少しラインと塗を頑張って修正してほしかった。

 

 

プレイ時間は約28時間。

プラチナトロフィーを取得しています。

 

エクストラ編とアンリミテッド編のギャップがすごかった作品です。

アンリミテッド編をプレイするにはエクストラ編を

何ルートかプレイする必要があり、エクストラ編は

日常が長すぎて弛むものがあるのですが、

エクストラ編でも、終盤の展開はまずまずだったと思います。

そしてそれを踏まえて生かされた、

死にあふれた世界観の並行世界であるアンリミテッド編の

起伏に富んだシナリオは疾走感が良かったですね。

 

アンリミテッド編のエンディングが

ちょっと物足りなく、バッドエンド感があるのですが、

この作品はあくまでも次回作オルタネイティブへの布石であり、

これをプレイするからこそオルタネイティブが生きてきますので、

毛嫌いせずにこちらからプレイされるのをお勧めします。




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