ななついろ★ドロップス pure!!

 

 

一言レビュー

いとうのいぢ氏の魅力大爆発

 

グラフィック 10点
シナリオ 9点
ボリューム 7点
快適さ 7点
満足度 8点
総プレイ時間 38時間
総合評価 84点

 

 

 

不器用で無口でぶっきらぼう。

口下手なのが災いして、新しいクラスに馴染めずにいた石蕗正晴は、

クラスメイトの秋姫すももにジョウロの水をかけられたことがきっかけで、

その日彼女達の所属している園芸部を手伝うことになった。

キリがついたところで休憩がてらジュースを買いに行った帰り、

手一杯にジュースの缶を持ち、ばたばたと走ってきた男にぶつかられて

二人は持っていたジュースを取り落としてしまう。

大慌てでジュースを拾い、そのうちの一本を押し付けて走り去る男を

呆然として見送りつつ、

何の疑問も覚えずジュースに口をつけた途端、

正晴は突如として羊のぬいぐるみに姿を変えてしまった。

 

この世界にはこちらの世界レトロシェーナとは別次元に、

あちらの世界フィグラーレという、魔法が存在する世界がある。

正晴が羊のぬいぐるみになってしまったのは、

誤ってフィグラーレの飲み物を口にしてしまったのが原因であり、

もし他の人物に羊のぬいぐるみが石蕗正晴であると知られたならば、

もう二度と元の姿には戻れなくなる。

日が沈むと羊のぬいぐるみに姿を変えてしまう体質を治すには、

「 星のしずく 」を七つ集めて薬を作らなければならないと

クラスの担任であり、実はフィグラーレの人間であった如月ナツメに教えられた。

星のしずくを集めることが出来るのは、特別な女の子、ステラスピニアだけ。

星のしずくを唯一掬う事の出来るレードルが変化した指輪と、魔法書を持たされて、

今からたどり着く場所にいる人物がそのステラスピニアであり、

事実はうまく伏せつつも

なんとしてでも彼女の協力を取り付けるようにと言い含められて、

無造作にバットでかっ飛ばされた先にいたのは、

クラスメイトの秋姫すももだった。

 

事実をぼかしつつ、星のしずく集めに協力してほしいと頼む正晴に、

可愛らしい羊のぬいぐるみが喋って動くことに喜び、

魔法が実際に存在することに瞳をきらきらさせたすももは二つ返事で快諾する。

日が沈むとぬいぐるみに変わってしまう体質に四苦八苦しつつ、

すももと一緒に星のしずく集めが始まった。

 

 

という、ふんわりとした雰囲気のハートフルファンタジーです。

ストーリーそのものが、まさに原画家氏の

いとうのいぢ氏のイラストにぴったりです。

氏のふわふわと愛らしいキャラクターの魅力を

十二分に生かしたストーリーで、

正にいとうのいぢ氏の絵のためにあるといっても過言ではありません。

そういう意味でははまり役なイラストですね。

 

ストーリーは星のしずく集めを焦点に当てつつ、

ヒロイン達との交流を描いているわけですが、

設定そのものが正にメインヒロインのすもものためにあるようなものであり、

ストーリーのほとんどがすももと一緒にいることも相まって、

他ヒロインがすももに食われてしまっているところがあるのが

ちょっと可哀相ですね。

すもものストーリーはとても丁寧に描かれており、

ちょっと冗長過ぎるところがあるものの、

純愛ものとしては非常に良く出来ているのですが、

他ヒロインのストーリーはすももより

かなり見劣りすることになってしまっています。

 

ですが、PS2で追加されたヒロイン、ユリーシアは、

彼女自身も星のしずくを集めることの出来るステラスピニアである為、

彼女の場合はすももの設定をうまく生かしつつ、

彼女自身の謎をうまく織り込んで、

すももの束縛をほとんど受けることなく上手に描かれています。

彼女のストーリーはすももに匹敵する出来で、

とてものびのびと魅力的に描かれており、

追加ヒロインでここまでうまく世界に溶け込めるシナリオが出来るとは

思わず唸らずにはいられませんでした。

彼女のシナリオはとても高いレベルに仕上がっていると思います。

 

全体的に、初恋・純愛を剛速球でど真ん中直球に

投げてきているストーリーですので、

あまあま照れ照れ、青春真っ盛りのこっ恥ずかしさ大爆発です。

プレイヤー自身もあまりの初々しさに恥ずかしく感じるものがあり、

ちょっと人を選んでしまうのも事実ですが、

全体的なシナリオレベルは高いです。

特に純愛好きは見事にはまれるでしょう。

 

 

システムはコンパクトながら一通りのシステムがそろっており、

使い勝手はそれほど悪くはありません。

十分及第点のレベルですね。

インターフェイスも作風を生かして、

可愛らしいつくりになっていて良くあっています。

唯一気になったのは、スキップが非常に遅いこと。

どんな会話をしているかわかるぐらいなのはちょっと遅すぎますね。

そのため、スキップ中はとても暇でした。

倍ぐらいのスピードはほしかったです。

 

 

グラフィックですが、萌を前面に押し出した

非常に愛らしい、ふわふわとした絵柄です。

みなさんちんまいのですが、作風にとてもあっており、

まさにのいぢ氏のイラスト=ストーリーである、

パッケージのイラストそのままが

ずばり全体的な作風を表現しています。

ストーリーの魅力を実に見事に表現したイラストですね。

 

立ち絵とCGの差異はほとんどなく、

CGの顔立ちもばらつきなく上手に描かれています。

塗りもイラストにマッチしたちょっと手塗り風の

柔らかなパステルカラーでなかなか良いですね。

PS2版で新たに付け足されたCGも

全体的に統一感があり、違和感はありません。

 

 

プレイ時間は約38時間。

全ヒロインクリア、全エンディング、全CGを回収しています。

ボリュームはごく普通。

純愛を非常に丁寧に、魔法というちょっとファンタジックな部分をスパイスに、

とても可愛らしく描いた作品です。

純愛好きならば全力でお勧めしますが、

画面の前でやっているこっちが恥ずかしくなってくるほどですので、

その辺はちょっと注意でしょうか。

サブヒロイン達が割を食ってしまっているところがありますが、

全体的にうまく仕上げています。

パッケージイラストを見て気に入ったのなら買いですね。



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