桜花裁き 斬

 

 

一言レビュー

時代劇風逆転裁判

 

グラフィック 6点
シナリオ 8点
ボリューム 7点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 23時間
総合評価 79点

 

 

 

美しい薄桃色の桜が咲き誇る桜花街。

北町と南町の奉行所の緩和のため、

中央に新設されたばかりの中町奉行所があった。

奉行を務めることになったのは、南町奉行の大岡忠茂の息子、大岡志明。

彼のお目付け役として、北町奉行遠山景虎の娘、遠山桜が付いた。

 

主人公である志明が中町奉行へ着任するところから物語は始まります。

一見江戸時代に見えますが、あくまでも時代劇「風」で、

実際は完全なるファンタジーです。

時計が一般的にあったり、下着を身に着けていたり、

サバが歩いてペットとして飼われていたり、髪は洋風だったりと、

いろいろとごちゃ混ぜ感があります。

名前もどこかしら見たことがあるようなというものが並びますが、

あくまでも彼らをモチーフにした者達ばかりであり、

実際の人物とは違うということになります。

 

物語はまんま逆転裁判風です。

現場に行って情報を集め、関係者に聞き込みをし、

裁判代わりの裁きで呼んだ関係者に証言をさせ、

彼らの証言の矛盾をついて、証拠品を突き付けていくというタイプ。

本家よりはシンプルですし、間違ってもそのままストーリーが続きます。

基本的に勢いで押していくタイプであり、

え? その程度で自白していいの!?

とこちらが驚くこともありますが、

ストーリーや話の流れを綺麗に付けるために

強引に推し進めていくのが全体的なスタイルとなっています。

ちょっとこじつけかなと思うこともありますが、

あくまでも読み物として進めていくアドベンチャーであり、

そういうスタイルを取っただけということで、好意的に見ました。

 

シナリオ自体はやや強引なきらいがありましたが、

ストーリーの起承転結や、一話毎に独立しているように見せかけて、

最終話で一気に流れを作る疾走感や

あっという逆転はなかなか良かったと思います。

最終話のまさかの展開は驚かされました。

 

そして本編が終わって初めて

個別ルートへ入るというスタイルとなっています。

個別ルートは18禁感をかなり醸し出していますし、

メインで出張っていた女性陣は3人とも二人きりになる流れは同じだったものの、

彼女たちのキャラクター性を上手に生かしたストーリーだったと思います。

意外と良かったのが、サブヒロイン達です。

バラエティーに富んでおり、話の流れが上手かった。

それぞれ良いシナリオだったと思います。

 

 

 

システムは非常に快適で、タッチにも対応しています。

さすがはdramatic createですね。

安定しています。

テキストは右に縦書きで表示されるタイプ。

和風のシナリオに向いていてよかったものの、

履歴の文字がいささか小さすぎるのが残念でした。

オートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというVITAの欠点も制御されています。

履歴からのジャンプも可能で、とても快適だと思います。

 

 

 

グラフィックは、ごく一般的な作風なのですが、非常に不安定です。

CGによって顔が別人になっているのはもちろんの事、

立ち絵についても不安定で、人物によっては別人なことがあります。

普通同じ人物の立ち絵は同じ絵師が担当するのですが、

複数の絵師が同一人物の立ち絵を担当したことの弊害かと思われます。

また、表情も一部違和感のある人物もいて、同人以下の物も存在し、

とにかく随所に気になる部分があります。

 

塗は問題ないのですが、かなりの枚数で

デッサン崩れをしているCGが多数で、

あまりに酷さに本当にプロが描いているのかと疑うレベルです。

特に横顔が苦手のようですね。

非常に素人くさいCGが大量にあり、殆どのCGに残念感が漂います。

墨絵調の白黒で描かれた絵もありますが、

作画はともかくとして、勢いがあり、作風には合っていたと思います。

 

CGの枚数は差分抜きで256枚。

シナリオボリュームに対して破格と言っていいレベルの枚数です。

差分もたっぷりと用意されており、枚数だけは非常に豪華です。

これでクオリティがもうちょっとあればと残念に思います。

枚数だけを見れば、グラフィックの点数が10点でも問題ないと思うのですが、

作画のレベルが同人以下なのでどうしても点数が落ちてしまいますね。

 

 

 

プレイ時間は約23時間程度。

時間が表示されないタイプで

正確な時間が分かりませんので約の時間です。

全エンディング、CG、音楽をコンプリートしており、

プラチナトロフィーを取得しています。

 

逆転裁判風和風ファンタジーというのがぴったりでしょうか。

シナリオはそれなりに良いのですが、かなり強引なところがありますので

辻褄やそういう細かなところが気になる方は要注意です。

最終話の展開は素晴らしかったですし、個別シナリオもそこそこ良いのですが、

非常に残念なのがやはりCGのあまりにも悲惨なクオリティでしょう。

これは本当にプロの仕事かと疑うレベル。

基本的には応援したいのですが、

絵に拘られる方は勧めにくい作品です。



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